放浪する千鶴子 其の弐 | 墨呂空の無双芸術劇場

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 改訂版

Amore Libero

無償の愛
L`amore della madre
母の愛
千鶴子には3人の姉がいる
長女福山富士子
次女福山百合子
三女福山美根子四女
そして四女
千鶴子
その下に母富士子の末弟
七人兄弟姉妹
私の叔父叔母
 
一昨日、次女の百合子が亡くなった
私の母の10歳違いの妹である
福山家はこの次女までが全盛期で
私の祖父亡きあとの生活は大変だった
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九州から国鉄職員として東京に出て来た祖父母
長女、年子の弟、次女は
私立の高等女学校、旧制中学卒
当時では、まともなを受けたが
母方祖父は戦後すぐに病死した
まだ高等教育を受けていない4人の子を残して・・・
 
祖母はどんな仕事もしたらしい
手紙の宛名書き、病院の付添婦、清掃婦
あの頃は寡婦年金や子供手当もない貧乏生活
母の年子の弟が大手銀行に勤められたので
何とかやってこれた様だ
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私の母富士子は田舎の御大尽西家に嫁ぎ
私の父は福山の家に援助したので
中卒なんて事はなかったのだろうが
やはり少し足りてない千鶴子は
高校なんかに行く気はなくて
中学を卒業した途端、家出する
男の所に転がりこむ千鶴子
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       祖母の悩み
私の祖母は千鶴子がいなくなると
血まなこになり必死に探したらしい
一緒に東京中探しまわる
私の母長女の富士子は呆れて
お母さんもういいよ、放っておこう
あんなアバズレ女
 
そういうと祖母のミツルは
そんなもんじゃない自分の子供は
何人いても可愛いんだからね
間違った道に行かない様躾るのが親の責任なんだ
お父さんがなくなったからこそ立派に育てないと
 
こんな母親を持っても
千鶴子の本性の悪さは変わらない
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千鶴子はそんな祖母の願いも虚しく
男とすぐいい仲になり、別れてはまた男の所へ
結婚しても長続きしないというのは
前に語った通りである
子供まで置いて次の男と逃げては
次の男と結婚した叔母千鶴子
根っからの男狂い?なのだろうか
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私が東京の母の実家に行くと
大抵千鶴子には恋人がいて
行くたびに変わっている
子供ながら違うオジサン?なんだこりゃ

私の母はお高い西家に嫁いだので

千鶴子の事は内緒にしていた様子である
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一番驚いたのは
祖母が亡くなった時
私は結婚したばかりで26歳だった
千鶴子が再々婚した相手も
26歳だったこと
そして、もう2歳になる子供がいた事か❓
 
その時、相手の母親
千鶴子の義母に当たる人が
心配そうに来ていたいた
何と彼女は、もう新しい男がいる様で
三番目の夫とは住んでいなかった
 
福山家はどんな家なのか
見に来たのだろう
文句の一言でも言いたそうだったが
千鶴子以外は常識人で驚いていた
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其の葬式のさなか千鶴子はまたいなくなった
親戚一同これには参った
 
通夜の席で母は、千鶴子の隣に座り
 
こんこんと何か𠮟責していた様だ
祖母が亡くなった後は
 
千鶴子の母になったかのようだったが
馬耳東風の叔母千鶴子
自分の子どもなんか眼中になく
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葬式の直会後
忽然といなくなった
 
【墨呂空】