見失った目的 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

私は漫画の原案を書く事にした。


ふと・・そう決めた瞬間、私は思った。


木村の未来はどうなるのか??と・・


私は自分の事ばかり考えて他人の未来を消し去り多くの人間を不幸にしているのでは無いのかと・・


木村はこれからどうやって暮らして行くのだろう??


漫画の原案の仕事があったから木村は10年もの下積みに耐えられたのだ。


静香と言う女が木村を支えて来たと言っても言い過ぎではない。


「友美が援助してくれるってさ~」


木村は笑いながらそう言っていた・・


しかし、木村はまだ、友美と言う女をまったく理解していない。


いや・・それが当たり前なのかもしれない。


それは、長年、夫婦として一緒に生きて来た私だけ知ってる事なのかもしれない。


私達が大学を卒業して3ヵ月後に静香は華々しくデビューした。


これは私が知っている過去と一緒である。


そして、漫画の内容も一緒だ。


ただ、違うのはそれを書いているのが木村ではなく私であると言う事である。


静香は一年後には一流漫画家と呼ばれる女になっていた。


そして、私もその後、一冊の本を出した。


その本もベストセラーになり私の地位も不動のものとなる。


天才・・・


私と静香はそう世間から呼ばれるようになった。


3年の月日が流れた。


ある夜、木村から私の携帯電話に電話が入る・・


「誠・・俺、結婚しょうと思うんだ・・」


「だ・・誰と??」


思わず私はそう聞きなおしてしまった。


「えっ・・友美に決まってるだろ!」と木村は笑いながら言った。


「良いのか??お前・・」


悪気があった訳ではない・・それは自然に出た言葉であった。


「ああ・・俺さ・・小説家になる夢は捨てないよ!

でも、友美との関係もはっきりしないとな!

もう・・俺たちだって26歳なんだから・・

来てくれるだろ!大作家先生・・俺たちを祝福に・・」


「ああ・・招待状を送ってくれよ!」


私のこの心に溢れる不安な気持ちは何なのだろう???


これは・・小さな嫉妬だったのかもしれない。


式は盛大に行われた。


友美の実家は裕福である。


それはこの世界でも変わらないようであった。


「あら・・大先生!お久しぶりね!」


私の前の席にそう呟きながら座る一人の女・・・


今日子・・・また、一段と美しく・・大人の女になったな・・


「よう・・久しぶり!元気か??」


「う・・ん!まぁ~ボチボチかな・・」


ふと私は自分が大切な事を忘れていた事に気がつく・・


あ~そうだ、私は別に一流の作家になりたいと思っていたのでは無いのだ・・


私はこの女に・・・言えなかった想いを伝える為に人生をリセットしたのだと・・


今日子の横に見知らぬ男が1人・・・


「こちらは??」


そう私が今日子に尋ねると今日子は笑いながら言った。


「今・・お付き合いしてる加藤さんよ!」と


加藤??


確か今日子が結婚した男は須藤では無かっただろうか???


そうだ!確かに須藤だ・・・


加藤???


こいつはいったい誰なんだ・・


人生は辛すぎて私の手には負えない。