放浪する千鶴子 其の死 | 墨呂空の無双芸術劇場

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2019年12月千鶴子が死んだ

詳細は一年経ってから聞いた

母の末弟叔父が立ち会った

母も母の年子の弟も、次女もなくなり

末の叔父も癌治療中で千鶴子どころではなかったが

 

特養からの知らせ

母の末弟には連絡が来た

 

福山千鶴子さん(81)

心不全で亡くなりました

葬儀は市で行いますが

親類縁者の方も火葬には立ち会えます

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叔父は病を押して横浜市の葬儀場に来た

なんと4人の子が来ていた

皆立派な家庭人である

火葬の最中、4人の子は下を向いて沈黙していた

恨み言も何も・・・・・・・・・・・・・

大体母の温もり、そういう事を知らないで成人した

千鶴子の産んだ子たちはどんな思いだったのだろう?

 

母という名の女の死を悼んだのか

沈黙の2時間が終わると

 

叔父にだけは挨拶して帰っていったという

遺骨を引き取る者はなかった

 

市の無縁仏

福山の墓もあるが・・・・そこには入れない

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叔父はステージ3の前立腺がんだったが

奇蹟的に寛解していた

 

老後の蓄えは治療費に消えたよ

全く人生は思い通りには行かないさ

 

 

老いれば老いるほど悩みも多くなる

 

それは、私も思う

いい事なんかこれからあるのだろうか

自問自答する

 

 

西家の法要に叔父が来て

千鶴子の最後を話してくれた

 

 

千鶴子ちゃん死んだよ

千鶴子ちゃんの・・・葬儀は・・・

その様子をポツリポツリと話してくれた

 

 

千鶴子ちゃんは幸福だったよ

最後にそう私に話した

 

あぁそうね、千鶴子ちゃんは幸福だった

あんなに幸せな女はいないよね

 

神社の木漏れ日が差し込む

梅雨明けの7月の太陽は暑くて眩暈がした

 

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【墨呂空】