シィ~ンと静まり返ったテーブルにただ、食べ物を黙々と口に入れる音だけが響いていた。
そんな沈黙に絶えられず私はテレビのスイッチを入れる。
テレビから漫才師の甲高い笑い声と、どうでも良いような内容の話が聞こえる。
「クス・・」
思わず私はそんなくだらない話に思わず声を出して笑ってしまった。
主人の誠が無口な事は付き合っていた当時から知っていた。
職場では明るく口から産まれて来たのでは?なんて噂されるほどのおしゃべりの彼だがプライベートでは殆ど話をする事は無い。
付き合い始めて初めてその事実を知った時は正直、驚いたが基本的に私もあまり話をする事が好きではない性格だったのであまり彼の無口な事には気にも止めて居なかった。
「結婚しないか?今日子!」
無口な彼に突然にそう言われ私は驚きのあまりに悲鳴にも似た声を上げた。
そんな私を驚いたように旦那は何も言わずに見つめていた。
結婚して早いもので5年の月日が流れていた。
一日も早く子供を!と私も彼も望んでいたが神様は気まぐれで未だに私のお腹に小さな命が授かる事は無かった。
何時からだろう?私達、夫婦が殆ど話をしなくなったのは・・
正直、それは自然な成り行きだと思う。
夫婦の間に会話が必要だと多くの友人が評論家のように私に言った。
でも、私は別にそうは思わない。無理をして話をしてもそれは所詮は偽りの幸せでしか無いのだから。
会話が無ければ無いで別に今の生活には支障がある訳でも無いのだから・・
主人の給料もそこそこで別に私が働かなくても生活には支障が無かった。
それよりも彼は私が仕事をする事を極端に嫌った。
結婚しても仕事を続けたいと願う私に彼は不機嫌そうに言った。
「何で仕事を続ける必要があるんだ!別に困らないだろう・・」
その一言で私が専業主婦になる事は決定したのだ。
何にも変化が無い生活。
それでも仕事を辞めて1.2年はそんなのんびりとした生活を楽しんでいた。
料理教室や様々な習い事をして時間を潰す生活。
そんな生活に飽き始めたの結婚して3年目ぐらいの事であった。
子供でも出来ていたらきっと、そうは思わなかったに違いない。
子供の世話に追われながら女の幸せを実感できる生活を送っていたのかもしれない。
しかし、そんなに世の中は上手く出来ていない。
そうだ!もしも、子供さえ出来ていれば私の人生は変わっていた。
いや、止めよう!今更、そんな事を言っても遅いのだから・・
ある日、私はブログを始める事にした。
別に何が書きたかった訳では無い。多分、そんな暇を持て余しながらブログを書き始めた主婦は多いのでは無いかと思う。
書き始めたブログも実に何にも内容の無い世間話のような内容で書いている本人ですらなんとつまらないブログだと思ってしまう程であった。
アメーバーと言う老舗でブログを開設した私・・・
ある意味、最初の頃は良い暇しのぎになった。ブログの為にデジタルカメラまで購入したくらいだ。
しかし、そんなブログも3ヶ月も過ぎると飽きてしまった。
そんなある日、アメーバーが新たな機能を発表した。
巷ではツイスターと言う独り言がブームになっていてそれのアメプロ版とでも言うのだろうか??
何気なく「なう」に独り言を書き始めた。それが苦しみの始まりになるとその時の私は想像もしていなかった。
地獄の扉は開かれた・・・まさにそれが、その瞬間であったと思う。
「なう」には返信機能が付いていた。
何時の間にか私の独り言に数人の読者が付き始める。
ブログに読者が居ないのに「なう」に読者が付くのなんとなく違和感を覚えた。
何気に付き始めた数人の読者は何時の間にか私の入れて5人の仲間に固まって居た。
そう、「なう」と言う名の小さな世界の友人たちである。
男性3名、女性は私を入れて2名。
そんな5人が今からなんとも奇妙な異次元の恋愛の世界に引き込まれようとはきっとその時は誰も知らなかった事だと思う。
一応、住人の自己紹介をしておこうと思う。
一人目はHNヒデちゃん(男性)「こんなもんだろ!」と言う日記をブログで書いている30代の既婚の男性である。
二人目はHN雪姉さん(女性)「秘密は墓場まで持って行け!」と言う日記をブログで書いている20代の独身の女性である
三人目はHNポンちゃん(男性)「読むにつれ心!時めく!」と言う小説をブログで書いている40代の既婚の男性である
四人目はHNベッキー(男性)「今夜も何処かの星の下で」と言う小説をブログで書いている40代の既婚の男性である。
そして最後はHNみい(私)「みいのお部屋のようこそ!」と言う日記を書いて居る。
こんな住んでいる所も年齢もまったく違う5人の男と女が偶然に私のなうに集まった。
毎日、「おはよう!」から始まり「おやすみなさい!」で終わる。
そんな奇妙な文字だけの付き合い。この話はこんな5人の奇妙な恋の物語です。