「オフィス原状回復ガイドライン」(2)
オフィス原状回復ガイドライン
<紛争予防ガイダンス>
序章
日本住宅性能検査協会の考え方
1.原状回復特約についての判例の流れについて
(1)民法の規定する賃貸借契約における借主の通常使用に伴う損耗分についての原状回復義務の考え方は、事業用の建物であっても、居住用の建物の場合と同じように貸主負担とするのが原則である。
(2)もっとも、この民法の考え方は強行法規ではなく、契約自由の原則の下、当事者の合意によりこれと異なる特約をすることは可能である。そこで、原状回復特約も、契約自由の原則の下では有効であり、さらに、事業者間契約においては消費者契約法の適用はない以上、賃借人に著しく不利であったとしても、当該特約は有効であると主張する賃貸人は多い。
(3)確かに、かつての判例においては、オフィスビルの建物賃貸借契約に関して「自然損耗・磨耗も原状回復の対象とするという特約も有効である。」とし、特約に基づく賃借人の原状回復義務を全面的に肯定した判例がある(東京高判平成12年12月27日)。
(続く)
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<紛争予防ガイダンス>
「オフィス原状回復ガイドライン」
監修者: 鈴木正捷弁護士
発行所: 日本住宅性能検査協会「オフィス原状回復ガイドライン研究委員会」
定価:2,000円(本体・税・送料)
*頒布5月17日から
問い合わせ: 03(5847)8235
担当 : 鴫村(しぎむら)