算数の最終目標は「おおよそを知る」こと | 母親ひとり親の医療の学校の受験・修学手助けします

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大人になったときの必要から考えると

突き詰めれば

算数で本当に目指さないといけない能力とはどんなものでしょうか?

考える算数を主張する人は多いのですが

おおよそを知る」という大人にとって大切なことはあまり議論されていません。

 

まず

小さな子どもは、一度、物と数の関係を絶つ「数の抽象化」ができなければ計算を身につけることができません。

(違ったものを足せないと考えるのは当然なことです)

その上で

計算の意味を考えることができるのです。

さらに

計算を実用で使うときに必要なものがあります。

 

ある親子が遺跡の解説板を見ています。

こう説明書きがありました。「この遺跡は約2000年前のものである・・・」

説明書きの日付を見るとちょうど30年前に作られたものでした。

 

すると、この説明書きをみていた小学生の子どもは得意げに言いました。

「じゃあ、この遺跡は2030年前のものなんだ」

あなたはこの子どもにまちがいを説明できるでしょうか。

 

「この約というのは~ぐらいという意味なんだ」

すると、子どもは

「~ぐらいって、どれぐらい?」と聞きます。

「~ぐらいって、・・・」

 

実は、これを正確に説明するためには工学・理学的知識がないと説明できないのです。

有効数字という考え方があります。

数学の計算問題でも有効数字は小数点〇けたと指定があったりしますが

数学の考え方では有効数字という考え方は生まれないのです。

ここでは工学的な考え方が必要なのです。

 

たとえば、円周率は無理数です。

正確に数字としてあらわすことはできません。

それでも

計算がめんどうだから円周率は3.1416に決めていいよというわけにはいきません。

 

実際、小学校の学習指導要領で円周率を3でいいとしたところ

数学の世界では大騒ぎになり

東京大学では「なぜ円周率は3ではいけないのか」という主旨の問題を数学の入試二次試験で出しています。

 

工学は実用の学問(技術)です。

ですから、実用上無意味であれば切り捨てます

それが有効数字の意味です。

計算で円周率を使うとき無限に計算するわけにはいきませんから

実用に影響がないところで切ります。

それを見極めるのが工学の知識です。

 

ところが、オトナは意味がわからなくてもムダかどうかわかります。

「2000年という数字からから考えるときっとこれは100年が単位だ。

だから30は100よりずっと小さいから、まだ、2000年前でいいんだ」と。

 

いいかげんですが、きっとまちがいではないでしょう。

いいかげんがあるから私たちは細かいところを気にしなくてもやっていけるわけです。

むしろ、オトナであればいいかげんを上手に使えるのは能力が高い証拠です。

 

算数を大人が使うためにはこのようなおおよその数の扱いを身につける必要があります。

普段の生活の必要からすると

帳簿でもつける時以外は厳密に正確な計算よりも

おおよその当たりをつけることの方が必要になります。

 

学校でもすでに多くの国では計算は電卓を使っているところが多いのです。

日本でも電子教科書システムが広がれば手計算しない方に向かうでしょう。

 

子どもはおおよその数を使うのが大変不得意です。

「〇〇を200円ぐらい買ってきて」と300円渡すと、「何円買えばいいの」と子どもは困った顔をします。

子どもは指示されたことには忠実ですが、自分から意味をとらえることに慣れていません。

 

オトナの場合

自分が何を求められているかが分からなければ仕事になりません。

 

ところが

受験数学ができたはずの大人でもけっこうこれができないことが多いのです。

掛け算が使えない高学歴の大人の現状! 小学校の算数教育が・・・以前の話です      

 

わたしからすれば

算数で考えることができるというのは解法を身につけるのではなく

このような生きた数字の使い方ができることだと考えています。

 

オトナはすべてのことを指示できないのを知っている

(それがわからない人はオトナとはいえませんよ)

だから、指示の意味を考え、知り、判断する必要を認めます。

 

でも、実際オトナでもおおよそを判断するのはむずかしい。

このような能力を精密に身につけるためには「工学・理学」の知識・訓練が必要です。

それでも、オトナという知能の発達段階と経験・訓練がそれを可能にすることができます。