第127回レッスン ~徹底的に合奏~ | 四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

音楽や楽器とはおよそ縁のないまま四十路を迎えた中年男性がヴァイオリンを習い始めた。
このブログは、彼の練習部屋であり、リスニングルームであり、音楽を学ぶ勉強部屋。
整理の行き届いた部屋ではないが、望めば誰でも出入り自由。
どうぞ遠慮なくお入りください。

 今週からは3週連続でレッスンが入ることになった。実はその次の週が子供の発表会。バヨ先生の生徒はおじさんが半数以上とお年頃の女性が何人かのほかに子供の生徒さんもおられる。人数は少ないが将来を嘱望される子供の発表会前となれば、毎週レッスンがあっても不思議ではない。おじさん生徒もおこぼれにあやかって毎週レッスンが受けられるわけだ。

 今回は5分ほど前に着いたのだが、発表会前となるとスタジオの奥さんと打ち合わせなければならないことっもいろいろとあって、話しているうちに定刻を5分ほど過ぎてしまう。あわてて2階のスタジオに行くと、ちょうど、前の時間の生徒さん(やや若いが前述の分類でいうと「おじさん」に分類される男性)がちょうどレッスンを終えて片付けをしておられた。今回のレッスンでは、前半はアンサンブル曲、後半はソロ曲を見ていただく予定だったので、いっしょにレッスンを受けられるとお互い有益なはず。

ちょっと弾いていきませんか

とお誘いすると

じゃ、合わせましょうか

と乗ってこられた。本番はここにチェロも加わるのだが、ヴァイオリン2人とヴィオラとなれば掛け合いの練習もかなり出来るはず。早くもワクワクする。

 まず「いのちの名前」から。
 最初のところはヴィオラが主旋律で、この時のメンバーではセカンドが伴奏。ファーストが4小節休み。そこで質問! 「こういうときって誰が合図するんですか?」 今回は指揮者がいなくて、先生も合奏の中に入られている。それならみんな先生の顔見て弾き始めるだろうと思っていたのだが、「ファーストは最初休符だから」とやんわり仰る。そこを間髪入れずに、「じゃその休符の間に振ってくださいよ」とお願い。結局、先生を見ながら、
セカンドもいっしょにザッツして始めることになった。
 この最初のところは、セカンドとチェロが八分音符でリズムを刻んでいるところに、ヴィオラがシンコペーションの主旋律で乗っかる。なかなかテンポがとりにくい。移弦でもたついていたりするうちにリズムが崩れてしまう。ヴィオラがこんなに晴れがましいのに、本番ではヴィオラがひとりしかいないことが発覚。これはかなり練習しておかなければ。極端に言えば、ここだけでもクリアすればいいぐらいに思って練習しなければいけない、と思った。メトロノームを八分音符にして練習するようにアドバイスをもらった。

 そうこうしているうちに、次の時間の生徒さんがやってきた。この生徒さんは前述の分類ではお年頃の女性。

早よ用意しいや

と半ば強引にアンサンブル練習に巻き込んだら

やりたいぃ

と乗ってきた。みんなやっぱりアンサンブルしたくてたまらないのだ。
 おじさんたちは、合奏はしたくてたまらないのだが、いざアンサンブルとなると結構ビクついている。先生からも「もっと周りの音を聴いて」と言われる。それに比べて女性は腰が据わっている。「ど~んと来い!」って感じだ。先生も「もっと我が物顔で弾いていいです。ちょっと主旋律を聴きなさいよ、っていうぐらいで」なんてことを仰る。それぐらいでちょうどバランスがとれるのだろうか。

 もう一曲のアンサンブル曲、ヘンデルのセルセは、徹底的に音程を見られた。一音ずつ、和音が完全になるまで音を聴く練習。「いのちの名前」が、4つのパートがバトンを渡していくように主旋律をリレーする「横のつながり」で構成されている曲だとすると、こっちはひとつひとつの和音を「縦のつながり」で聴かせる曲かもしれない。最初の音だけで荘厳な雰囲気が表現されている。こうやって一音ずつ合わせると、和音のひとつひとつに意味があることがわかる。問題は、その和音をどうやって合わせるかなのだ。

 ひとりで練習しているときは分からないので、合わせているときにしっかり音を取る。先生に、高い低いと指摘されたところは全部楽譜に書く。いや、それが時によって高かったり低かったりするのだが、それはその時で、また色変えて書いたらいい。自分の傾向としては、半音が狭いような気がする。半音の時は指がくっつくのだが、ヴィオラの場合、ヴァイオリンの感覚でくっつけると狭すぎる。もうひとつは3指を半音上げた後で音程が乱れがち。こんなところもまた基礎練習を疎かにしてきたことが祟っている。高いな、低いなと思ったらちょちょっと誤魔化せるように、と仰るのだが…。

 普段の練習では、音量を小さくして楽器の響きに頼って音程を正しくとる練習をしないさいということだった。

 これも練習しているとあっという間に時間が過ぎ、自分のレッスン時間だけでなく、次のお年頃女性の練習時間も終わってしまった。生徒3人はアンサンブル練習が出来てとても満足していたし、次のアンサンブルレッスンをいつにするかなんて相談を始めたりしていたのだが、先生からは

ソロの曲もありますからね

とやんわり釘を刺される。釘を刺されてもなお階下で合奏練習の相談。

せっかく合奏するのだからお祭り感覚でみんなで楽しみたい

ともうひとりの男性生徒さん。確かにそうだ。4年前の発表会の時に、他の楽器を演奏される方を見ていて、とても楽しげで、それで自分も楽しげに弾いてみたいと思ったものだ。今度の発表会もいろんな楽器の方がおられるので、弦楽器の合奏なんか楽しそう、ってみんなに思ってもらえるような演奏がしたい。演奏の良しあしじゃないような気がする。気持ちの持って行き様とか、なにかそういうものを、いっしょに弾く人たちと共有できればいいなと思う。