ああ・・君恋し・・ | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

「別にバイクでも良いのだけど条件が一つあるわ!」


不意にそう言われ私は少しだけ戸惑いの表情を見せる・


「条件とは?」


今日子はまるでおどけた少女のように微笑みながら言った。


「私に運転させてよ!」と


私は少しだけ驚きながら・・


「これは車の免許じゃ乗れないんだぜ!限定解除って言うバイクの免許がないと!」


そう私が言うと今日子は少しだけ誇らしげに財布から免許証を取り出す。


「これの事かしら?その、限定解除とか言う大層な物は・・」


驚いた事に彼女は限定解除の免許を持っていた。


そう言えば、私のマンションの地下の駐車場にピカピカのハーレーが一台、止まっている。


もしかして??あのバイクは彼女の物なのか?


「バイク・・好きなの」


そんな私の質問に・・


「好き?冗談じゃないわ!好きなんてものじゃないわよ!愛してる・・」


そう言いながら笑っていた・・・


「なら、2台で行こう!もう一台、用意するから・・」


私は急いで勝又に電話をした。


「何時でも取りに来いよ!バイクは売るほどあるのだから・・」


そうだ、彼はハーレーのバイクショップのオーナーなのである。


「よし!もう一台、確保出来たから2台でツーリングに行こうぜ!」


「まさに!サプライズね!こんな楽しい接待を受けた事が無いわ!」


そう言いながら今日子は嬉しそうにバイクのエンジンをかけた・・・


ドドドドド・・・・ッ!ドドドド・・・・・・・・ッ!


心地よい低音のエンジン音が嬉しそうに叫び始める。


「しっかり捕まっていなさいよ!あなた!年なんだからね!振り落とされないようにね!」


そう笑いながら今日子が呟くとバイクは静かに走り始めた・・・


今日子の背中の温もりが何とも安らぎを私に与えた・・


そして時折、無意識に触れる彼女の胸の柔らかさが私の心臓をドキドキと鼓動させた・・


真っ青な空がまるで私達を包み込むように、私達を包み込んでくれた。


そして、私の接待が始まった。


国道136号線を国道1号線に向う。


1号線にでると左折して静岡方面に少し行くと勝又のバイクショップが立っていた。


既に外で彼はバイクのエンジンをかけて調子を見ていた。


「悪いね!何度も無理なお願いを・・」


「別に!今に始まった事ではないし・・」


そっけなくそう言うとバイクの運転席に座っている今日子をジロリと睨みつけた。


「お前にしては随分と美人と一緒に居るな!まぁ~うちのかみさんには負けるけど!

お嬢さん!悪いが、そのバイクは坂本専用でね!君のバイクは用意したから乗り換えもらえるか?」


このバイクは・・・そうだ、こいつとの思い出のバイクであった。


私が勝又と初めで出会った時の思い出のバイクである。


今日子は少し戸惑いながらバイクを降りると用意された他のハーレーに乗り換えた。


「ステキなバイクですね!とても可愛がられているのが解ります!」


今日子はそのハーレーのタンクを優しくなぞりながらそう呟いた。


「気に入った!ねぇ~ちゃん!」


勝又は少し興奮気味にそう言った。


「坂本!今夜は宴会やろうぜ!何時ものキャンプ場に6時だ!」


勝又は何時もそうだ!相手の都合などまったく気にしない。


それにしても今日子を気に入るとはあの女を妻にした男にしては女を見る目がある。


私はどうも、勝又の奥さんが苦手であった。少しだけ気が強いと言うのか・・威圧感があると言うのか・・


「えっ!キャンプ場で宴会ですか!またしてもサプライズ!楽しみにしています!

それでは、この子をしばし、お借りします」


そう言いながら今日子はハーレーのエンジンをかけた。


「とりあえず、箱根に行きましょう!」


そう私は今日子に言うと国道1号線を箱根に向かい走り出した。