多分、続く・・№1(小説家として生きる) | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

全ての恋の始まりは偶然から始まる。

そんな言葉を聞いた事がある。

私は何時もそんな言葉を聞くたびに思うのだ・・

果たして本当にそうだろうか?恋は偶然の出会いから始まるのではなく・・

きっと、必然的な出会いから始まる物だと私は思っている・・

そう・・偶然の出会いなんてありえない・・

自分の努力のみの出会いが愛を生むに違いない。

そう私は思っていた・・彼女に出会うまでは・・・

そう・・思っていた。

偶然の出会い。そんなくだらない設定を私は自分の必殺アイテムのように何時も使う!

なぜなら、そうしないと話が進まないからだ!

私の名前は坂本誠。年は今年で数えて35歳になる。職業は一応・・小説家である。

夢を売る仕事だと人はこの「小説家」なる職業を賛美しながら言う。

しかし、小説家などと言う仕事は読者が考えて居る程、夢など無いし、読者に夢など与えられる職業では無いと私は思っている。

今の私にあるのは、書かなくていけないと言う義務感と何時、仕事が無くなるかと言う恐怖感だけである。

小説家になる前は私はある食品スーパーで仕事をしていた。30歳の時に結婚をして次の年の娘が一人生まれた。

仕事の合間にせっせと書き溜めた「陽炎」と言う小説がある文学大賞で最優秀賞を受けて

その「陽炎」が書籍化されたのは私が31歳の時である。

妻には内緒であった。ある意味、秘密の小遣い稼ぎ程度の感覚で私は文字を書いていた。

「陽炎」が意外なほど好評でそこそこの売れ上げを上げ、調子に乗った出版社が私に第二作目を依頼して来たのはその年の年末の事であった。

あれから4年・・半年毎に私はベッキーと言うな名前で本を出した。

その本がそこそこ売れたのはまさに奇跡としか考えられない。

妻に秘密にしていた隠し口座の通帳には何時の間にか3億円の数字が刻まれていた。

正直、スーパーの仕事が嫌いでは無かった私は作家とスーパーの仕事の二束のわらじを履こうと単純に考えていた。しかし、現実はそんなに甘くは無い。

増える一方の文字の仕事・・そして不景気の大波に直撃されている販売業界・・

どちらを取るかと言われ普通の人間が当たり前のように選択をする方を私も選択をした。

妻に仕事を辞めたいと思うと言った晩に私は妻からもの凄い罵声を浴びた。

「無責任な男!」「これからどうやって暮らして行くの!」「再就職なんて無理よ!」

そしてそんな言葉の後に必ず同じ言葉が付く・・

なんの取り柄も無いくせに・・・

そう、私は妻から見れば何の取り柄も無いただのオヤジなのだ・・