京セラ、第二電電(現KDDI)創業者であり、一代で一兆円企業を築き上げた稲盛和夫
氏。近年では経営破綻した日本航空を2年でスピード再生させ、その経営手腕に対す
る評価を揺るがぬものにしました。そんな稲盛氏が、度重なる困難の真っ只中で気づ
いたもの――真摯に生きるすべての人にひらかれているという、ある「蔵」についての
逸話を通じ、その経営哲学の真髄に迫ります。
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■純粋な心、情熱、そして努力
〈稲盛〉
「知恵の蔵」の扉をひらき、その叡知を得るにはどうしたらよいのでしょうか。
それには、一点の曇りや邪心もない純粋な心を持って、燃えるような情熱を傾け、
真摯に努力を重ねていくことしかないと考えています。美しい心を持ち、夢を抱き、
懸命に誰にも負けない努力を重ねている人に、神はあたかも行く先を照らす松明を与
えるかのように、「知恵の蔵」から一筋の光明を授けてくれるのではないでしょうか。
私は、自分自身の経験から、強くそう思うのです。そうでも考えなければ、どこにでも
いそうな青年でしかなかった私が、京セラやKDDIといった企業を設立して、今
日のように発展させることができた、その理由を説明することができないからで
す。
京セラの創業にしろKDDIの創業にしろ、私は寝ても覚めても仕事に没頭し、それこそ
「狂」がつくほど、凄まじい勢いで働いていました。「世のため人のため、この事業をな
んとしても成功させたい」と強く願い、必死の思いでひたむきに仕事に取り組んでいま
した。その努力の報酬として、「知恵の蔵」に蓄積されている叡知の一部を与えていた
だいたのではないかと思うのです。
この「知恵の蔵」の恩恵を受けることができるのは、新規事業の立ち上げや新製品開発
など、創造的な仕事に取り組んでいる人だけではありません。美しい心を持って、一心不
乱に何かに取り組んでいる人は等しく、その恵みを受けることができると私は考えていま
す。
「他に良かれかし」と願い、一所懸命必死に生きている人が、何か困難に直面して、
悩みに悩み、苦しみもがき抜いているとき、一筋の光明が差すように、天は必ず障害
を克服するヒントを指し示してくれるはずです。これも、「知恵の蔵」によるものではな
いでしょうか。
「知恵の蔵」とは、真摯に生きるすべての人にひらかれている、私はそう信じ
ています。
■片言隻句に学ぶ、稲盛経営哲学
●成功に対して、謙虚にして驕らない
●人格は「性格+哲学」という式で表せる
●心に善き思いを持ったとき、それは善き力となって出ていき、善き結果を連れて
戻ってくる
●「他に善かれかし」と願う。美しい「思い」には、周囲はもちろん天も味方し、
成功へと導かれる
●努力して、煩悩を抑える。そうすれば、人間の心の奥底にある、美しく優しい心が
必ず出てくる
●自分に才能が与えられているなら、それは従業員のため、お客様のため、そして
社会のために使わなくてはならない
●どのような厳しい状況にあっても、それを正面から受け止め、誠をつくす
●利己にとらわれない正しい判断基準、価値観を持つ
●誰にも負けない努力を重ね、夢中になって働くことで、運命は大きく開け
ていく
●ひたむきに仕事に打ち込み、人格を高め続ける
●人間として正しいことを追求する
●美しい心を持ち、夢を抱く
(本記事は致知出版社刊『「成功」と「失敗」の法則』(稲盛和夫・著)より
一部を抜粋・編集したものです)
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~『致知』最新刊2023年8月号「悲愁を越えて」~
●「悲しみはいつか恵みに変わる」
西舘好子(日本子守唄協会理事長)×古巣馨(カトリック長崎大司教区司祭)
●「悲愁を越えて歩み来た百年」
吉村光子
●「奇跡を起こす心の法則
井上裕之(いのうえ歯科医院理事長)
●「小林一茶の人生と名句に学ぶ」
齋藤孝(明治大学文学部教授)
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髙江智和理(北海道光生舎理事長)×森田隼人(シャボン玉石けん社長)
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好評連載
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「忘れ得ぬ人 忘れ得ぬ言葉」
五木寛之(作家)
「人生を照らす言葉」
鈴木秀子(国際コミュニオン学会名誉会長)
「禅語に学ぶ」
横田南嶺(臨済宗円覚寺派管長)
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「自分の限界を超える条件
長渕 剛(シンガーソングライター)
「逆算式目標設定術」
岸田周三(レストラン カンテサンスシェフ)
「忍耐は練達を生じ、練達は希望を生ず」
加藤一二三(将棋棋士)
「“なぜ?”を5回繰り返せ」
張 富士夫(トヨタ自動車相談役)
「仲間を信じ、童心を忘れず、科学に徹する」
津田雄一(「はやぶさ2」プロジェクトマネージャ)
「金メダル獲得の原動力」
古賀稔彦(柔道家)
「決勝戦直前の姉のひと言」
伊調 馨(ALSOL所属レスリング選手)
「一流プレーヤーに共通したもの」
岡本綾子(プロゴルファー)
「ジャニー喜多川さんの褒め方・叱り方」
村上信五(関ジャニ∞)
「人は負けるとわかっていても」
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京セラ名誉会長・稲盛和夫
「現場には仕事と無駄の二つしかないと思え」
トヨタ自動車相談役・張富士夫
「プロは絶対ミスをしてはいけない」
福岡ソフトバンクホークス球団会長・王貞治
「一度は物事に死に物狂いで打ち込んでみる
建築家・安藤忠雄
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加賀屋女将・小田真弓
「ヒット商品を生み出す秘訣」
デザイナー・佐藤可士和
「嫌いな上司を好きになる方法」
救命医療のエキスパート・林成之
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20年間無敗の雀鬼・桜井章一
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ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正
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