先日泊まったカプセルホテル。休憩室でたまたま横に座ったおじさんが話はじめた。
とても気さくな50歳後半の方だが、「もう年をとった。仕事は若いものに任せて隠居だ」と。
次々と話は続いた。
「大学を卒業して保険会社に就職したけど、バブル時代にとある大きな会社と合併したら、その先の社員は俺たちをいじめるんや。ろくに仕事もしないのに威張りやがって。それで仕事をやめたんだ・・・」と。
いよいよややこしい話になりそうで、食事をはやく済ませようとしたところ、続けておじさんは話をつづけた。
「仕事はいやいややってもしょうがないのよ。やりたいことをやらないとね。それで、これまで6つの事業を立ち上げたんだけどね」
カプセルホテルで、だらだらしてそうなおじさんは、なかなかの起業家だった。
「保険会社を辞めた後、板金をはじめたのよ。これまで事故が起こると保険会社はディーラーへ話を通すのよ。そうするとそこでかなり跳ねられるわけ。板金屋が直接保険会社とつながったら、双方に利益があるわけ。そこからスタートしたね。」
保険会社で得た知識と人脈を使って、高い中間マージンの解消すべく、課題解決をはかったわけだ。
「そういう仕事上、海外からの労働者とも出会うわけ。アジアの若者が日本の技術を学ぶために働きに来るわけ。ある企業と組んで、海外の労働者が働きやすいような共済組合を作ったの。月に1000円ばかりの掛け金だけど、彼らはあまり保険を使わないんだ。儲けが出ないようにするのが共済だからね、彼らが喜ぶと思う仕組みをつくるのが楽しくてね。」
人が喜ぶしくみをつくるのが楽しいと語り、休むことよりも働くことが趣味になっていたんだと笑っていた。
でも、仕事は若いものに任せて、これからは農業がしたいと語った。
わたしは、田舎に隠居して、悠遊自適に過ごすのだろうと考えたが、スケールが違った。
「タイの若者は日本人の器質と似て、とても働きものなんだ。彼らと農業をやりたくてね。例えばネギやエノキってスーパーで買ってるだろ。あの根本を畑においてたら、また勝手に生えてくるんだよ。ただで農業できるだ(笑)。すでにやってるところもあるけど、大きな施設を作るとお金がかかるだろ。アメリカではバイオエネルギーから発電する技術が、ものすごく発達してるんだ。農業しながら自家発電、そして自給自足生活。そんなことをタイの青年と一緒にできないかって考えているところで、役人とも相談してるんだよ。」
なんという行動力と発想力。その力はどこから湧いてくるのか不思議だった。
「休暇とか権利とか、そういうのもわかるけど、やらされているうちはおもしろくない。本当にやりたいと思うことがあるだろう、誰でも。それを人に伝えて行動していくだけだよ。その思いがあれば役人だって情報をくれるよ。」
このおじさんとの話はとても興味深く、気付けば2時間半が経過し、台風24号の雨と風が強くなっていた。
こんな成功おじさんが、なぜ1泊2300円のカプセルホテルに泊まるのだろう??
不思議だったが、だからこそ成功するのだろうと納得もでき、私にとって貴重な学びの機会となった。

成功の方法は、
やりたいと思うことを口にする。
やりたいことを実行する。
唯それだけ。
秘訣は、お金のことを思うと成功しがたいが、人の喜ぶ姿を思い描き仕組みを作れば成功する。
ということだった。
どんな経験からでも学び、成長はできるものだ。(気づきさえあれば・・・)