今回紹介する記事は
2023年5月27日付けの
 
「朝日新聞」の記事です。
  
【ジャニーズ性加害問題 新聞に欠けていたものは】


というタイトルで、
論説委員田玉恵美氏が、
メディアはいつだって不完全であることについて、
紹介しています。

いつもどおり、
「4つ」の視点でこの記事を見ていきます。
 
(4つの視点についてはこちらをご覧ください)

 ☆新聞記事の紹介について

(発信者が重視するテーマに関してはこちらをご覧ください)

始めに読んでほしいブログについて


(1)内容の要約

 新聞はなぜ報じてこなかったのか。

ジャニーズ事務賞の創業者ジャニー喜多川による性暴力疑惑に注目が集まるなか、
厳しい批判の声が耳に届く。

 そう言われるのも当然だろう。

疑惑の報道は長きにわたってあった。

だが、
朝日新聞が本格的に報じたのは、
被害を訴える男性が顔を出して実名で記者会見をした4月になってからだ。

なぜ見過ごしてきたのか。

自分なりに考えてみたい。

 調べると、
この問題を伝える報道は、
週刊誌などで1960年代から散発的に続いていた。

大きな転機は、
1999年から「週刊文春」が手がけたキャンペーン報道だろう。

 ジャニー喜多川による「セクハラ」について特命の少年たちの訴えなどを14回にわたって伝えたものだ。

ジャニーズ事務所とジャニー喜多川は名誉棄損だと訴えたが、
2003年の東京高裁判決はセクハラに関する記事の重要部分を事実と認定。

2004年に最高裁で確定した。

 朝日新聞は一連の判決をすべて報じている。

ただ、
多くは記者の署名もないベタ記事だ。

今思えば、
扱いが小さすぎるように思う。

そもそも文春の記事の内容や裁判の詳細について、
当時の状況を覚えている人がいなかった。

 ただ、
多くの人が同じ推測をした。

この「セクハラ」が性暴力で、
深刻な人権侵害にあたるとの認識が欠落していたことだ。

女性への性暴力を精力的に取材していた記者でも、
「男性が被害者になり得るという感覚を持っていなかった」
という。

当時の変種幹部は、
「新聞に、
性の話題はふさわしくないという古い考えも根強かったと思う」
といった。

 この疑惑は週刊誌が得意とする「芸能界のゴシップ」であり、
新聞が扱う題材ではないと頭ごなしに考えてしまったのではないかと省みる人も多かった。

芸能界は「そういうところもある」特殊な世界だと思い込んでいたため、
ジャニーズ事務所も新聞が監視すべき権力の一つである、
という意識を持てなかった可能性がある。

 ジャニーズがタブーだから報じなかったのではないか。

そんな声も聞くが、
少なくとも私の知る限り、
朝日新聞の取材現場がジャニーズに忖度しなければならない理由はないように思う。

実際、
真相を探ろうと取材した同僚もいた。

 2008年、
複数の元ジャニーズ男性を見つけて話を聞いたが、
記事化に至らなかった。

「被害意識を持ち、
訴えたいという人に会えなかった。

その他の取材結果も合わせて検討し、
この状況では記事にはできないと当時は判断した。

ジャニーズはタブーではなかったし、
新聞なら書けると思って取材をした。

結果として、
記事にできるだけの材料をそろえられなかったのは情けないのだけれど」

 テレビがこの問題を取り上げていたら大問題になるはずなので、
ジャニーズに入ることはなかったんじゃないか。

被害を売ってた男性が会見で発した言葉は、
新聞社で働く自分にも重く響いた。

私は2010年から3年間文化部にいた際、
ジャニーズに関する記事を5本書いた。

「良からぬうわさ」があるのは漠然と知っていたが、
具体的に知ろうとしなかった。

目を向けていたのは、
都合の良い華やかな側面だけだ。

新聞こそが取材すべき案件であると考えることができなかった。

 世の中にある問題をくまなく把握して十分に伝えることはとても難しい。

メディアはいつだって不完全だ。

常になにかを見落としているだろう。

でもだからこそ、
たえず自覚して、
いまの常識や価値観に安住してはいけない。

この苦い経験にあらためてそのことを教えられた。


(2)なぜこの記事を切り抜いたか    

タブーの前に新聞は切り込めないことについて、
紹介した記事のため。


(3)自分はどう思うか?

ジャニーズを他の言葉に置き換えてみることが、
可能な記事のように思える。

例えば自民党清和会。

マスメディアが日和る相手の一つである。

どんなに極悪非道残酷無比なことをしても、
お咎めなし。

他の会派が問題を起こした時よりも、
新聞が寛大な例であろう。

選挙妨害の与党と野党の取り上げ方も右に同じく。

野党議員が演説中に暴力行為を振るわれても知らぬ存ぜぬ、
与党議員が襲われたら一面記事。

業界内の暗黙ルールでもあるのか。

在阪メディアにおける維新の悪行三昧の放置。

全国規模で同じ問題を起こすと、
連日不祥事が報道されるのに、
大阪においては問題にならない異常性…。

こうなったらあかんの反面教師である。

メディアはいつだって不完全だ。

常になにかを見落としているだろう。

苦い経験という高い授業料から何を学び取れるのか。

新聞の真価が問われる。


(4)今後、どうするか?    

・田玉恵美氏に関する記事をスクラップする。

・タブーだから報じないは未だに存在することを忘れない。

・新聞の欠けているものを意識する。


…今回も自分の勉強がてら、
まとめてみました。
  

田玉恵美氏に関する記事は、
以前紹介しました。

新聞に政治の話題はふさわしくないという考えも根強かったと思う。

新聞社内でこんなことが共通認識されていないことを願います。

皆さんも、
メディアはいつだって不完全であることを自覚しましょう。

奇しくも新聞週間、
新聞の良いことばかり喧伝される中、
あえて欠けているところに焦点を当てることも一つかと思われます。