2021年10月のテーマ

「イベントを楽しむコージーミステリー」

第一回は、

「ダイエットクラブ4 バーベキューは命がけ」

J・B・スタンリー 作、武藤崇恵 訳、

武田ランダムハウスジャパン、2011年発行

 

です。

 

以前にこちらの記事でおすすめしたことがある、"ダイエットクラブシリーズ"の第四弾です。

 

 

 

一緒にダイエットを頑張るサパークラブ(料理をしながらおしゃべりを楽しむクラブ)<デブ・ファイブ>はこれまでに地元で起きた殺人事件を解決して近隣ではちょっと知られた存在になっています。

そのため、ハドソンヴィルの街を挙げたバーベキューコンテスト《豚フェスティバル》にゲスト審査員として招待されて参加することになります。

グリルの達人たちがキャンピングカーで集って腕を競う傍ら、ドッグショーや豚の美人コンテスト、ブルーベリーパイの大食い競争など様々なショーやコンテストが行われ、バーベキューコンテスト会場のテント周りには屋台が立ち並んで、まさに街を挙げてのお祭りです。

そこで殺人事件が起きてしまって…<デブ・ファイブ>が捜査に乗り出します。

また、メンバーの一人が容疑者になってしまったりとストーリーもハラハラさせられる展開になっています。

 

この作品はシリーズのほかの作品と比べても、ストーリー自体が面白くて楽しめる作品なんですが、それにもまして面白いのがアメリカのバーベキューコンテストの描写です。

大規模な大会なので、腕に覚えのあるバーベキューの達人たちが遠くからもキャンピングカーで駆け付け、様々な部門にエントリーして腕を競います。

肩ばら肉部門、スペアリブ部門、鶏肉部門、その他の肉部門などなど、肉の部位や種類ごとにいくつもの部門に分かれています。

それぞれに調理法が違うらしく、出場チームはキャンピングカーの前に持参のグリルを据えて、交代で一晩かけて焼いたりしています。

付け合わせの野菜にも禁止されているものがあったり、ルールもきちんと決められています。

この本の中のコンテストでは、どのチームの作品かわからない状態で試食して審査していました。

この作品に登場するバーベキューは、私が日ごろイメージするバーベキューとはまるで違う食べ物のようです。

それに、その他の肉部門では、牛・豚・鶏といったスタンダードなお肉ではなくて、トカゲやカエルといった爬虫類や、アナグマなんかの野生動物の肉(ジビエ?)を使うというルールになっています。これも興味深い!

焼きあがった肉にかけるソースも重要で、各チームとも肉に合ったベストなソースを試行錯誤しています。

コンテストの合間に登場人物たちが食べ物の屋台の間をそぞろ歩き、森林公園の中を散歩したり、宿で主人の心づくしの朝食を食べたりと、物語の中で読み手も旅行に行った気分を味わえます。

 

ここ一、二年旅行もままならない状況が続いています。

大きなイベントも自粛しながら行うのが精いっぱい。

みんな努力しています。

本の中で、イベントや旅行を楽しんではいかがでしょうか。

アメリカの大規模バーベキューコンテストというお祭り。大部分の日本人には未知の世界だと思います。

おすすめいたします。(*^▽^*)