昼食後、ペットシーツやらペットフードを買いに行くので、娘と出かけた。
買い物を終え、娘はまた
「ジェラート」
と言う。
他に行くところもないので、従う。
道すがら娘が言う。
「あー、田園風景、いいねぇ。
緑がこんなに立ち上がって、風に吹かれていいねぇ」
「ウン」
「田植えした頃は、水が張ったところに残雪の山が映ってさ・・・」
「ウン」
「こういうのは癒されるねぇ」
毎度毎度同じことを言うのは、娘が心からそう思っているし、感じているからでもあるが、毎度同じ場所を走るからでもある。
田舎の商業地をちょっと外れればなにも無いからでもある。
「アンタ毎年同じこと言うよね」
「ウン、去年も言った」
「覚えてるのか」
「そりゃそうだよ、年寄りの繰り言とは違うよ」
( ̄▽ ̄;)。
私は私で、娘が毎回同じことを言うのをちゃんと覚えているので
「まだダイジョウブ」
と自分を心強く思うのであった。
話は途切れないのだが、小心者の私が、今なら良いかなとかねてよりの疑問を口にした。
「アンタがさ、どんな彼を連れてくるか全く想像が出来なかったけど、アンタが言わないだけで、ずっとH君が彼だと思っ・・・」
皆まで言わせず娘が
「H? はぁ? あるわけないじゃん」
「だってさ、ギター教えてもらったとか、初詣一緒に行ったとか・・・」
「面倒くさいからHの名前を出しただけで、常にいつものメンバーで集まってただけだよ」
「年越しの時も、H君がわざわざ迎えに来てくれたじゃん」
「車持ってて家が近いからだよ」
「だって、中学の時から仲良かったじゃないの」
「だかーらー」
娘はうんざりしたように
「とにかくあの人たちは友達なの、男とか女とか関係ないの。それにしてもHなんて、やめて、絶対あり得ない、考えたこともないし、大体アイツ、遠い親戚にあたるし、性格も結婚向きじゃないと思うよ・・・」
無理という理由は書かぬが、娘が言うくらいだからそうなのかも知れぬ。
「直前まで、H君が来ると思っていたから、Sさん(娘の夫)が現れたときはびっくりしたよ」
「アハハ、そうだったのか」
私は長年の疑問が解け、気が抜けた。
娘はそれこそ子供の頃から全く変わらず(随分でかくはなってしまったが)、一度気に入ったものは外さず、この時もジェラート屋で「ダブル」を頼み、機嫌が良い。私の夫が好きな「ラムレーズン」をお土産に買ってくれたのであった。
帰宅後まもなく夫も帰り、暑さで疲労困憊の夫を娘が労いながら、疲れた時は甘いもの!! と、ジェラートとフルーツ大福を食べろ食べろと勧める。
フルーツ大福は沢山種類が有るそうだが、一番人気はキウイだそうだ。
「すぐ売り切れになるんだって。今日も11時前に行ったのに売り切れ。これはシャインマスカットだよ」
ナカミがシャインマスカットと聞き、値段を聞くのが躊躇われたので黙っていた。
小心者の私は、恐る恐る食べたが実に美味しい。
ボソッと
「良い値段だろうねぇ」
「それなりにね。良いのよ昨日は給料日だし、アハハー」