文学博士・鈴木秀子先生が
小説や詩、随筆を通して人間の生き方を紐解かれる
『致知』連載「人生を照らす言葉」は
読者の皆様から大きな反響をいただいています。
最新号では、志賀直哉の短篇『朝顔』を通して、
そこから学ぶことのできる人生の真理を
伝えられています。
***
小説の舞台は静岡県の熱海です。
「私」(主人公)は母屋から少し離れた山の中腹に
小さな掘っ立て小屋の書斎を建て、
ゆくゆくは茶の木の生け垣をつくるつもりで
前の傾斜地に茶の種を蒔きます。
茶の木が生育し生け垣ができるまでの間、
百貨店で買った幾種類かの朝顔を植えることにしました。
「私」は朝早く目覚め、
家族が起きるのを待って
書斎から母屋に向けて山道を下ります。
それまでの時間は、
書斎から見える景色を眺めるのが日課でした。
(以下、小説の引用)
私の家は母屋も景色はいいが、
書斎は高いだけに視野が広く、
西南の方角からいうと、天城山、大室山、
小室山、川奈の鼻、それと重なって新島、
川奈の鼻を一寸離れて利島、
更に遠く三宅島までも見える事がある。
然しこれは余程よく晴れた日でないと見えず、
一年に二三回幽かに見える程度である。
一見すると、何気ない情景描写のように思えます。
しかし、ここで注目しなくてはいけないのは、
見慣れた当たり前のような景色を
「私」が丁寧に丁寧に観察していることです。
このことは、梅雨やコロナによる退屈さ、
窮屈さで心がなかなか晴れない
いまの季節にも大切なことです。
小さな草花は私たちの身の回りに
当たり前のように咲いています。
しかし、心の中が悩みや妄想、仕事のことで
いっぱいになっている時は、
目の前にあっても決して目に留まることがありません。
その美しさ、素晴らしさに気づかないでいるのは、
実にもったいないと思うのです。
時間をつくって小さな草花などに意識を向けることで
目の前の景色を明るく感じることでしょう。
私たちは幸せや喜びと聞くと、
外部から何らかの刺激がもたらされることをイメージします。
例えば、海外旅行に行く、宝くじが当たる、
入試や就職試験に合格するというのがその類いです。
反対に、それがうまくいかなかったりすると
不幸せだ、失敗だと言って落ち込んでしまいます。
しかし、真の幸せとは、
そういう出来事に支配されません。
本当の幸せとは、
当たり前のことがいかに素晴らしいかに気づくことです。
静かに自分の心を落ち着かせて、
何気ない自然の情景や出来事に意識を向ければ、
そこに何らかの発見があるでしょう。
。。。『致知』2022年8月号 より。。。
~◇鈴木秀子(すずき・ひでこ)~
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。聖心女子大学教授を経て、現在国際文学療法学会会長、聖心会会員。日本で初めてエニアグラムを紹介し、第一人者として各地でワークショップなどを行う。著書に『9つの性格』(PHP研究所)『死にゆく者からの言葉』『愛と癒しのコミュニオン』(ともに文藝春秋)『生かされる理由』(幻冬舎)『あなたの心が光でいっぱいになる本』(青春出版社)など多数。最新刊に『幸せになるキーワード』(致知出版社)。
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~『致知』最新刊2022年8月号~
★『致知』最新号(特集、連載)の主な読みどころ
▼「覚悟を決めた時、勝利への扉は開かれる」
表紙を飾っていただいたのは、
柔道とラグビー、
それぞれの分野を若き情熱で牽引する
井上康生さんと五郎丸歩さんです。
対談は和気藹々とした雰囲気の中にも、
己の心身を厳しく鍛錬し、
世界の舞台で闘い、実績を上げてきた
お二人ならではの真剣さ、
緊張感が漲っていました。
スポーツの枠を超えた、
あらゆる仕事に通じる極意を学びます。
▼「バリアフリーな社会を目指して」
会社勤めをしながら歌手として
活躍する小澤綾子さん。
ユーチューブチャンネルなどを通して
心のバリアフリーを伝え続ける中嶋涼子さん。
共に難病のために若くして
車椅子生活を余儀なくされていますが、
その前向きな生き方とどこまでも明るい笑顔は、
人生いかなる境遇にも絶望してはならないと
大きな勇気や希望を与えてくれます。
▼「明治天皇に学ぶ日本人の生き方」
なぜ明治日本はアジアで唯一、
近代化を成し遂げられたのか。
そこには明治天皇の並々ならぬ
ご覚悟があったと、日本史に精通する
岡田幹彦さんは言います。
岡田さんが涙ながらに解説した
明治天皇の日本を思う御心に、
日本人としての誇りを呼び覚まされる思いがします。
▼「文士 小林秀雄を語る」
中村学園大学客員教授・占部賢志さんにとって、
小林秀雄の研究は半世紀続くライフワークです。
若き日の邂逅を交え、
一般にほとんど知られていない
小林秀雄の人柄や思想について
語っていただきました。
それぞれの逸話や論評から
占部さんの師への敬慕の念が伝わってきます。
▼「インタビュー 3本」
インタビュー欄には、
百一歳の現役最高齢ピアニスト・室井摩耶子さん、
タニタの若き三代目社長・谷田千里さん、
イタリアンシェフの巨匠・日髙良実さん、
覚悟を決めて道を拓いた
プロフェッショナル3名にご登場いただきました。
▼「覚悟からすべては始まる」
共に徒手空拳で創業した会社を
一代で優良企業へと導いてきた、
フォーバルの大久保秀夫さんと
アチーブメントの青木仁志さん。
対談取材を通して、
お二人の心のベースには
「愛」が溢れていると感じました。
家族や社員、お客様をはじめ
縁ある人たちを幸せにしたいという
「利他の精神」が覚悟を本物に
昇華させるのかもしれません。
▼「松尾芭蕉の歩いた道」
「昨日の発句は今日の辞世。
今日の発句は明日の辞世」
その言葉の如く、俳聖・松尾芭蕉は
いまこの瞬間を精いっぱいに生き、
数多くの名句を詠みました。
境野勝悟さんと安田登さんの対談は、
禅と能楽の視点で芭蕉を論じ掘り下げており、
他にない独特の趣があります。
芭蕉の歩いた道を辿ることで、
人生いかに生くべきかを考えさせられます。
▼その他連載
「二十代をどう生きるか」
養老孟司氏(解剖学者)
「私の座右銘」
草野 仁(TVキャスター)
がご登場!
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ベストセラー書籍、待望の第2弾!!
『1日1話、読めば心が熱くなる
365人の生き方の教科書』
藤尾秀昭・監修
~本書では、『致知』創刊20周年以前
(1978~1998年)の記事にも思いを馳せ、
名経営者や名指導者など、
各界の“レジェンド"と呼ばれる人物の逸話が
多数収録されているのもポイントのひとつ。~
◆ 収録記事の一部 ◆
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※肩書は『致知』掲載当時
「人生の闇を照らしてくれる光」
五木寛之(作家)
「人生で一番大事なもの」
稲盛和夫(京セラ名誉会長)
「十年間辛抱できますか」
浅利慶太(劇団四季芸術総監督)
「一期一会」
瀬戸内寂聴(作家)
「独立自尊の商売人になれ」
柳井 正(ファーストリテイリング社長)
「人間の力は出し切らないと増えない」
平尾誠二(神戸製鋼ラグビー部ゼネラルマネージャー)
「会社がおかしくなる6つの要因」
永守重信(日本電産社長)
「自分の限界を超える条件
長渕 剛(シンガーソングライター)
「逆算式目標設定術」
岸田周三(レストラン カンテサンスシェフ)
「忍耐は練達を生じ、練達は希望を生ず」
加藤一二三(将棋棋士)
「“なぜ?”を5回繰り返せ」
張 富士夫(トヨタ自動車相談役)
「仲間を信じ、童心を忘れず、科学に徹する」
津田雄一(「はやぶさ2」プロジェクトマネージャ)
「金メダル獲得の原動力」
古賀稔彦(柔道家)
「決勝戦直前の姉のひと言」
伊調 馨(ALSOL所属レスリング選手)
「一流プレーヤーに共通したもの」
岡本綾子(プロゴルファー)
「ジャニー喜多川さんの褒め方・叱り方」
村上信五(関ジャニ∞)
「人は負けるとわかっていても」
佐藤愛子(作家)
「世界に挑戦する上で影響を受けた人」
宇津木麗華(女子ソフトボール日本代表監督)
「人の痛みを知る人間になれ」
村田諒太(WBA世界ミドル級スーパー王者)
「会社経営は常に全力疾走である」
山中伸弥(京都大学iPS細胞研究財団理事長)
……全365篇
オリンピック史にその名を残す伝説の水泳選手、
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庵野秀明氏が尊敬する映画監督……など、
時代や職業のジャンルを超越した方々の話から、
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★『1日1話、読めば心が熱くなる
365人の仕事の教科書』
藤尾秀昭・監修
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◆ 収録記事の一部 ◆
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「知恵の蔵をひらく」
京セラ名誉会長・稲盛和夫
「現場には仕事と無駄の二つしかないと思え」
トヨタ自動車相談役・張富士夫
「プロは絶対ミスをしてはいけない」
福岡ソフトバンクホークス球団会長・王貞治
「一度は物事に死に物狂いで打ち込んでみる
建築家・安藤忠雄
「人を育てる十の心得――加賀屋の流儀」
加賀屋女将・小田真弓
「ヒット商品を生み出す秘訣」
デザイナー・佐藤可士和
「嫌いな上司を好きになる方法」
救命医療のエキスパート・林成之
「準備、実行、後始末」
20年間無敗の雀鬼・桜井章一
「公私混同が組織を強くする」
神戸製鋼ゼネラルマネージャー・平尾誠二
「一番よい会社の条件」
ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正
「仕事にも人生にも締切がある」
料理の鉄人・道場六三郎
「脳みそがちぎれるほど考えろ」
日本ソフトバンク社長・孫正義
「奇跡を起こす方程式」
指揮者・佐渡裕
「10、10、10(テン・テン・テン)の法則」
帝国ホテル顧問・藤居寛
「自分を測るリトマス試験紙」
将棋棋士・羽生善治
「負けて泣いているだけでは強くならない」
囲碁棋士・井山裕太
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