響姫の小さな物語『神様がおしえてくれたこと』 | 幸せが循環する Kawaii♡Mind


 
『神様がおしえてくれたこと』
絵本作家ユニット fu-fu~ふぅふぅ~
文  響姫~otohime~
絵  だんなっち
 
 
 
 
ボクは捨てられた
 
誰もいない山の中に。
 
ボクが乗っていた車が
 
見えなくなってしまった。
 
 
一人ぼっちで置き去りにされたボクは
 
山の中を歩き回った。
 
心も体も限界だった。






 
 
 
そして道路を渡ろうとしたそのとき
 
ものすごい衝撃で 体が宙を舞った。
 
車が走りさっていくのが見えた。
 
 
 
 
また置き去りにされた・・・
 
 
 
 
体は動かない
 
誰も助けてくれない
 
誰もボクをみてくれない
 
どうしてボクは生まれてきたんだろう・・・
 





 
 
 
すると、誰かが話しかけてきた。
 
「よく聞きなさい。
 
君の願いを3つ叶えてあげよう。
 
さぁ、1つめの願いをいってごらん?」
 
 
 
 
「助けてください」
 
 
 
 
そのとき、
 
温かい手が、ボクを抱きかかえた。
 





 
 
 
気が付くと・・・ここは病院?
 
ボクは眠ってしまった。
 
 
 
 
「次の願いはなんだい?」
 
話しかけてきたのは 神様だった。
 
 
 
 
「ボクは助かったの?」
 
 
 
 
神様はただ優しく微笑んで言った。
 
「君の願いをいってごらん?」
 
 
 
 
「おいしいご飯を食べて
 
安心できる場所で眠りたいです」
 



 
 
 
目が覚めると
 
ボクは抱っこされていた。
 
温かい手の・・・女の人。
 
なんだか懐かしい、
 
温かい手。
 
 
 
 
女の人は、
 
ボクに、おいしいご飯と
 
ふかふかの毛布を用意してくれた。

そして、なんどもヨシヨシしてくれた。

 




 
 
 
あまり優しくされたことがないボクは
 
その優しさにどう答えていいのか分からなかったけど、
 
ご飯をたくさん食べて
 
安心して眠ることができた。
 
 
 
 
どれくらいの日が過ぎただろうか?
 
夢の中で、神様の声が聞こえた。
 
 
 
 
「さぁ、さいごの願いを言ってごらん?」
 





 
 
 
ボクはしばらく考えて
 
神様に言った。
 
 
 
 
「神様、ボクを自由にしてください」
 
 
 
 
「自由とはどういうことだい?」
 
 
 
 
「ボクは、おそとで自由に動き回りたい。
 
好き勝手にどこまでも走ってみたい。
 
神様、ボクを自由にしてください。」
 
 
 
 
神様は ほほ笑んで言った。
 
「いいだろう。
 
ただし、これが最後の願いだよ」
 





 
 
 
次の日、
 
お家のドアが少し開いていた。
 
 
 
 
「今だ!」
 
 
 
 
ボクは、一生懸命に走った。
 
もう自由だ!ボクは自由に生きるんだ!
 





 
 
 
どれくらい走っただろう?
 
ボクのお腹が 「グーグー…」と鳴っている。
 
あたりはもう薄暗く、
 
いつもなら女の人がご飯をくれる頃だけど
 
 
 
 
自由になったボクに
 
ご飯の用意をしてくれる人はいない。
 
 
 
 
疲れたボクは
 
稲穂が大きく実った田んぼの中で眠ることにした。
 





 
 
 
次の日の朝、
 
ゴツゴツした冷たい土のまなざしで目が覚めた。
 
ボクは・・・
 
またひとりぼっちになっちゃったのかな、、、
 
 
 
 
女の人の 優しくて温かい手を思い出した。
 
あの人はきっと ボクのことが好きだったと思う。
 
 
 
 
そしてボクは・・・どうだったんだろう?
 





 
 
 
稲穂の先が風に揺られて
 
サワサワと心地よい歌を歌ってくれた。
 
お日様の木漏れ日が心地よく
 
ゴツゴツして冷たかった土も
 
優しい温度に変わった。
 
女の人の膝の上でうたた寝をするように
 
ボクは眠ってしまった。
 





 
 
 
夢の中で、神様の声が聞こえた。
 
 
 
 
「ほんとうはね
 
息をするだけでありがたい。
 
そのほかのことは すべて、
 
生きている''おまけ‘’なんだよ」
 





 
 
 
ボクは、お家に帰ることにした。
 
ボクを大切にしてくれるあの人のところに、
 
帰ることにした。
 
 
 
 
本当の自由なんてわからない。
 
でもボクは、このままでいいと思った。
 
帰ったらきっと
 
あの人はボクを抱きしめてくれるだろうな
 





 
 
 
帰り道、走りながら ボクは思い出した。
 
ボクは前世で、小さい頃に死んじゃったんだ。

もう一度あの人に会いたくて、

あの人のあったかい手が恋しくて、

雲の上で神様にお願いしたんだ!
 
ボクの願いは・・・
 
あの人と一緒に
 
毎日を思いっきり楽しむことだった
 





 
 
 
神様、

ぼく、やっと思い出したよ!

もう迷ったりしない。

生まれてきて、ほんとうに良かった!

だってほら!

あの人が今、目の前にいる!



神様、ほんとうにありがとう!
 





 
 
 
 
 
『さぁ、次は君の番だよ。

 今度は君が、自分の人生を生きる番だ!』
 
 
 
 
ハートハートハートハートハートハートハートハートハートハートハートハート
 
あなたに祝福を♡
 響姫〜otohime〜