第2回大田区子ども・子育て会議までに独自のネタがないのと、ふぼれんの菅野さんとのやりとりから幼稚園の入園申し込みに関する問題についてあまり知られていないかもしれないと思いましたので、私が公募委員に応募したときに提出した作文を掲載させていただきます。
下記は、おおた社会福祉士会会報第60号(2011年11月22日発行)の編集後記として私が寄稿したものです。少し長いですが引用します。
「午後10時を過ぎた頃、閑静な住宅街に突然伸びる行列に、通りかかった中年女性は思わず自転車を降り、その異様な集団を怪訝そうに眺め回す。集団の老若男女は慣れたもので、『何ですか?』と女性から真剣に問いかけられても、『この先に美味いラーメン屋がオープンしたんだよ』とか『いえ、原発反対のデモなんですよ』とか、ひとしきり自らの境遇を茶化して伝え、真に受けた女性の反応を楽しんだ。
幼稚園に入園願書を提出するために、寒空の下、徹夜して行列した10月31日の個人的体験からのエピソードです。幼稚園によっては先着順で願書を受け付けます。近所でも3つの園が前日から行列を作りました。ネットで情報収集したところ、4日も5日も前から行列をつくる地区もあるそうです。保育園はダメでも幼稚園はすんなり希望の園に入れるとばかり考えていた私は本当に浅はかだったわけですが、私立大学付属の有名幼稚園ではなく、区内の普通の幼稚園の話なのですから、いまだに信じがたい気持ちです。保育園では門前払いされ、幼稚園では門前で徹夜させられる。小学校の門前では一体何が待っているのでしょうか。」
徹夜までして入園願書を提出する状況は、健康への悪影響を超えて、機会の平等を奪うことから公正性の点で大いに問題です。たとえば、健康面に不安を抱える者が家族にいた場合、徹夜の行列と聞いただけで申し込みを断念する可能性があることなどです。この点を強調して、大田区教育委員会の担当窓口と福祉オンブズマンに情報提供しました。
福祉オンブズマンには管轄外のため苦情としては受理してもらえませんでしたが、大田区教育委員会の担当者に口添えしていただきました。その後、大田区教育委員会の担当者と粘り強く交渉した結果、園長会で議論していただく回答を得ました。その結果であるかは定かではありませんが、翌年の入園願書受付では先着順から面接になったり、先着順ではあるものの屋内での待機になったりする対応の変化が見られました。
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