オトナのための数学キソ36 掛け算順序問題から考える 算数と数学の接続 | 母親ひとり親の医療の学校の受験・修学手助けします

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「掛け算順序問題」については何度も取り上げていますから再度の説明は省きます。

かけ算の順序問題 - Wikipedia

net上では「掛け順」賛成派と批判派が応酬しあっていますが
肝心な子どもたちに対しては
どちらが正しいという応対しかされていないように思えます。

どちらが正しかろうと
小学校では授業が行われ
「掛け順」賛成派は掛け順をもとに授業を行っているという現状があります。

それでも子どもたちは中学生以降は「数学」を学ばなければなりません。
そこから考えると
掛け算順序問題の本質は算数と数学の「接続」にあります。

なぜ、接続の工夫がいるかというと
非常に単純に言えば
算数は具体的な数を扱う
数学は数を抽象化して扱う
同じ数を扱っても目指しているものが違うことにあります。
(これが掛け順賛成派が算数と数学を分離する説の根拠になっています)
「掛け順」説が成り立つのは算数と数学が違ったものであることを前提にしています。
 
突き詰めていくと
算数はむずかしい「パズル」になり
数学では「数」さえ必要がなくなります。
 
しかし
性質(方向)が違った両者の接続についてはほとんど議論がありません。
単純に数学が算数の発展型であるという理解がされることが多いのです。
それが実生活では「算数」は必要でも「数学」は不要であるという主張とも結びつきます。
 
「掛け算順序」は小学校の現場では支持する教員が決して少なくないようです。
しかも確信的な信者とも言える教員がけっこういます。
驚いたことに1970年生まれのつれあいも掛け順を強制されたと言っています。
 
算数での最終目的は普段の生活で計算の応用が出来ることです。
いわゆる「文章題」が解けることです。
 
具体的な解き方の手続きとして使うときには
「掛けるもの」「掛けられるもの」を分類して性質ごとに呼び名を与え
問題文の言葉遣いから数が何を指しているかを分類して拾い上げ
半ば自動的に「公式?」に当てはめる解くことは訓練としては大変合理的です。
 
そもそも、「考える」ということは教えられませんが
分類してパターン化する技術は教えられます。

ちょうど
跳び箱跳びを各動作に分解して飛び方を身につけるのと同じ発想と言えます。
(わたしは「掛け算順序」の発想の根は「教育技術法則化運動」と「水道方式」がくっついたと考えています。
だから、これだけの広がりがあるのです)
 
そこに交換法則などもちだしてもかえって子どもを混乱させるだけかもしれません。
特に教科ごとの専門訓練を受けない小学校教員にとっては
パターン化して訓練できることは大変ありがたい方法なのかもしれません。
(彼らは教科では体育も英語もその他・・・も教える必要があるのです。
加えて児童心理の実践家であることまで求められます)
 
さらに
中学・高校の数学でも実際には「数学」が求められるのではなく
公式を使ったパターン化による解法の訓練が教科の実態です。
 
でも、「掛け順」に対してX(twitter)ではこんなチャチャが入っていました。
もし45°くらい回転した絵が与えられたらどうするんだろ。
もし「辺の長さが6cmと8cmである長方形」と言われたらどうするんだろ。
もし縦6cm横8cmの絵と縦8cm横6cmの絵が並列して両方与えられたらいちいち式を直さなきゃいけないのかな・・・
 
こんなふうに「掛け算順序」を批判することは簡単ですが
根本的な問題は実際には「掛け算順序」と「解法数学」が双子の姉妹であることなのかもしれません。
(「数学は科学の女王」ガウス)
 
数学のはずの数学が数学になっていない?ことでしょうか。
実用(=工学)の数学も複雑であっても
パターンによる計算という点では基本的にはあまり算数と違ってはいないということなのかもしれません。
 
そんな現状からすると
数学を専攻する人以外は
数学を高等算数として扱う考えにも道理があると思っています。
普通の人にとっては「考える」も「努力できる」も一種の才能です。
 
批判ばかりで意味はありません。
算数と数学接続で面白い考え方を見つけました。
算数の数学化とでもいうべき発想です。

『学校では絶対に教えてもらえない超ディープな算数の教科書(小川淳)』
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残念ながら小学生の向けのものではなく大人が学び直すためのものですが
「小学校の授業ではごまかされていた、算数におけるルールや事実を
他人に説明できるレベルできちんと理解してもらうこと。
特に「ごまかさないこと」と「わかりやすいこと」の両立を目指した」ものです。
 
算数を定義に当たる「ルール」とルールから導き出される「事実」とで説明していきます。
今、行われているイメージを元にした算数の教え方を否定するものではありませんが
数学への接続を考えた算数を目指していると言えるでしょう。
 
小川さんは
「数学の問題は、暗記力だけでも、応用力だけでもダメなんですね」
暗記と応用の総合力が必要とだと言っています。
「数学は暗記だ」と言っている有名な人がいますが
暗記であってもある程度、抽象化する力が必要だとも言っています。
 
現在の教え方の技術ではこのまま小学生に教えることはできませんが
新しい教え方の技術を作るためのヒントにはなるかと思います。
小学生に対してはむずかしいかもしれませんが
中学校での算数から数学への接続ではその教え方が可能だし、必要だと思います。