絆 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

そっと、友美の手を離す時に・・・


中指で彼女の手の平を優しくなぞる・・・


友美はなんとなくせつなそうな表情を浮かべ・・


「何だか恋人同士の別れみたいだね!」と呟いた。


私はそんな友美の言葉に何も答えを返してやれずただ、何度も振り返り彼女の顔を見つめながら・・


駅の改札に向った。


次の日、私は佐々木に言った通りに会社で資料を確認するために出社していた。


会社に着きまずは自分のパソコンを開きメールをチェックする。


殆どがどうでも良い内容のダイレクトメールばかりであった。


そんな中に私は1通の興味深いメールを発見する。


「絆・メール相談」


そう書かれた題名を何気なくクイックしてメールを開いてみた。


親友と呼べる人がいない。とにかく愚痴を聞いて欲しい。誰にも話せない秘密の恋愛で悩んでいる。友人や家族には言えないこと、世間話、なんでも構いません。あなたの心の叫びをお聞かせください!

専門スタッフが業務としてではなく!あなたの心友として一生懸命に話し相手になります!


そんな説明書きの後にメール一往復1000円の料金表示がされていた。


その下に専用のHPのアドレスが記載されていた。


なんとも面白い事を考える人間が居る物である。メル友も金で買う時代になったのか?


何とも寂しい話と言うか?いや、しかし、他人との面倒なしがらみを避けて話し相手だけを金で買えるのなら

1000円でも安いのかもしれない。


それに、何度も気軽に話せる相手など絶対に居ないのだ。ある意味、気軽に他人だから、何のしがらみも無いから相談できる、愚痴れると言う事もある。


現代の人間同士のコミニュケーションを苦手としている若者には持って来いなのかもしれない。


私は何気なくそのDMを保存して残りのメールを全て削除した。


次の日、早朝より私は3名のチームスタッフを同行させて今日子の会社に向った。


前回とは違い中途半端な会議室ではなく今度は立派な応接室に通される。


我が社が認められた証拠だと思った。


しばらくすると今日子とジョーと数人の日本人スタッフが現れた。


私達は初対面のスタッフに名刺を差し出しながら丁重に挨拶をした。


一通りの説明を終えたのは12時を少しだけ過ぎた頃であった。


「良かったら坂本!ランチにでも一緒に行かないか?」


ジョーは笑顔で言った。


「OK!行きましょう!」


応接室か関係者が次々と出て行く。


最後に私と今日子だけ残った。


「今晩、付き合ってくれないかな~~」


今日子は少しだけ甘えた声で私にそう言った。


「それは仕事ですか?それともプライベート?」


そんな私の愚問に今日子は少しだけ不愉快そうな顔をして「プライベートで!」と答えた。


「なら、アルタ前に7時ではどうすか?」


そう私が答えると今日子は少し意外そうな顔をして


「本当に良いの?」と答えた。


「おい!行くぞ!坂本!急げ!」


急に課長がドアから顔を出しそう怒鳴るように言った。


私は焦りながら書類を鞄に詰め込むと急いで部屋を出てロビーに向った。


するといきなり携帯電話がなった。


誰だ?この忙しいのに!携帯の表示を見る。私の知らない電話番号であった。


私は無視をして留守番電話に接続させる。


私は何かに追い立てられるかのように部下たちとタクシーに乗り込むのであった。


愛してはいけない恋がある・・


そして、愛されてはいけない恋がある・・


目に見えない愛と言う魔物に私はもて遊ばれるかのように時間を過ごしていたような気がする・・


人生は辛すぎて私の手には負えない。