はじめてST(言語聴覚士)と仕事をしたとき、私はかなり偏見と誤解をしていました。
なぜなら・・・
「私は首から下は見れませんから!」と平気で語るSTさんと出会ってしまったからです。
そのSTは「老健にはSTの対象者がいない」といって退職なされましたが、それから数カ月STは役に立たないと嫌悪感を覚えていました。
しかし、現在は本当にすばらしい仕事であり、特に老健をはじめとする地域で活躍してほしいと願うようになりました。
私の考えが変化したのは、現在共に働くSTのお蔭です!
老健におけるSTの役割とは?
①食支援とコミュニケーション支援
②食事場面で本領発揮
③食支援は部門を超える架け橋となる
①老健STの役割は、食支援とコミュニケーション支援
STは元来言語に特化したリハビリテーションですが、口腔機能、聴覚機能の再獲得を促す専門職です。
口腔機能への特化が嚥下・食事への専門性へとつながり、聴覚機能はコミュニケーションを構成する聴覚感覚器のみならず脳機能へのリハビリへも専門的に広がりました。
摂食機能といってしまうと飲み込めればいいとなりますが、地域リハビリでは食事、食文化を捉えて、食事姿勢や食事時間、嗜好や味覚、見た目、雰囲気とか環境設定などの個人背景を考慮した支援が求められます。
コミュニケーションとは対人関係支援です。高齢者や認知症の方への適切なコミュケーションの能力維持向上をめざすのもSTの役割です。
②食事場面での活躍
新規入所者の食事評価はSTが必ず実施します。食形態と嚥下機能の確認が中心ですが、管理栄養士と看護師、介護士と話し合って食事形態を決めます。毎日食事場面のラウンドを行いますが、週に1回以上管理栄養士と一緒に評価を行い、看護介護スタッフと確認をしています。食事は毎日のことなので、リハビリ室にSTへの相談依頼が頻回にあります。そのため現在は専用PHSを持参してもらいました。それぐらい生活の中で活躍する職種です。
③部門の架け橋となるST
老健の加算項目として、経口維持加算、経口移行加算、口腔衛生管理加算があります。直接STが個別リハとしてかかわる実施加算ではありませんが、積極的にマネジメントを行い、部門を超えた架け橋となっています。特に訪問歯科医師・歯科衛生士との調整を行い、介護士が指導助言を受けやすいように調整しています。
介護給付費分科会資料です↓
「介護保険施設入所者に対し、介護者による毎食後の口腔清掃+週に1~2回歯科医師もしくは歯科衛生士による口腔衛生管理を実施したところ、対照群に比べて、口腔ケア群では期間中の発熱発生率が低く、2年間の肺炎発症率が低かった」

口腔衛生管理体制加算のメリットを介護士も感じているというアンケート結果です↓

同僚のSTは目立つタイプではありませんが、着実に利用者の支援をして、施設内からの信頼を得ています。リスクの高い利用者へは毎日口腔ケアを実施し、認知症の方へのプログラムも行い、活動性が上がるように体操やゲームも交えています。日々の彼の姿勢が信頼につながっていると感じています。
ひとりの発言で職種に偏見をもってしまった、当時の私の力量があまりにも低すぎたと反省の限りです。
老健業界にもっとSTが増えてほしいと願っています!