日本に住んでいると貧富の差の本当の意味が理解できません。
(わたしも頭でわかっても実感できませんが)
今回は貧富の差がどのような社会を生み出すかという話をしましょう。
南米のある国での話です。
日系現地法人に出向していた日本人社長が誘拐されました。
その国では資産家や有力企業の経営者は気をつけないと
身代金のために誘拐される事が普通なのです。
当然、仕事をする時にはボディガードがつきます。
たいてい出勤する時は日によって道を変え
同じ道を続けて通ることはないそうです。
しかし
その日は何を考えていたのか前の日と同じ道を通ってしまった。
すると、案の定待ち伏せされて誘拐されてしまったということです。
そんな国では大金を稼いでも
収入の多くを自分の身を守るために使わなくてはならないのです。
当然、住む家も多少の強盗であれば攻めて来る気にならない作りにしなくてはなりません。
合衆国でも同じようなことがあり
大金持ちは自分の家を要塞のように作り強盗の襲撃から守ります。
そして
自分の力だけで守れない小金持ちは
同じような人たちが集まり町を作りまわりをフェンスで守り
警備員(傭兵ですね)を雇い身を守ります。
全米ではそんな町が何カ所もあるそうです。
襲う側も全く犯罪を犯すことに良心の呵責など感じません。
というよりも
彼らはそんな感情をもたずに育ち
自分の身は可愛くても相手のことを思う感覚などもちません。
人は自分が大切にされた経験がなければ
自分も含めて人を大切にしようとする感情をもてません。
本当の貧困とはそういうものなのです。
さらに加えて
もともと判断する能力が不十分な子(認知能力がゆがんでいる子、全人口の15%ぐらい)が
ゆがんでいる部分を直す訓練を受けないと
学習するときにもわかっていないことが多く
ついていけないから努力をやめてしまう。
この子たちは競争主義では真っ先に敗者になってしまいます。
判断する能力が不十分なわけですから
筋道をたどって原因を追究するよりは
自分ではなくまわりが悪いことにしてしまうことが多くなります。
※《書評》『反省させると犯罪者になります』、『ケーキの切れない非行少年たち』 その2
貧富の差が大きい社会はこのように本当の弱者(訓練がなければまともに生きていけない人)を生み出すことで成り立ち
治安の悪化という現実で競争の勝者たちも復讐されます。
まだ、かろうじて日本の社会はそこまで悪化していません。
しかし
最近の社会の流れを見ると安心していられる状況でもありません。
闇サイトでは犯罪の求人も行われて犯罪の元になっていますが
まだ、「闇」の世界のことで堂々と幅をきかすところまではいっていません。
でも、NHKが先日の番組で
「トレンドブログ(うわさ話が中心)」で何の裏付けもないガセネタを流し
自分のサイトの「アフィリエイト(アクセスによる広告収入)」で稼いでいる人に取材をしていました。
「トレンドブログ」では全くかかわりのない人を犯人のように扱ったり
平気で他人の名前や住所、勤め先をNETにアップすることが社会問題になっているからです。
すると、当人はこんな回答でした。
「アフィリエイトで稼ぐことで自分の生活費を手に入れている。それ以外に収入はない。
自分が生きるためにやっている。他人が困るかどうかは気にしたことはない。」
格差社会であっても勝者はみんな「濡れ手に粟」でもうけているわけではないのですが
格差社会で勝者は雪だるま式に財産を殖やし
敗者は生き残ることさえやっとのこととなります。
そんな中で
うまいことやった者勝ち
生き残るためには何をやってもいいという勘違いが起きるのは自然なことかもしれません。
必要なのは
今の世の中の流れがもっと悪い側に向かう前に
格差をなくすことではなく
格差があってもなくても
人々が最低の人らしい生活ができる保障を自分で手に入れることができるしくみをつくることです。
どこかの国のように格差をなくすことだけを目的に政策をおこなったら
今のところ、格差がなくなるのではなく格差を広げる結果になっていますね。
最低賃金基準をどれだけ上げても
かえって賃金値上げのために雇い主が人を雇えなくなってしまっています。