<賃借権の相続>(1)
(質問)
民間アパートに住んでいた父(借主・同居中)がなくなったので、家主に、名義変更してそのまま住みたいと申し出たが拒否された。
退去せざるを得ないのか?
(回答)
民法では、6親等以内の血族と配偶者、3親等以内の姻族を法律上の親族としていますので、
子供として、お父さんの財産の相続権があります。
お父さんが借主となって、民間アパートを借りていたわけですので、子供は、住む権利(賃借権)を相続することができます。
相続権については、家主の承諾を得る必要はまったくありませんので、家主は、相続人(子供)の住む権利を拒否することはできないことになっています。
名義変更そのものについては、してもしなくても住み続けることができますが、契約更新の時点で名義変更を行ったほうがよいでしょう。
<賃借権の相続>(2)
(質問)
民間アパートに住んでいた父(借主・別居中)がなくなった。
条件のよい物件であり、遺産相続として引き継ぎたいが、名義変更を家主から拒否された。
賃借権を相続することはできないか?
(回答)
前項で述べたように、賃借権は相続することができますが、相続人が同居していたか別居していたかは問いません。
したがって、家主の意向に拘わらず、相続人は賃借権を相続することができ、住む権利を持つのです。
(439)
民法第725条では、法律上の親族を以下のように定めています。
- 6親等以内の血族
- 配偶者
- 3親等以内の姻族
血族とは、同じ祖先を持つ者同士を指します。具体的には、父母、祖父母、兄弟姉妹、子供、孫、ひ孫などです。
姻族とは、婚姻によって生じる親族関係を指します。具体的には、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、子供、孫などです。
親等とは、血族や姻族における世代間の距離を表すもので、本人からみて直系尊属・卑属の場合は1親等ずつ、傍系親族の場合は、共通の祖先までの世代数を足した数となります。
例えば、本人からみて父母は1親等、子供は1親等、兄弟姉妹は2親等、祖父母は2親等、孫は2親等、いとこは3親等となります。
なお、血族の配偶者は姻族とみなされ、その血族と同じ親等となります。例えば、本人の子の配偶者は1親等の姻族、本人の兄弟姉妹の配偶者は2親等の姻族となります。
6親等以内の血族と配偶者、3親等以内の姻族が法律上の親族であることは、相続や婚姻などの場面で重要となります。例えば、相続の場合、法定相続人は原則として、被相続人の6親等以内の血族となります。