政府が「骨太方針」原案、「ペロブスカイト太陽電池」「浮体式洋上風力」を明記
2024/06/14
日経BP総研
経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2023年決定事項
1. 経済成長の実現
- デフレ脱却と持続的な賃上げ定着
- 生産性向上
- 価格転嫁
- 男女間賃金格差解消
2. 人手不足対策・DX推進
- 労働市場改革
- リスキリング・学び直し支援
- 転職・再就職支援
- 外国人材の活躍推進
- デジタル化・DX
- 行政手続きのオンライン化
- 企業のDX支援
- データ利活用促進
3. GX・エネルギー安全保障
- 2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減目標達成
- GX国家戦略策定(2024年度中)
- エネルギー基本計画・地球温暖化対策計画改定
- 再生可能エネルギー最大限導入
- ペロブスカイト太陽電池・浮体式洋上風力の目標設定
- 革新技術開発・社会実装支援
- 国際研究開発体制・国際標準整備
- 人材育成・サプライチェーン構築支援
- 蓄電池導入による調整力確保・出力制御抑制
- 原発建て替え推進
- 低炭素水素利用拡大
- 水素社会推進法に基づくサプライチェーン構築
- 国内拠点整備・技術開発支援
- 電力・ガス・燃料・製造・運輸分野における利用拡大制度検討
北九州沖で実証している浮体式洋上風力発電設備
(出所:NEDO)
積水化学製のペロブスカイト太陽電池
(出所:積水化学工業)
政府は6月11日、経済財政諮問会議を開催し、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」の原案を公表した。「骨太方針」は、毎年6月に経済政策・財政政策の柱となる基本方針を答申しており、最終的に閣議決定される。
第1章の冒頭、「我が国経済は、現在、デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている」との認識を示し、持続的な賃上げを定着させるため、生産性の向上や価格転嫁、男女間の賃金格差の解消などの対策に取り組むとした。
各分野の施策では、人手不足対策やDX(デジタルトランスフォーメーション)に多くの記述を割いているほか、「GX(グリーントランスフォーメーション)・エネルギー安全保障」という項目を設け、エネルギー政策にも触れている。
具体的な政策目標については、「2050年カーボンニュートラルの実現、2030年度の温室効果ガス46%削減という目標を踏まえ、2024年度中を目途に、『GX国家戦略』を策定するとともに、『エネルギー基本計画』及び『地球温暖化対策計画』を改定する」とし、今後の議論に委ねている。
ただ、再生可能エネルギーの最大限導入の具体策として、「ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力等の目標及び革新技術の開発と社会実装の早期実現に向けた支援や制度的措置の検討、国際的な研究開発体制や国際標準の整備、人材育成やサプライチェーンの構築に向けた支援を行う」とし、政府として、ペロブスカイト太陽電池と浮体式洋上風力に集中的に支援していく姿勢を改めて示した
また、「蓄電池の導入による調整力の確保や出力制御の抑制に取り組む」「廃炉を決定した原発の敷地内での建て替えの具体化を進める」とし、系統用蓄電池の普及と原子力発電のリプレイスに触れたほか、「低炭素水素等については、水素社会推進法に基づき、国内外におけるサプライチェーンの構築、国内の拠点整備や技術開発の支援、電力・ガス・燃料・製造・運輸分野における利用拡大を促す制度整備に向けた検討を進める」とし、水素をエネルギーキャリアとして幅広い分野で導入していく方向を示した。
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