偽膜性腸炎 | 消化器内科ゴロ寝お勉強日記

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感染症シリーズを上梓中とて、普段のブログも更新しますよー。

本日は偽膜性腸炎についてです。
疑うことは多々あれど実際に偽膜ができた症例って少ないですから、病棟でまだ見たことないよ〜って人も意外と多いかもしれませんね。

この腸炎は抗生剤使用後などにクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)が起こした菌交代現象によって引き起こされる腸炎です。直腸やS状結腸に好発しますが重症だと全大腸に及ぶこともあります。CRP上がるし、お腹の圧痛も感染部位に応じて割とはっきり出ますね。

治療は原因となった抗生剤の中止とメトロニダゾール(®️フラジール)もしくはバンコマイシンの内服です(点滴ではありませんよ)。

このブログの感染症シリーズでは「病原菌をグループ分けしてそのグループに対応した抗菌薬を使いましょう」とレクチャーしていますが、C.difficileは例外です。

C.difficile↔︎メトロニダゾールorバンコマイシンの一対一対応で暗記が必要です。

ちなみにC.difficileはグラム陽性桿菌の嫌気性菌です。


菌交代症って何よ、と思った方に説明しておきます。

人間の体っていろんな部位に菌が存在しているんですよね。例えば腸の表面は普段いろんな常在菌によって埋め尽くされています(こういう細菌たちをまとめて腸内フローラと言います)。さながら花見とか花火の場所取りみたいなもんですね。その常在菌が抗生剤投与で死んじゃうと空き地がたくさんできます。するとその空き地に普段は幅を利かせられないようなマイナー菌が陣取ってはびこり始めるんですね。それが菌交代です。

善良な住民が住んでいる町にはヤクザとか見かけないけど、スラム街になっちゃうとヤバい人がいっぱい住んじゃう、みたいなイメージと近くないですか?