宝塚「宙組」初代組長・大峯麻友が語る〝優れたリーダーに必要な二つの心掛け〟 | 致知出版社公式アメーバブログ

 

 

 

 

 

宝塚歌劇団に20年在籍し、1988年には新たに発足した「宙組」の初代組長を務

めた大峯麻友さん。現在は女優・歌手の活動に留まらず、劇団員やスタッフたち

とのパイプラインの役割を担ってきた経験を生かし、コミュニケーション・アドバイ

ザーとして講演やセミナー活動を行うなど、多岐にわたって活躍されています。

そんな大峯さんに、宝塚時代を通して学んだ〝組織のリーダーとしての心掛け〟

についてお話しいただきました。※記事の内容や肩書はインタビュー当時のもの

です。

 

 

 

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■挫折を乗り越えて得た「美点凝視」の力

2年間の学校生活を終え、晴れて宝塚歌劇団へ入団すると、私は大地真央さんと

黒木瞳さんが当時トップコンビを務めていた月組に配属され、成績上位で学校を

卒業したことで、早くからよい配役に恵まれました。

 

ところが、です。ある公演前に実技試験が実施されることになり、私は「試験よりも舞

台の役を大切にしなさい。先生も分かっているから」という、ある上級生の方の言葉

を素直に受け、舞台の稽古だけを真剣に取り組みました。その結果、成績は急落し、

理事長に大目玉を食らってしまったのでした。

 

「言われたことと全然違う。何であの子より、私のほうが成績が下なの……」と、試験

結果に納得できず、1年ほど稽古に身が入らない日々が続きました。

 

そんなある時、ふとこう思ったのです。「あの子は歌がとびきり上手い。この子はス

ター性の華を持っているな。そうか、私にはこういうところが足りない。だから成績

が落ちたんだ」。

 

それまで気づかなかった同期生の美点を見出し、自分にいま必要なものが明確に

なった瞬間でした。誰かが見てくれる、いつか必ず他の人とは違う形で結果はつい

てくると信じ、腕を磨くべく稽古に打ち込みました。

 

役づくりでは、老人役なら手に細かいしわを描くなど、客席から見えない部分にも

創意工夫する。通行人など、台詞のない役でも自分なりにキャラクターを設定して

演じる。そうした些細なことも疎かにせず、真心を尽くし、徹底的にこだわり抜いた

のです。

 

すると、初めは望まなかった脇役にも醍醐味を見出し、いつの頃からか、自分の生

きる道だと思い定めることができました。

 

その後、1998年に宙組が誕生し、初代組長に就任。それまでの努力が実ったので

しょうか、思いもよらぬ人生の大きな転機となりました。

 

65年ぶりの新たな組としてマスコミから注目される半面、当時最年少での就任という

こともあり、プレッシャーの中で何度も挫けそうになりました。それでも「辛いことは、

神様が〝あなたなら乗り越えられる〟と選ばれた人に与えられるもの。だから挫け

ず、解決策を考えればよい」という、通っていたカトリックの小学校の神父様の言葉

を思い出しては、前を向いて歩み続けたものです。

 

■宝塚で学んだ理想のリーダー像

就任後、組をまとめる上で2つ心掛けたことがありました。

 

まず、リーダーでありながら、ともに舞台を創る仲間としての意識を持つこと。組織

ではいかにコミュニケーションが取れているかが鍵となります。

 

最上級生である組長は、下級生にとって話し掛けづらい存在ですから、共通の話題

を探る、常に声を掛ける、自分の出番ではない時も俯瞰し、一人ひとりに気づいた点

はアドバイスする。こうした小さな積み重ねが、よりよい上下関係を築くための信頼

に繋がったのだと感じます。

 

豊かな経験を持つ年長者ほど、自分の持つ〝物差し〟の目盛りを細かくし、相手に

対して柔軟に対応する。こうした感覚を持ち、一段下がって接することも大切な秘訣

ではないでしょうか。

 

もう1つは、自らが率先垂範し、皆の手本となることでした。

 

世の中には「上の人の背中を見て動く若者なんていない」という方がいらっしゃいま

すが、リーダーが諦めてはなりません。結果はすぐに出なくとも、根気強く信念を持っ

て続けていれば必ず人は見てくれています。口先だけのリーダーでは、決して人は

ついてきません。自ら動くことを厭ってはならないのです。

 

華やかできらびやかな宝塚は、全くの別世界と感じる方も少なくないでしょう。しか

しそこには、現代で忘れ去られた礼儀や気遣い、人を敬う心など、人として大切な

教えが溢れています。20年間の宝塚人生を振り返って心に期すのは、その伝承こ

そが道をつくり、100年の歴史を紡いだということです。宝塚で得た学びが、少しで

もリーダーの役割を担う方々のお役に立てばと、心から願います。

 

 

 


(本記事は月刊『致知』2015年9月号 連載「致知随想」より一部抜粋・

編集したものです)

 

 

 

 

◇大峯麻友(おおみね・まゆ)
昭和39年兵庫県生まれ。57年に宝塚歌劇団へ入団。平成10年、同劇団が65年振りに

新たに発足した宙組の初代組長に抜擢され、劇団史上最年少で就任。現在は女優、

歌手としての活動のほかに、宝塚歌劇団時代の経験を生かしたコミュニケーション・

アドバイザーとして、多くの講演や、企業向けセミナーなどを手掛ける。著書に『100人

中99人に「好かれる」ルール 』(泰文堂)『一流のビジネスマンは知っている ダマって

いても人に評価される 「魅せる男」のつくり方』(秀和システム)など。

 

 

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