多分!続く・・№19(世の中はそんなに甘くない!) | 僕が死ぬ日・・生まれる日

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僕が死んで・・生まれる日までの記録


お腹に子供が居る?それは信じられない言葉であった。

子供が居ると言う事はそれないりの男と女の関係であると言う事に間違いはないはずである。子供が居る?あんた・・馬鹿にも程があるよ!私はそう彼に向かい言ってやりたい気持ちでいっぱいであった。

「妻が妊娠してると言うのは確かなんですか?」

そう私が彼に聞くと横から妻がそっと真新しい母子手帳を差し出した。

父親名「坂本誠」

そう書かれた母子手帳の表紙の文字がなんとなく生しい。

「本当なのか?」

私は確認するように妻に聞いた。

妻は何も言わずに静かに頷いた。

私は上着のポケットからタバコと携帯用の灰皿を取り出した。

そして静かにタバコに火をつける。

タバコの煙が一本、まるで天に帰る竜のように上に向かい上った。

「家ではタバコは吸わないでって約束したでしょ!」

そんな妻の言葉に私は少しだけ微笑み言った。

「一度、やってみたかったんだ!良いだろ?どうせ明日から他人なんだから・・」と

そう呟いた瞬間、不覚にも私の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちてしまった。

私のはその涙を二人に気づかれないようにそっと拭った。

この涙の意味はいったい何だったのだろう?私は二人の顔を見つめながら考えていた。

そして答えを見つけた。

あ~そうだ!安らぎの涙なのだ!束縛から解放された安らぎの・・

そして最愛の娘との別れを悲しむ涙なのだと悟った。

私はタバコの火を消すと彼に言った。

「夕飯は食べたかい?良かったら今から飲みにでも行かないか?おごるよ!」と

彼は少しだけ驚いた顔をして妻の今日子を見つめた。

そしてまるで父親に叱られ母親に助けを求める幼稚園児のような顔であった。

私はそんな彼の顔を見つめ、こんな男に自分の妻を寝取られた不運を呪った。

できれば私が脱帽するくらいの男であって欲しかった。私は素直にこの現実を認めるために。

「悪いが妻と少しだけ二人で話をさせてもらえないか?」

そう私が彼に言うと彼は立ち上がり部屋を後にした。

まるで時間が止まったように感じた。

5年間も一緒に暮らして来た女なのに、二人になった瞬間に時間は止まった。

「理由を聞かせてくれないか?今後の参考の為に・・」

そう私が呟くと妻は少しだけ辛そうな顔をした。

これほど自分がこんな突然の出来事に冷静で居れる事が不思議であった。

一回りも年が離れた男に妻を奪われ子供まで作られ、そんな状態で私は発狂もせずに冷静にそんな若者に対応している。

なぜか?なんて妻の顔を見つめ考えていた。答えは一つしか無かった。

それは私自身もそれを望んでいたのだ。そして5年の間、何度もこんな光景をシュミレーションして来たのだ。そう、自分が悪者にならなくても良い。そんな場面を・・

「きっと、愛していなかったのね!あなたの事を!神様もたまには過ちを犯すのだと思う

きっと、運命の赤い糸を結び間違えたんだわ!」

愛して居なかった!正直、この言葉を聞いた瞬間にもう一度、涙が出た。

「あの男と何時から付き合って居たんだ?」

「えっ?そうね~半年も前かしら?ネットの掲示板でね知り合ったのよ!

出会って1ヵ月後ぐらいに食事に誘われてね!興味本位で行ってみたの

彼を一目見てね!思った。私はきっと彼を好きになるって!

これでも一応は悩んだのよ!葵も居るしね!葵の父親はやはりあなた以外には居ないもの

でもね!気がついてしまったの!私ね!本当はあなたを愛していなかったって事に・・

そして今まで付き合って来た男、全員・・愛してなんか居なかったって!

初めてなの!こんなに男を愛しいと思ったの!」

初めて好きになった男か・・初めて・・・

「お前!わざと子供を作っただろ??何でだ?」

「あら、鋭いわね!あなたと別れる決心をするためよ!自分が罪深い女だとこれから一生悔いて行くため!私は家族の幸せより女の幸せを選んでしまった。だから・・」

「奇麗事だな!あんな若い男にそんな理由で大きな荷物を背負わせたのか?」

「荷物?子供は荷物ではないわよ!生きる希望よ・・男と女が二人で生きて行く希望!」

私は呆れたように妻の顔を見つめた。

「お前の両親も承諾してるのか?」

そんな私の言葉に妻は小さく頷いた。

「そうか!解った。離婚しょう!」

そう私が言った瞬間に妻は一枚の紙を引き出しから取り出した。

すでに自分の欄には署名と印鑑が押されている。用意が良い事だ。

「これはまだ、書けないよ!」

そんな私の言葉に妻は少しだけ顔をしかめる。

「何で?」

「えっ?だって全てが終わって居ないから・・」

私はそう言うと立ち上がり自分の部屋に向かいボストンバック1個分の私物を詰め込んだ。

「裁判所で会おう!世の中はそんなに甘くないんだぜ!」

そう元妻に言うと静かに玄関を開いき家の外に出た。