チビスケは生後10ヶ月。ウチに来て9ヶ月になる。
可愛い仔猫である。
可愛く育ったのは、私らよりもささみがわが子のように慈しんだからである。
とろが息子夫婦の家に引き取られた後、ささみは開放型子宮蓄膿症で出血と炎症が酷く、緊急手術となった。
我が子と別れ、手術で子宮を失い、意気の上がらぬ夏を過ごした彼女の前に、飼い主が性懲りもなく仔猫を引き取ってきた。
どこの誰ともわからぬチビスケ仔猫。
戸惑う仔猫と、様子見のささみ。
互いにおずおずと近づき・・・
その後のささみの接し方は、実の母そのものだった。
チビスケは小ぶりながら元気に過ごしていた。
初めての発情もあった。
が、このところ、発情とともに出血が見られた。
ささみの時のことがあったので、病院にすっ飛んで行った。
早い方がいいでしょう、とのことだった。
手術が決まった。
一昨日のことだ。
オスは生殖器が外に出ているので手術もたやすいが、メスは開腹になりどうしても負担が大きい。
内で命を大事に育むようにできているから、何かあれば大ごとなる。
ささみ同様、致し方がないとはいえ、私の胸中はとても複雑であった。
チビスケに話して聞かせるも、自分の身に何が起きるのか、何も知らない子である。
ふと気が付くと、奇しくも私ががんの摘出手術を受けた日と、同じ日、同じ時系列で事が進んでいた。
私の場合は、告知と説明を受け
「どうしても、摘出しなければならない。
そうでないと、命に係わる」
から、納得の上で手術台に上がったが・・・
チビスケは何も知らない。
ささみと同じ病気とはいえ、お母さんになることは、もうできない。
命脈を断つのだ。
「頑張れな・・・ごめんな・・・。そろそろ出かけるよ」
声をかけたら、
「ニー」
と返事をして、排尿と排便まで済ませたチビスケ。
キャリーに入れると、車中では鳴いていたが、病院に着くとおとなしくなったチビスケ。
「ささみさんの時ほど状態は悪くないので、夕方には帰れますよ」
診察台でも、静かにしていたチビスケを置いて、いったん帰宅した。
コーヒーの味も解らなかった。



