癌を見たら血栓と思え!〜YOU,Homans(-)って記載しちゃいなyo〜 | 消化器内科ゴロ寝お勉強日記

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病棟スタッフの皆さんに、日常業務の役に立つ情報を提供しようと思います。ゴロ寝しながらでもサクサク読めて、必要な知識だけ頭に入るような内容にしようと思いますので、是非暇なときに一読して下さいね!

今回は血栓塞栓症のことについて書きます。


いきなりですが、
みなさん、
癌患者は血栓症のリスクが高いって
ご存知でしたか?

実は普通の患者さんと比べて4〜7倍のリスクと
報告されているんです。

下肢等でできた血栓が肺にぽぉーんと飛んで
肺動脈を詰まらせちゃったら
最悪突然死しちゃいますよね。

そうでなくとも、
予定していた手術ができなくなった、
ケモができなくなった、
なんてことになる可能性が高いです。

癌と診断された患者さんに、
何とか前を向いてがんばってもらいたい
と思っているのに
「血栓あるから癌の治療できませんね」
なんて言葉はいいたくないものです。

そうなる前に、
下肢の血栓=深部静脈血栓症(DVT)の段階で
血栓の存在に気づいてあげて、
致命的な肺塞栓や治療の停滞を
未然に防いであげたいじゃないですか。

そこで今回は
DVTの身体所見について覚えてもらいたいです。

名前が付いていて1番有名なものといえば
Homans徴候(ホーマンズちょうこう)です。

やり方はとっても簡単。
膝を伸ばして足関節を背屈させるだけ!
血栓があって血管に炎症を起こしていると
足関節の背屈でふくらはぎがキュッとなって
痛みが生じます。
痛みがある場合がHomans徴候陽性ですね。

陽性の場合は
下肢の血管エコーとか造影CTで評価しましょう。

陰性の場合、
それで血栓症が完全に
否定できるわけではありませんが、
しっかりとその旨、記録しておきましょう。
ひょっとしたら後になって、
肺塞栓起こしたりなんかした場合、
前から血栓あったんじゃないの〜?とか思われても
「このときは疑う所見ありませんでしたから」
と言える証拠になってくれます。

保身ばかり考えてもよくないですが、
医療安全的に大事なことですよね。

他にも、DVTの所見としては
下肢の
疼痛(感度86,特異度19)、
浮腫や腫脹(感度97,特異度33)、
熱感(感度72,特異度48)
などがあります。

特に大事なこととして覚えておいて欲しいのは、
左右差のある浮腫は真っ先にDVTを疑う!
ということです。
見つけたら速攻で報告して下さいね!


さぁ、今回も内容は簡単でしてた。
「女を見たら妊娠と思え」
という格言が医学の世界にはありますが、
「癌を見たら血栓と思え」
と言っても過言ではないくらい
血栓をいつも気にして欲しいのです。

早速明日から、
今日の担当は癌の患者さんだな、
ってなったとき、
何はなくともルーチンで下肢をチェックして
記録に「Homans(-)」って
記載してみませんか?

そのちょっとした反復が、
いつかリアルのDVTを見つけるはず!
その日は、、
必ず来ます!!(頻度高し)