※「穏便に」の暴力。海外で気づいた日本人である私の意識の低さ
この記事はDV(家庭内暴力)にオーストラリア政府はどれぐらい本気で対応しているかという話です。
訴えた(というよりも相談に行っただけの)本人が驚いているぐらいですから。
隠れやすい犯罪は闇に葬られてしまいがちなので、オーストラリア政府は対策には力を入れています。
この国では、過去にDV犯罪歴がある人は入国できない規則になっています。
日本ではまず事を荒立てないことが優先されます。
知らず知らずのうちに「穏便圧力」がかかっていて
困ってはいてもそれほどたいしたことではないと言って(言わされて)しまいます。
警察や行政もまず穏やかに済ませましょうといって聞かせます。
できれば個人の間のトラブルにはかかわりたくないそれが本音です。
本文中では本人も軽い気持ちで警察に相談したのです。
「DV被害を出したわけではなくて、痴話ゲンカの延長でこんなことになってしまったのです。彼とは2度と会いたくはないけど、状況を複雑にして逆恨みされたくないし、とにかく穏便に終わらせてほしいんです。そういえば事件以降、私の身の回りのパトロールが厳しくなったのですが、これは何か対策いただいているのでしょうか?」
それに対し警察はすでに本人の申し出にかかわらず
加害者の行動パターンはよく研究されていて先手をうって被害者保護の行動を始めていました。
穏便に済ませようとする本人に対して
警察官はこの件は裁判で起訴されると言うのです。
「私たち警察がDVを発見したことに起因しているの。あなたは彼からDVを受けたとは思っていないんだろうけど、この国では物を利用して人を脅かしたりすることもDVと認めます。」
何と被害届けの5日後に裁判が行われます。
「(私は)ここに来てオーストラリアのDVに対する行動の的確さ、迅速な対応に脱帽、そして私の警戒感のなさや楽観的な思考に落胆してしまいました。」
少々強引にでも政府や機関はすでに無意識のなかでDV被害に遭っている人(女男かかわらず)を守るため、介入することを方針にしています。
実際
彼女の場合でもその後に元彼がつきまといをしてきて恐怖を感じさせるような行動をしてくるのですが。
白人のように男女の体格差が大きいとDVは簡単に殺人に結びつきます。
酔っ払って口論の勢いで殴ったら相手が死んでいたということが普通に起ります。
(日本と違って武器を持つことができますから女子でもたいしたことをやりますよ)
ここらへんが対策の真剣さの違いの理由かもしれません。
まず
DVとは命の危険に結びつくというはっきりした考えがあり
本人が気づかなくても犯罪の元を絶つ必要がある。
だから
事の始まりを見逃してはならないという意志が感じられます。
この体験を通して彼女は
「各国のDVに対する考え方はまちまち」
だからこそいまのうちに、男女ともにDVへの考え方を変え
被害を防ぎ被害者へのケアがなされることが必要だと締めくくっています。
日本の役所は動きがにぶいと言われていますが
実はわたしの経験からすると本気になればそうでもないのです。
DVではありませんが
現職だったころ
看護学校の指定校推薦に希望者がいなかったので
締め切り直前1ヶ月になって生活保護家庭の生徒を説得して応募させたことがあります。
この子は大阪府八尾市の在住でした。
生活保護家庭の修学には行政の保護があるのは知っていますが
学資を作る時間がないので
ともかく見切り発車で学校側とは交渉して解決しようと考えました。
保護者を通じてケースワーカーから八尾市に就学援助の手続きしてもらいました。
するとその時には役所相手では信じられないことが起きました。
指定校推薦ですので推薦をすればほぼ合格です。
合格発表から1週間以内に費用を振り込まなくてはなりません。
費用が確保できるまで高校側から合格を取り消さないように交渉するしかないと考えていました。
なんと出願とほぼ同時に監督官庁である大阪府から看護学校に
本人の費用振込がなくても合格取り消しをしないようにという指示(現実には命令)が出たのです。
当然、八尾市の請求による府の指示ですが
これまでの役所の常識から考えると腰を抜かすくらい驚きました。
本気になったらやれるんだなあと。
日本の役所でも本気になればできないことはないのです。