優位
その部屋は、殺風景で無機質で、センスはもちろん味も素っ気もあったもんじゃない。住人ってのがまた、朝から晩まで妙なデザインの鎧を着込み、妙に重たそうなもんを被って、帝国を、街を宮殿を、がちゃがちゃ無粋な音を立てて歩きまわっている。正直その職務も頂けない。法の番人?よしてくれ。空賊にとっちゃうっとうしいことこの上ない存在だ。ジャッジマスター。オレの好みに合う要素は、残念ながら一つもない。なのにオレは今、その無粋な部屋でジャッジマスターの腕に自ら喜んで拘束されている…ベッドの上で。信じられない話だぜ、とは思っちゃいるが。しかも自らシャツを脱ごうとして、ボタンが上手く外れずイライラなんかしている。苛つくオレの指先を、一回り太い指がそっと包み込みボタンから離す。「わたしの楽しみを奪わないでくれ」自分でした方が早いし、別に今更と言う気がしないでもないけれど、何もかもやらせてくれと手を止められたので、好きにさせておく。こんな時のジャッジマスターは少し我儘だ。シャツのボタンを外す間も、パンツのファスナーを降ろす間も、唇が届く限りの肌に触れつつ、低い声で名を呼び想いを告げるので、くすぐったくてしょうがない。顔を寄せ、鎖骨から露わになった胸元まで舌を滑らせ、乳首に軽く歯を当てられる。それだけで、いやその先を期待して腰が浮いてしまう。そんな自己が情けなく思わずついた溜息を、何を勘違いしたのか悩ましいな、などと嬉しそうに目を細めるこの男が、鎧兜を脱ぎ捨てて、この部屋を飛び出して、何もかも捨ててオレに逢いに来る日がきっと来る。そうなると、この男は…全てが好みの男になっちまう…。その日が来るのを楽しみに、せいぜい危険を冒して逢いに来てやるよ。( 2010・02,05と02,15をつなぎあわせて再録/いっぱい修正 )お話風にしたかったけど、情景ばかりが頭に浮かび、これっつう訴えたい萌がないまま不発終了…。それなのにUP。図々しくもUP。すまない。なんとなく下に続く的な。