1歳未満までの使用感

 機材ヲタの私がベビーカーについていろいろと検討を重ねて、購入したのはフランス製の BABYZEN YOYO+ 6+でした。購入した経緯についてはこちらから3回にわたってまとめていますが、首すわり前から腰座り後まである程度使い込んで使用感がまとまってきたので月齢9ヶ月のここらへんで一度中締めレビューをしたいと思います。嫁さんの友人から中古でもらった国産の高価格帯のAB兼用型のベビーカーとも比較してみたいと思います。

外観について

 外観はおしゃれな曲線デザインで、フレームの色は白・黒の2色から選べます。シートと幌のカラーバリエーションは9色と豊富です。うちは出生前に男の子とわかっていましたが嫁さんの好みで白フレームにかわいい色のジンジャーを選びました。
 
 フレームはスチール製で塗装も綺麗で、全体に剛性を感じるしっかりとした造りです。
 
 質感で唯一残念なのは手押しハンドル部です。固めのスポンジが接着されたようなタイプで使っているうちに削れたりへこんだりして汚くなりそうな予感が激しくします。
 汚くなる前にとamazonでレザーカバーを購入。799円で送料無料ということだったのでダメ元で買いましたが結果は大正解でした。
 
 中国の謎の住所から郵便で届いたブツは純正か?と思うほどにぴったりサイズです。取り付けても大きくしわがよることもなく、レザーの握り心地もいい感じです。
 

日よけや荷物入れは小さめ

 コンパクト性を重視するため、どうしても日よけや荷物入れは小さめになります。シート下の荷物入れは抱っこ紐のエルゴを入れただけでいっぱいになってしまいます。
 
 国産AB両用タイプだとこうなります。見た目からして豪華装備ですね。ダブルタイヤでタイヤの数は計8輪に増え、日よけのカバー範囲が広く、荷物入れにも高さがあります。赤ちゃんが握れる位置にハンドルバーがあり、着座位置も高めですね。

畳むとコンパクトな3つ折り

 このベビーカーの最大のウリは簡単に3つ折りに畳めてコンパクトに収納できることです。畳んだ状態から一瞬でベビーカーの形に変身する様は感動ものです。
 
これが
 
こうなります!
 
 素晴らしい設計ですね。片手で折りたたみ、展開ができるよう考えつくされた構造にエンジニア魂が揺さぶられます。これだけ小さいと車載時もわざわざトランクに積まなくてもシート前の隙間にすっぽり入ります。乗降の度にトランクに行ったり来たりの手間が省けるだけでも随分と楽なもののです。
マキシコシのサポートレッグ(支柱)がある状態でも余裕で収納可能でした。
 

折りたたみ・展開にはコツが必要

 メーカーのデモ動画のように片手でスマートに開閉できるようになるにはある程度コツと練習が必要です。慣れればそのうちうまくできるようになりますが、それでもたまにまごつくことがあります。
 
 畳んだ状態にするとショルダーベルトで肩掛けが可能です。重量は5.8Kgと海外のベビーカーとしては比較的軽いほうですがそれでも赤ちゃんや荷物と一緒に持つと肩にずっしりときます。また畳む際には下部の荷物入れから荷物を出す必要があり、ちょっと階段やエスカレーターを使いたいというようなシーンではこうなります。
  1. 下部荷物入れの荷物を全部出す。
  2. ハンドルのフックにかけたバッグを外す
  3. 赤ちゃんの安全ベルトを外して赤ちゃんを降ろす
  4. 全部抱える(重っ!)
 やってられませんね。そんなこんなで結局出先では畳むことはあまりありません。車に積むときやベビーカーの持ち込めない店で食事する時ぐらいでしょうか。
 
 一方、意外と重宝するのがハンドルの折りたたみ機構です。ハンドルだけが簡単にポキッと畳めるのですが、混んでるエレベータや電車、レストランでの椅子がわりなどの際に赤ちゃんを座らせたままハンドルを畳むとかなり専有面積を減らすことができ周囲の邪魔になりません。
 

リクライニングは無段階

 背もたれのリクライニングは無段階調整で、背面のベルト一本で調節が可能です。
 4ヶ月を過ぎたころから使えるフラットに近い状態から170度まで起こすことができますが、腰が据わってくるとそれでも倒れすぎに感じるのか、前のめりになろうとしてきます。ベルトを思いっきり緩めればお座り状態にもできますが、言ってきかすことができない0歳児、安全性は犠牲になります。

ブレーキは1ペダル

 車輪をロックするブレーキは写真にあるように右後輪近くの赤いペダル一か所でロック・解除が可能です。手元でロック可能な製品もありますが、特に不便に思ったことはありません。
 

0ヶ月~4ヶ月まで

 YOYOには0ヶ月から使用可能なYOYO+ 0+というバリエーションも存在しますが、そもそも首もすわっていない軽い赤ちゃんをわざわざベビーカーに乗せるためにプラス数万円出すのはもったいない気がしました。実際に0+の商品を見るとわかりますが寝かせた状態の地上高が低く感じ、赤ちゃんとの距離があるためまるで台車で運んでいるようで見ていて不安になります。
 そこで首がすわる4ヶ月ごろまでは車で使用しているベビーシート(マキシコシ・ぺブル)とトラベルシステムで合体させて使用するという方法をとりました。
 
幌を開けた状態
 
 フードを閉めるとこんな感じ。お互いの幌は干渉せずに全体を覆うことができます。
 
 接続には純正で別売りのアダプタが必要で、これが単純なプラスチック部品なのに国内ではかなり高額です。ここは個人輸入で安く買うことでなんとか実現させました。YOYO側に凸型のアダプタ、マキシコシ側に写真で手で持っているパーツを付けて合体させます。
 
 これで車でぐっすり寝た状態の赤ちゃんを起こすことなく重たいマキシコシごと運ぶということが簡単に実現します。YOYOのハンドルを倒せばレストランなどのテーブルに寄せて置けるのが便利でした。マキシコシの装着の際、背もたれを取り外す必要はなく、背もたれを最大限寝かせて、背もたれの側面上部のフックを取り外してぶらぶらさせておくだけです(下写真参照)
 
 マキシコシを合体させた状態では重心が前荷重になって走行性が若干低下しますが気になるほどではありません。

4ヶ月以降

 首が据わる4ヶ月ごろから普通に乗せることができるようになります。これは5ヶ月すぎの時の写真です。
 最初から特に嫌がることなく乗ってくれました。YOYOはフラットな感じシートですが、国産AB型はより包まれ感のあるシートで、こちらのほうが見ていて安定している感じがしました。

乗り心地、走行性

 ベビーカーを調べているときに、ネットの書き込みでよく見たのが「国産ダブルタイヤAB型ベビーカーの走行性の悪さ」です。お店で押していてもわからないが実際に重くなった赤ちゃんや荷物を満載した状態ではストレスになるほどだという主旨です。海外製品かぶれの一部ユーザーの中傷では?と疑いながらも結局製品のコンセプトに負けて今回割高な海外製を買いました。ちょうど噂の国産モデルが手元にあるのでじっくりと比較してみました。
 
 まず、赤ちゃんの乗り心地です。YOYOにはサスペンション(車輪の衝撃を吸収するバネ)が装備されています。一方比較対象の国産モデルには装備されていません。散歩コースのハードな石畳が続く歩道でテストしたところ意外な結果となりました。サスペンションのない国産のほうが赤ちゃんのほっぺを見ていても細かい振動が少ないのです。理由はすぐにわかりました。国産モデルはフレームの連結部分が多くグラついていて剛性も低いのでフレーム全体がぐにゃぐにゃとしなってベビーカー全体で衝撃を吸収していました。一方のYOYOはフレームの可動部分もしっかりしていて全体の剛性が高いためサスペンションで吸収できなかった振動がダイレクトに伝わっていました。
 
 次に横断歩道などの低い段差の走破性能です。これは互角でした。どちらもタイヤの径は大差なく、何も考慮せずに2~3cm程度の段差に突っ込んでいくと、ぐぃ!とタイヤが引っかかってしまうのは同じレベルでした。このへんはエアバギーなどの大径タイヤのベビーカーに完敗です。ただここからが違います。ハンドルぐっと下げて前輪を軽く浮かせるウイリー状態にするのはYOYOのほうが断然楽でした。国産モデルは前述のフレーム剛性の低さが今度は災いしてハンドルをぐっと操作してもフレームがぐにゃりとしなって力が逃げてしまうのです。そのためよりしっかりと力を入れる必要がありました。YOYOはすいっと前輪を浮かすことができます。
 
 最後に操縦性です。これはYOYOの圧勝でした。片手ですいすいと滑らか、方向も自由自在に操れます。ほんとに気持ちよく押すことができます。一方国産モデルは片手での操縦は無理に近いです。やろうとするとかなりのストレスで方向を変えるのにも手首にかなり力が必要です。荒れた道だけではなくスーパーなどのツルツルした床でも同じでした。YOYOの操縦性を知ってしまうと前述のメリットを考慮してもこれだけで国産モデルを持って出ようという気が萎えてしまいます。
 

結局どうなの?

 生後9ヶ月、体重8kg少々までの使用感をまとめました。この先子供がどんどん大きく重くなってくるとまた違った感想になるかもしれません。当初「機内持ち込みできるので海外旅行にも持っていける」との目論見もあったのですが、今回仕事でどうしても休めなくなってしまった私の代わりに義母と一緒にハワイに出発する際にはYOYOは置いていきました。女手だけでスーツケースと手荷物と赤ちゃんとYOYOは手に余ります。じゃあここまでコンパクトである必要はあるのか?ということですが、かつて見たネットの書き込みを引用します。
 
「ベビーカーを押した状態で混雑していないカルディに入る気になるかどうか」
 
 このコンパクトさと小回りは重要です。電車の中でも肩身の狭い思いをせずに済みます。そして何よりも滑らかな走行感と片手でラクラクの抜群の操縦性。最近は国産モデルもデザインがおしゃれになってきましたがYOYOに限らず海外モデルのデザインはやはり素敵ですね。持ち主のテンションがあがります。割高なのが最大のデメリットですが個人輸入を使えばコストは抑えられます。少なくとも現段階での結論はこうなります。
 
「買って大正解」
 
※追記
その後2歳すぎまで使った後のレビューがこちらです