松陰が、龍馬が、海舟が師と仰いだ男 ~『佐久間象山に学ぶ』~ | 致知出版社公式アメーバブログ

AI時代の到来や第四次産業革命が迫るいま、
幕末維新期に匹敵する危機が
わが国に襲来しつつある――。  

二〇〇〇社の経営幹部が
心酔するカリスマ講師であり、
東洋思想研究家の田口佳史氏は
そう警鐘を鳴らします。


そんな時代の大転換期を迎えんとするいま、
氏が魂を込めて描いたのは佐久間象山。

西郷隆盛や吉田松陰、勝海舟など
幕末の志士がこぞって師と仰いだ
「明治新国家の構想係」です。

産業革命や近代科学技術の権威であり、
指導者であった象山は、
日本初となる大砲やガラス製品の開発に成功。

藩主に「海防八策」を提唱するなど、
その生涯をかけて日本の科学技術立国を
めざしました。

現に、象山が提唱したことはその死後、
明治期においてすべて実現され、
まさに日本の近代化になくてはならない
存在であったことが窺えます。

「象山の狂気ともいうべき努力、
普通一年かかるところを二か月で
習得していくなど尋常ならざる行動があって、
初めて日本の夜明けがある」
と田口氏。

本書から、一部をご紹介いたします。

 

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佐久間象山に学ぶ【その1】

柔らかい頭脳と豊かな想像力を持て

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「先憂後楽」と言う言葉がある。
天下に先立って憂え、
天下に後れて楽しめ。
范仲淹「岳陽楼記」に
出てくる世に名高い言葉だ。

これこそがリーダーの
在り方を示したものだと言われているが、
何よりも大切なのが、「先憂」である。

世の中が憂える(心配する)、
前に憂えろ(心配しろ)。
誰もがこれが問題と認識してから
問題としているようでは、リーダーはいらない。

皆が知るずっと前に問題を発見し、
そして懸念して、そっと手を打って解決しておく。
したがって彼の「徳行」は知られることはない。
これで良い。

何しろリーダーは西郷南洲の言う
次の精神で生きるべきなのだ。

「人を相手にせず、天を相手にせよ。
天を相手にして、己れを尽して
人を咎(とが)めず、我が
誠の足らざるを尋ぬべし。」

毀誉褒貶、
さっき誉めたかと思えば、
もうそしるのが人間だ。
そんな人間相手に生きているのは、
もう止めだ。
公平無私な天を相手にしよう。
しかし、そうなれば、
今度は自分の心の誠心誠意を
厳しく問わないと、天には通じない。

「先憂」には、もう一つ意味がある。
大事や難事に対するのに
最も大切なのが、
大事や難事になる前、
それがまだ小さいうちに
潰してしまえと言うことだ。

「老子」はこう言っている。
「天下の難事は、
必ず易きより作(おこ)り、
天下の大事は、
必ず細より作(おこ)る。
難を其の易きに図り、
大を其の細に爲(おさ)む。」

要は一人だけ、
随分前に〝これは大変だ〟と
感じる力があるかどうかだ。
これは何処から来るのか。

「危機意識」だ。

まず何を見ても聞いても
〝これはマズい〟と危機を
前知予知できるかどうかにある。
その前知力、予知力は何処から来るのか。
まず、柔らかい頭脳であろう。

全てを通り一遍、既成概念、
杓子定規に見るようでは、気付けない。
いつも頭を柔らかにして、
〝思ってもみなかった〟と言う
計り知れないことが起るものだと
言う気持を持つようにすることだろう。

何と佐久間象山は、
ペリーが来航する一八五三年の
十年前一八四二年に、
来航を予知して、海防意見書を、
幕府老中であり海防係になった
藩主真田幸貫に提出したのだ。

世に名高い「海防八策」だ。
既に象山の頭の中には、
西欧列強の襲来が鮮やかに
浮かんで見えたのではなかろうか。
つまり彼の頭の中には
先行きの日本の危機が
実にリアルに浮かんでいたから、
この「海防八策」が出来たのだ。
象山のイマジネーション能力、
想像力の産物と言って良い。




◆目次◆

第一章 いま何故佐久間象山か

第二章 佐久間象山の一生

1 前半生・如何に基礎をつくったか
2 後半生・時代の要請に応える

第三章 佐久間象山に学ぶ

その一 柔らかい頭脳と豊かな想像力を持て
その二 時代と事件の根本を掴め
その三 自分の強味はトコトン活かせ
その四 相手の強味で相手を倒せ
その五 転換期の要注意点はここだ


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松陰が、龍馬が、海舟が師と仰いだ男


『佐久間象山に学ぶ大転換期の生き方』

 

 

  田口佳史・著

 

 

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  その本に巡り合えた人は幸せである

 

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