【以下ニュースソース引用】

「小池百合子さんはカイロ大学を卒業していません」かつての“同居人”が実名証言を決意した理由とは

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文春オンライン

小池百合子都知事 ©文藝春秋

 

〈「選挙もミニスカートで通します」と宣言…40歳で政界入り、小池百合子が見せたライバルへの「容赦ない攻撃」〉 から続く 

 

【写真】1976年10月上旬、カイロ近郊で撮影された小池百合子氏と元同居人・北原百代さんのツーショット 

 

「芦屋令嬢」として育ち、謎多きカイロ時代を経て、キャスターから政治の道へ――。

 

常に「風」を巻き起こしながら、権力の頂点を目指す政治家・小池百合子。『 女帝 小池百合子 』(石井妙子著、文春文庫)は、今まで明かされることのなかったその数奇な半生を、ノンフィクション作家が3年半の歳月を費やした綿密な取材のもと描き切った。 

 

 石井さんは、カイロ時代の小池都知事の同居人・北原百代(きたはら・ももよ)さんに話を聞いている。

 

そのなかでエジプト留学中の小池都知事について、きわめて重大な証言がいくつもあった。

 

以前は仮名で登場していた北原さんだったが、このたび実名での証言を決意した。

 

 ◆ ◆ ◆

黙っているべきか、真実を世間に伝えるべきか

「こんな理不尽なことが許されていいのか」――。

 

  嘘をついた当人は権力の階段を駆け上り、事実を知っている人が嘘の重みに耐えきれずに苦しんでいる。

 

  それが初めて北原百代さんに会って話を聞いた際に、私が感じたことだった。

 

  北原さんは、今から50年ほど前、エジプトの首都カイロでひょんなことから留学生であった小池百合子氏と同居生活を送った。

 

たったの2年間。

 

しかし、その2年間によって彼女は生涯、苦しむことになってしまう。

 

  なぜなら、その後、帰国した小池氏が「カイロ大学を卒業した才媛」として、自らをメディアで売り出していったからだ。

 

  だが、小池氏が、カイロ大学を卒業できなかった経緯を同居人であった北原さんは知っていた。いわば、学歴詐称を知る生き証人となってしまったのだ。

 

  小池氏がテレビキャスターであった時代は、「小池さんらしいな」と驚きながらも、黙認してきた。

 

だが、国会議員になったと知り、悩むようになった。公人の経歴詐称は許されることなのか、と。

 

  小池氏が大臣になり、さらに北原さんの悩みは深くなった。

 

  黙っているべきか、真実を世間に伝えるべきか。

 

心は揺れた。周囲に相談すると、「権力者を批判してもいいことはない」と言われた。

 

時には「小池さんの出世に嫉妬しているの?」と言われることもあった。

大手新聞社に手紙を送ったが、何の返答もなかった

 その後、小池氏は防衛大臣になり、さらには総理大臣候補だと報じられるようになる。

 

  北原さんはその当時、カイロに住んでいた。エジプトは軍事国家であり、日本は多額のODAを同国に支援している。

 

小池氏はエジプト政府とつながっている。

 

  そんな小池氏の最大の弱みを知ってしまっているのだ。

 

自分さえいなければ、事実を知る人はこの世から消えるのだ。

 

そう思うと、次第に恐怖を覚えるようになった。

 

  北原さんは人前に出ることを極力、避けるようになっていった。

 

自分の住所を人に知られることを恐れるようになり、自然と交遊は狭められた。

 

  何かに怯えて、消極的に生きることを余儀なくされるようになってしまったのだ。

 

何も悪いことはしていないというのに。

 

  北原さんは昭和16年生まれ。

 

80代となり、人生の晩年を迎えた。

 

そして、やはり自分には事実を伝える義務があるのではないか、黙っていることも罪なのではないか、との思いを強くしていった。

 

そこでメディアに事実を伝えようと決意し、大手新聞社に手紙を送った。

 

ところが、何の返答もなかった。

 

権力者の不正を確かめようともしないのか、あるいは、権力者とメディアは完全に結託しているのか。ならば、自分の手紙がそのまま小池氏側に回ってしまう恐れもあるのではないか。

「早川玲子という証言者は実在しないのではないか」

 そんな中で、偶然、雑誌に書いた私の文章を目にし、「この人は小池さんの嘘に気づいているのではないか」と感じて、藁にもすがる思いで手紙を書き送ってくれたのだった。

 

  私は文藝春秋気付で届いた手紙を読んで、すぐに北原さんに会いに行き、何度も面会を重ねた。

 

資料類も提供してもらい、雑誌発表を経て、『女帝 小池百合子』(文藝春秋)を2020年5月に刊行。社会的反響は予想以上だった。

 

しかし、この時、北原さんの身の安全を図って「早川玲子」という仮名にしたことから、北原さんの証言に対する批判も湧き上がった。

 

 「早川玲子という証言者は実在しないのではないか」「粘着質のおかしな人なんじゃないか」「出世して自分を省みなくなった小池氏に執着して嫌がらせをしているのではないか」「仮名で発言する人なんて信用できない」――。

 

  ネット上の匿名コメントではない。これらはいずれも著名人による批判の言葉だった。

 

  著者の私への批判はともかく、身の危険に怯えながら「学歴詐称」の重大証言をしてくれた北原さんへの心ない誹謗に、私は作家として責任を感じた。

女性に対しては、公人であっても事実の追及が許されないのか

 だが、何よりも北原さんがショックを受けたことは、政治家という公人に対する信頼性が問われているにもかかわらず、大手メディア(テレビや新聞)が、この学歴詐称疑惑を同著が社会的に反響を呼んでいたにもかかわらず、まったく追及しようとしなかったことだった。

 

 「私が仮名で証言したせいで本の信憑性が損なわれたのでしょうか」と気に病む北原さんに、私は、「気にしないでください」と答えるしかなかったが、内心ではメディアに関わる立場として忸怩たる思いがあった。 

 

 タレントが学歴詐称するとメディアは徹底的に叩く。また政治家に対しても以前は、アメリカの大学を卒業したと偽った国会議員が辞職に追い込まれたことがあった。

 

しかし、小池氏に対しては何の反応もない。 

 

 女性として初めて総理大臣になろうとする人を叩くのか、という批判もあった。

 

女性に対しては、公人であっても事実の追及が許されないのか。それこそ女性差別ではないだろうか。

ジャニー喜多川氏による性加害問題が大きく報じられ…

 学歴などどうでもいい、という批判もあった。

 

私は学歴を問題にしているのではない。

 

詐称を問題にしているのだが、そのように話をすり替えられてしまうことも少なからずあった。

 

  そうした状況が続く中、今夏になってジャニー喜多川氏による性加害問題が外国メディアによって大きく報じられ、それを後追いする形で、30年以上もこの問題を放置し続けてきた日本の大手メディアが動くという現象が起こった。

 

  北原さんは、この問題を提起した、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんが実名で証言したことに心を動かされていた。

 

 「実名にすれば日本のメディアは私の証言を重んじてくれるのでしょうか」――。

 

 今回、文庫本刊行にあたって、北原さんから早川玲子という仮名を改め、北原百代の実名に切り替えたいとの申し出があった。

 

私は無理をしないで欲しいと伝えたが、北原さんの意志は固かった。

 

自分の残された人生は短い、悔いの残らないように、できる限りのことをしたい……という思いだという。 

 

 この気持ちに日本のメディアは、どう応じるのであろうか。

 

石井 妙子

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