6月9日の朝のことです。
普段、目覚まし代わりにTVのタイマーを使っています。
目が覚めてニュースを見ていると
ある県の小学校の教員採用試験受験者の倍率が大幅にさがっていることを
N〇〇のローカルニュースでアナウンサーが解説していました。
録画はしていませんが
どの放送局か時間帯もわかっています。
ここでは個人を責めているのではないので
以下、特定できないようにぼかしています。
すると
〇〇県では「10年前は受験者の倍率が5倍だったのが
昨年は「3ポイント」下がって2倍になっている」
(数字は仮のもの)
と説明し始めました。
起きがけでしたが
この説明を聞いてびっくりしました。
このアナウンサーは「ポイント」の意味が分かっていないのです。
「ポイント」を単位で使うときの正式名称は「パーセントポイント」又は「パーセンテージポイント」といい
「ポイント」はその略称です。
「パーセントで表された2つの値の差」という意味です。
昔は、比率を比べるのに
「50%から10%上がって60%になった」という言い方がされていました。
この表現は誤りです。
50 %から10 %の増加であれば
0.50 + (0.50×0.10) = 0.55 = 55 %だからです。
それで正確を期すために報道では
「50 %から10(パーセント)ポイント増加して60 %になった」という言い方になったのです。
だから
5倍から2倍に受験倍率が減ったことに
「(パーセント)ポイント」を単位につかうとかえっておかしいことになります。
(もし、つかうとすれば3ではなく300ポイント減です)
「5÷2」で競争率が約半分(か2/5)になったと言う方が自然です。
このアナウンサーはなぜ「パーセントポイント」を使うか分からず
よく考えずに習慣として
「差」ではない「倍率」にも使っただけなのでしょう。
結局、本人は「比率」と「差」の違いがよく分かっていなかったことを示してしまったのです。
これは数の感覚があればおかしさに気づくはずです。
寝ぼけたわたしでもおかしさを直感したのですから。
N〇〇のアナウンサーですから高学歴で優秀な人であったはずです。
でも
現実には数というものの基礎がよく分かっていなかったわけです。
もし、その理由が小学校での「パズル」を解くような「解法主義」にあるとすれば
結局、その教え方は肝心な部分を教えていなかったということになります。
専門訓練を受けていない教員の生半可な「掛け算順序」主義は「解法主義」になりやすい。
わたしが何度も記事にしているのはこれを恐れるからです。