めぐり合い・・ | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

今日子の店に行った数日後、私の携帯電話が突然に鳴った。


見慣れない電話番号・・


基本的に私はそんな番号の電話には出ない。


見知らぬ人間からの電話は大体、ろくな結果を生まないからだ。


ただ、なんとなくその電話番号に見覚えのあった私は不覚にもその電話に出てしまった。


「わかる??誰か??」


いきなりそう言われてたが私にはその声の主がわかっていた。


「ああ・・今日子さんだろ?」


そんな私の言葉に今日子は嫌味っぽく言う


「あら光栄ね覚えて居て頂いて・・」と


ただなんとなく特徴のある甘い声に・・私はもしかしたら引かれていたのかもしれない。


「こんな美人がわざわざプライベートの番号を教えたのにかけて来ないなんて失礼ね!」


少し不機嫌そうに・・いや私をからかうように今日子がそう言った。


「い・・いや・・そうではなく・・」


なぜか私はそんな彼女に言い訳をする・・


きっと、心の何処かで今日子と言う女との関わりを求めていたのかもしれない・・


「ほら!テレビを選んでくれる約束!覚えてる??」


そう言われたが私にはそんな記憶は無かった。


「ああ・・悪い!忙しくってね!それで・・」


そう言いかけると私の言葉をさえぎるように今日子が言った。


「今夜、アルタ前に9時でどうかしら?

その時にお勧めのテレビのカタログも持って来てね!」


私は何も言えずにその強引な今日子の申し出を承諾させられた。


電話を取り妻に電話をする。


「悪い!急に木村と飲む事になって・・・」


そんな私の言葉に妻は少し怒ったように言った


「あなた・・最近、木村さんとよく飲むわね!」と


「ああ・・なんとなくな!今夜は帰るけど少し遅くなると思う・・」


「そう!もう若くないんだから・・あまり飲みすぎないでね!

それと・・・」


「それと??なんだい??」


「えっ・・良いわ!また今度・・話すから・・」


なんとなく気になる言い方だった・・


その事に対し「話せよ!」なんて私は言えなかった・・・


もしかしたら・・それが別れの話かもしれないからだ・・


だから・・聞かなかった。


そして私は直ぐに木村にメールを送った。


「狼が家に来ます」


昔からの私達の秘密の暗号・・・


今夜、お前と会っている事になっているから・・頼む!


そんな意味の・・暗号を・・


「2番目の子豚の家は木造らしいぞ!」


そしてそれがOKのサイン・・


そのメールは私がメールを流して直ぐに返信されて来た。


仕事が終わり私はそのまま新宿に向かった。


夜9時だと言うのに新宿の街は人で溢れている。


眠らない街とは上手いことを言ったものだと思う。


しばらくすると駅の方から一人の女が歩いてくる。


そして何とも表現できない妖艶な微笑を私に向けてした。


「お待たせ・・行きましょう!」


私は今日子に引きずられるように強引に腕を捕まれ夜の歌舞伎町に向かうのだった。


行ってはいけない!この女は・・危険だ・・・


そんな言葉を心の中で何度も何度も繰り返しながら・・


そしてその度に・・


この女の甘い香りと時々、私の腕に伝わる胸の感触がその言葉を打ち砕くのであった。


この女は・・危険だ・・でも・・逃げられない・・と


人生は辛すぎて私の手には負えない。