数年前に仕事の必要で書いた文です。最新とは言えませんが医療受験全体の理解にちょうどよいので公開します。
医療の仕事は直接他人の体に触れる仕事で、場合によっては相手の体の危険を伴うこともあります。このような仕事を職業として選ぶためには仕事に対する知識や職業上求められる倫理を知った上で選択することが非常に重要になります。ここでは医療の仕事がどのような仕事なのか話をしていきます。
体にメスを入れたり、エックス線を照射したりするように、他者の身体を傷つけたり体内に接触したりするような行いを医療侵襲行為と言い、これが正当な業務でなければ傷害罪や暴行罪に問われます。ですから、たとえ医療のためであってもこのような行為を行うには、正当な医療行為とされる条件を満たす必要があります。医療従事者には、その行為が特別に許されるための要件として、資格(医師免許、歯科医師免許、看護師免許、助産師免許等)があります。医療行為には患者にとって不利益な事態をまねく恐れが大きいものもあるので、相応の知識と医療倫理が要求さます。
医療・介護の仕事は次のように分類されています
◎医療行為 ・・・ 広い意味では医療に関することすべて含みます。
※医業 ・・・ 医師だけがすることができる行為。(一部は医師以外の有資格者でも可)
※理学・作業療法 ・・・ 医師の指示により患者の機能回復を図る。
※薬剤師の調剤 ・・・ 薬剤師の判断で調剤ができる。
※看護 ・・・健康・不健康を問わず、各個人を手助けすること。
◎医業類似行為 ・・・ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術。
※ただし、医療行為は仕事として行わなければこれを禁止する法令はありません。無資格者であっても心肺蘇生法や自動体外式除細動器の使用などの応急処置を行うことができるのは、仕事として行うのではないからです。なお、自分自身の体に行う場合は関係なく、家族は本人に準ずるとして家族に対する医療行為は事実上容認されています。
(注)医療行為と非医療行為の例
※医療行為に該当する行為
レーザー脱毛、刺青を入れる行為、ピアス、ケミカルピーリング
※医療行為に該当しない行為
検温、血圧測定、パルスオキシメーターの装着、耳垢除去、つめ切り、点眼、湿布のはり付け、軟膏塗布、座薬挿入、薬の内服の介助、口腔内の清拭、浣腸、身長体重計測、肺活量測定、抜毛、検尿、検便、心理カウンセリング
※グレーゾーンとされる行為
筋萎縮性側索硬化症患者に対するたんの吸引(医行為であるが当面やむを得ないとされた。) 、眼鏡店での検眼
(注)看護
看護婦の独自の機能は、健康・不健康を問わず、各個人を手助けすることにある。どんな点で援助するかというと、健康、健康の回復(あるいはまた平和な死への道)に役立つ諸活動。これらは、もしもその本人が必要なだけの強さと意志と知識とをかねそなえていれば、人の手を借りなくともやりとげられることかもしれないが、とにかくそうした諸活動の遂行にあたり各個人を援助する、それが看護婦の仕事である。そして患者、あるいは健康な人の場合でも、その本人をたすけて、できるだけ早く、自分で自分のしまつを出来るようにするといった方法で、この活動を行うことである。(『看護の基本となるもの』から引用、日本看護協会出版会、過去に書かれた文なので「看護師」ではなく「看護婦」になっています。)
その2に続く