私も朝、旦那を送り出すとよくモーニングを食べにこの店に来ている。
何とも美味そうなコーヒーの香が店内を包み込み何とも言えない空間を作り出している。
一つ笑えるのはマスターは何時もそんな絶品の自分が入れたコーヒーは飲まずにインスタントのコーヒーを飲んでいる事だ。
ある日、マスターに「何で飲まないの?」と聞いたら彼は笑いながら・・
「これは売り物だからね!お客様にしか出さないのさ!私のような人間はインスタントで十分なんだ!」と呟く。
最近、知った事だが、実はマスターはコーヒーがあまり好きではないらしい。
そう聞いてよくマスターを見ていると何時も飲んでいるのは紅茶であった。
マスターは何時も暇な時は本を読んでいるか、何かカウンターの奥に置いてあるパソコンのキーを叩いている。何時か私が「マスターはブログとかやらないの?これだけ本好きなら自分のお勧めの本とかを紹介するブログを作れば良いのに!結構、人気が出ると思うよ!」といった事がある。
そんな私の言葉に彼は苦笑いを浮かべながら言った。
「私はどうも文字を書くのが苦手でね!」と
そんなマスターの言葉を横で聞いていた一人の老人が楽しそうに笑っていた。
最近、聞いた話だが実はマスターは「花子」と言うペンネームで小説を書いている本物の小説家の先生らしい。
「花子」、そう言えばあまり読書をしない私でも何度かは聞いて事がある名前であった。
私は知らぬ事とは言え、本物の小説家に偉そうに文字について能書きを熱く語っていた事に赤面した。
その日も私は旦那を送り出すとパートに行く前に「寄り道」で寄り道をしてパート先に向った。最近は大分、仕事にも慣れて従業員達とも気軽に話が出来るようになって来た。
しかし、店長とはどうしても話が上手く出来ない。
それはパート仲間の共通な感じだと最近知った。
どうもあの店長は話にくい。何時も不機嫌そうにしているから・・
その反面、副店長は笑顔を絶やさず話しやすいと評判である。
「今日も一日、お疲れ様ね!」
「なう」に一日を終えそう書き込む瞬間がなんとなく一番、安らぎの時間に最近なっていりる。旦那は相変わらず帰宅して夕食を食べると逃げるように書斎に行ってしまう。
たまにテレビも何も無いあの部屋で彼がいったい何を深夜までしているのか知りたいと思う事がある。
しかし、世の中には知らない方が幸せな事もある。何かを知る事は必ずしも正解では無いのだと私は思っている。だから、探る事はしない。
ただ、何となくポンちゃんの言葉を思い出す。
本当に彼は不倫をしてるのだろうか?と・・
「皆は夜、自宅に帰ったら何をしてるの?」
そんなどうでも良い独り言を書いてみる。
「僕は早く帰れた日は子供の世話に追われています!」
そう書いて来たのは子煩悩のヒデちゃんであった。
「私はどうだろう?最近は家に帰りたくないの!だから夜の街をさ迷っている」
雪ちゃんがそう書き込みをすると直ぐに
「私は自分の部屋にこもって小説を書いています!」とポンちゃんが書き込みをした。
みんなの書き込みを見ているとあまり奥さんと会話をしてるようには感じられない。
やはり何処の家も同じような物なのかもしれない。
すると突然に見慣れない訪問者が現れた。
HNみゆき・・・
「突然に失礼します!よろしければ私も仲間に入れて頂けませんか?ポンさんの板から参りました!みゆきと申します。」
そんな書き込みにポンちゃんは何も言葉を発しなかった。
仕方が無いので私が書き込みをした。
「別に勝手に集まっている仲良し5人組です!お気軽に発言してください!」と
すると直ぐに私のブログのメッセージ欄にメッセージが送られて来た。
送り主はポンちゃん
「あいつには関わりにならない方が良い!」
そんな言葉にポンちゃんはあまり「みゆき」と言う住人を好きでない事が感じられた。
「ありがとうございます!時間がある時に遊びに来ますね!ポンさんの「なう」に常駐していますから皆さんもお気軽に私に話しかけてくださいね!」
そうみゆきは書き込むと姿を消した。
「あいつ嫌いなんだよね!なんとなく・・」
メッセージにそう再びポンちゃんからメッセージが届く。いったいどんな感じの人なのか?少しだけ迷惑に思った。
せっかく仲良くやっているのに・・・何となくこの世界を壊されたく無いと・・
佐々木清美は、みいの「なう」への書き込みを終えると静かにパソコンの電源を落とした。
最近、こんな感じの夜を毎晩のように過ごしている。
同期入社の同僚たちは皆、数年前に寿なんとかで退社してしまった。昔からの友人も居るが皆、結婚してるのでどうも話が合わない。
社内では「おつぼね」なんてあだ名で言われている事は十分に知っている。まだ35歳なのに40歳を越えていると噂をされている事は少しだけ心外であった。
結婚できない女と言われる事を屈辱だと思っている。自分は決して結婚が出来ない訳ではない。結婚をしないのだ!昔した忘れられない恋愛で愛した男の事を今でも忘れられず引きずっていた。