まとめ
・アバスチンとサイラムザはVEGFのシグナルをブロックする薬
・抗VEGF治療の特徴的な副作用は高血圧と蛋白尿
・ケモ前の蛋白尿チェックと血圧に注意することを忘れないで!
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またまた非常に間が空いてしまいましたね。
なんと1ヶ月。。
腐っていたわけではなく
むしろがんばっていたらブログ書く暇がなかったのです。
亜鉛シリーズの続きも書きたいところですが、
本日は抗癌剤の副作用について書きます。
大腸癌の化学療法をしている人で
降圧剤を内服している方がいまして、
そういえばアバスチンに特徴的な副作用って何か知ってる?
ってことになったら意外と知ってないんだなと思ったので
書くことにしました。
消化器内科の病棟で勤務していれば
さすがにアバスチンってお薬は聞いたことありますかね?
大腸癌の化学療法で1stや2ndラインで使う
FOLFOXやFOLFIRIと組み合わされることが多いですね。
あと最近では3rdラインでロンサーフというお薬と組み合わせて
longSDを狙う
(病変が小さくなりはしないけどサイズが変わらない
=SDを長期にキープ(ロンサーフの場合6ヶ月くらい))
ということが盛んにやられてます。
このアバスチンというお薬(一般名はベバシズマブです)と
サイラムザ(一般名はラムシルマブです)というお薬を
セットで覚えてほしくてですね、
なぜかというと両方とも
VEGFというサイトカインを阻害するコンセプトの治療だからなんです。
がんって盛んに細胞分裂するためにたくさんの栄養が必要なので
がんの組織内にたくさん血管を通す必要があり
VEGFという血管新生を促すサイトカインの恩恵に
あずかっているのです。
で、ですよ、
このVEGFのシグナルを阻害するような治療をすると
副作用として高血圧や蛋白尿が出やすくなる
ということが本日のキモでして、
アバスチンもサイラムザも高血圧や蛋白尿を来たしやすいのです。
そこでみなさんに注意していただきたいこと!
アバスチンやサイラムザを含んだレジメンをやる患者さんがいたら
必ずケモ前の検尿で蛋白尿が出ていないかチェックして下さい!
(もちろん主治医はちゃんと見てますが)
蛋白1+まではOKですが、2+になっちゃったら
尿蛋白を定量的に評価する必要があります。
蛋白尿ががっつり出始めのときにさらにアバスチンとか使うと
ネフローゼ症候群になっちゃって痛い目を見ることもありますので。
それから、そういうレジメンの患者さんは、
最近血圧上がってきてないかな~って
時々思い出して経過表みてくれたらうれしいです。