怪しい雲行き | 四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

音楽や楽器とはおよそ縁のないまま四十路を迎えた中年男性がヴァイオリンを習い始めた。
このブログは、彼の練習部屋であり、リスニングルームであり、音楽を学ぶ勉強部屋。
整理の行き届いた部屋ではないが、望めば誰でも出入り自由。
どうぞ遠慮なくお入りください。

 数年前からバヨ会と称してほかの人と合奏している私にとって、年に何回かある合奏の機会は、小学生の遠足のようなもの。開催が決まれば、ずいぶんと前からバヨ会目指して練習に勤しみ、上手くいかないのをばねにしてまた練習に勤しむ、ということで、ヴァイオリンに対するモチベーションを維持してきている。私に限らず、アマオケとかには入らず、普段、個人レッスンを受けているレイトスターターにとって、合奏をする機会というのはなかなか新鮮な感じがするに違いない。それが、ステージの上でスポットライトを浴びてともなれば、小学生の遠足どころか、まるでシンデレラが王宮の晩餐会で王子様と踊るようなもの。今年の発表会ではこの憧れの合奏がある。おそらくどの生徒さんも私と同じように、パート譜と格闘しながら心待ちにされているに違いない。いや、もしかすると一番心待ちにしているのは他ならぬ私かも知れないのだが。

 そんななかで、発表会のアンサンブル曲の自主練習会の企画があったのだが、これがなかなか雲行きが怪しくなってきた。
 発表会までもう1ヶ月ほどとなった中で、アンサンブル曲をみんなで練習する機会が少ないので、先生なしでも合わせてみたい、ということをスタジオの奥さんに頼んで、日程の調整をしてもらい、みなさんへの連絡もしていただくことになっていたのだが、どうもこの連絡がされていないようだ。たぶん「みなさんお忙しくて人数が集まりませんでした」というご連絡が、近日中かその当日になってあるような気がする。ま、そういうことなら一人の生徒の立場であまり深入りすることもできないのだが。

 そしてもうひとつの合奏の話が家の中で浮かび上がってきた。
 今度の発表会で弾こうと準備してきた曲は、ヴァイオリン2パートと鍵盤楽器。そこにチェロがあればさらによし、という編成なのだが、ピアノとの合わせはいままで一度もしたことがない。いつものヴァイオリン先生とツーカー仲のピアノ先生が伴奏していただく予定だったのだが、それがどうもそのピアノ先生の都合が合わないようだ。大人の発表会でピアノを弾かれる生徒さんはいないか、いてもごく少数。たぶん、ご自身の生徒さんの発表はないのだろう。それで別のピアノ先生が伴奏ということになっているようなのだが、それが、そのピアノ先生といつものヴァイオリン先生のご都合があう日がまたないようだ。このままではぶっつけ本番になる。今度弾く曲は、2年間かけてヴァイオリン先生と仕上げてきた曲。思い入れも深いので、ピアノ先生にもその辺わかってもらって一緒に曲を作ってほしいのだが、これではあまり期待もできない。
 そこへもってきて別の問題が浮上。この代役のピアノ先生は、うちの娘たちにピアノを教えていただいている先生なのだが、とにかくお忙しい先生なのだ。月2回ぐらいはどこかで演奏会をされている。そういう先生にレッスンを見ていただくのはいいことなのだが、如何せんレッスンにあまり力が入らない。どうやらうちの子供たちが去年の発表会で何を弾いたのかとか、どれぐらいのレベルなら発表会までに仕上がるのかとか、そういうところに余り意識を向ける余裕がないようだ。そんなこともあんなこともいろいろあって、長女は発表会を辞退することになった。
 その長女が「お父さん、伴奏してあげようか」といいだした。
 これは願ってもないことだ。家でヴァイオリンを練習していて、いつも同じ曲ばかりなので、「よく飽きないなぁ」などと言われるのだが、思い入れが強いことは分かってくれているはず。そういう思いを共有してくれるのなら演奏は多少拙くても構わない。早速楽譜を渡すと、その楽譜のうえにヴァイオリン譜があるのが弾きにくいというので、それを除いた純粋なピアノ譜を作成した。
 しかし、やはりちょっと難しかったようだ。
 妻には「お父さん、弾いてほしいって言っていた?」などと言っているようなのだが・・・。