京都・寺町通 テーラーハタノの仕事 -30ページ目

京都・寺町通 テーラーハタノの仕事

1906年(明治39年)創業のビスポークテーラーです。

近頃たて続きビンテージ生地でお仕立てのご依頼を頂き、
時が経っても良い物は良いと確信出来ました。
したがってブログの掲載も中々進みませんが出来るだけ追加掲載したいと思います。
また例年のように今年の秋冬生地も多くの新柄生地が入ってきました
がビンテージ生地とは織や風合い等が違います。
先日もゼニアの大きめのヘリンボーン生地でスーツのご注文を頂きました、
6センチ幅のヘリンボーンにブルーのピンストライプをミックスさせています。
現在の生地ではこのような大きめの幅のヘリンボーンは見たことが無いですね。
それに織が比較的細かいので遠目からは目立ちません。
地色もブルーグレーでやや光の加減で変化するような
面白い生地です、中間色がお好みの方にはぴったりな生地で
糸の目付けが良いのでバシッとした張りのある仕立てになります。




先日ドブクロスで織られた上着地の仮縫いまでが完成しました。
良くあることですが生地の状態で見るよりも
服の形にしてみると風合いや発色が際立って見えます。
チェック柄も地色に良く馴染んでいることが分かります。
見慣れない方が生地を選ばれる際は完成後のイメージが
つかみ難いと思いますが、柄が多少大きくても
服の形にすると良く馴染んで、生地の持つ良さを更に出すことが出来ます。
また織物工場で生産される時にも生地のデザインの設計段階で
服の形にした時を考えてデザインされております。
慣れるには生地を沢山見て見慣れるしかないのですが
、現物生地であれば肩にあてがって鏡で見ると比較的分かりやすいですね。
もしイメージがつかみ難い時は色々とご質問下さい、
私達が出来るだけお手伝いさせて頂きます。


最近お蔭様で沢山のご注文を頂き、店の奥で仮縫いを含め
製作作業に追われております。
最近の傾向として当店ではビンテージもしくは少し前の厚手の生地に
人気が有ります。
今日ご依頼頂いた生地も20年程前の手織りのハリスツイード
でした、ハリスと言えば古くから知名度や品質の高さで有名ですが
この生地も時代と共に織り方や染色の仕方が変化してきました。
元々はスコットランド北西部のハリス島を中心とその周辺部で
のみ調達出来る原料で作られ植物を用いた顔料で染められていました。
最近のハリスツイードは合成染料と機械織が使われるようになった結果
生地表面の荒さは無くなり目付けも綺麗になりました、
しかしハリスの特徴である柔らかくざっくりとした風合いと植物で染められた
独特の発色の良さが薄れてきました。
大量生産するには仕方の無い製造方法かもしれませんが
残念な気がします。
下写真はハリス地方のブラックフェース種の羊の毛で紡いだ(手紡ぎ、機械紡ぎ)紡毛糸を用い、
手織機で織ったものです。
また天然染料の為染まりきらない所が出てきて白い毛が混じるのが特徴です。
この生地を薄めの芯を使いハンドメードで仕上げると
風格がありながら軽めの着心地が出るお仕立てになります。


今日ご注文されたのはデニム生地を使ったジャケット&パンツでした。
ご依頼のお客様は既成のジーンズでは股上が浅すぎるとの事で
それならオーダーでは良い生地で出来ますとご提案させて頂きました。
色は写真の上から2段目のサックスブルーで
やや薄めの生地によりパンツのサイドにはダブルステッチを入れて事により
堅牢感を出して又上深いジーンにします、上着にも各所にステッチや背バンドをつけて
ご希望のデザインのサファリ風ジャケットに仕上げます。
ウールのジャケット&パンツ以外の選択肢としても
素敵なお仕立て服ですね。
























約100年以上前~30年前まで英国で製造された生地の織機の
名称(ドブクロス)は、現在の高速織機に比べて3分の一以下の
スピードで織られました為にウール本来の弾力性と柔らかい風合い等の
良さを出すことが出来ました。
生地を織る際、横糸を木製のシャトルが往復して織りあがっていきますが
シャトルのスピードが速くなればなるほど横糸に掛かるテンションが高くなり
柔らかい風合いや弾力性が失われて行きます。
通常このドブクロス織機で織られた生地を当店ではビンテージ生地と
呼んでいますが、現在この織機を使っているミル(織物工場)は英国でも
ほとんど無くなりました。
下写真の生地は極上の原糸にカシミアをブレンドして4本束ね(4PLY)
ドブクロスで織り上げた約15年前のビンテージ上着地です。
このメーカーは古くから最高級生地を供給しているホーランドシェリー による
物で、贅沢な素材をこの織機で織ったことにより色の発を色最大限に引き出しています。
また今回この生地をご注文されたお客様は生地をアイロンにより多くいせる
お仕立て
を選択された為、優美な曲線のシルエットで
存在感抜群になることでしょう。




先日お客様のお知り合いが何処かの店でゼニア生地で比較的安くオーダー
された所、クリーニング3回で上着の表地の表面が浮いてきて服がダメになったそうです。
私もこれを聞いて驚きました、それと同時におそらく量販店の既製服に使われている
接着芯のことが頭に過ぎりました。
縫製コストを下げるために通常縫い付ける芯を接着剤のみで表地に
貼り付けて簡略化した手法です。
また接着芯は水分やクリーニングのアイロン等の熱に弱く表地と芯が
剥がれるパッカリングと言う現象が起きます。
メリットとしては早く仕上げてコストを下げる事以外には有りませんし
いくら高級な生地を使おうが根本的に避けることは出来ません。
それに売主が生地のブランド名を利用して商業主義に走りすぎているとも思えます。
一般的にハンドメードオーダーに使われている技術はハ刺し(下写真)と言う縫い方で
表地と芯地を縫い付けてある為、間に若干の隙間が出来ます。
この隙間が大切で、表地も芯地も着ている内に温度や湿度や外部の力により
伸縮を繰り返します、そうするとこの隙間により表地と芯地が
干渉されることなく生地が浮いたり、皺になったり、シルエットが崩れたり
することが避けられます。
つまり着心地に於いては勿論、生地の風合いや綺麗なシルエットを出すには
この手間のかかる手法が一番大切とされています。
もうひとつの手法としてハ刺し専用ミシンを使ってコストダウンした
芯地の据付方があります。
まず表地と芯地がずれないように接着剤で張り合わせて一気に
専用ミシンで縫い上げます。
ただ接着剤を使うのでかなり裏地に固定されてしまう為
表地の風合いがやや損なわれることが難点ですが
耐久性は縫い付けるためハンドメードとは大きく差はありません。
主にマシーンメードやパターンオーダーに使われていることが多いですね。
(ハ刺しとはカナのハに似ていることから付けられました、
下写真は前身を裏返した縫製の部分です)
































それから使われている芯地の素材のグレードも大切になってきます、
下の写真は当店で使用している最高グレードの芯地の台芯
で馬の毛と綿を使用して張りが有りながらしなやかさを保っています。
良い素材を使っている程張りがありこれもグレ-ドが下がると
段々と腰が弱くなって、あまりグレードの低い素材を使った芯地は
型崩れの原因にもなります。
これらのようにオーダーをされる場合、特に消費者の方は生地の良さには
目が行きがちで、縫製の中身は分かりにくいと思いますが、
希望しているお仕立てをしてくれる店と良くご検討されて
表地に見合ったバランスの良いお仕立をお勧めします。







こんにちは、今日は裏地や内ポケットの説明をさせて頂こうと思います。
現在使われている多くの裏地素材はポリエステル又は
キュプラ(植物再生繊維)を使用しています。
以前のオーダー服にははシルクやアルパカと言う天然繊維を使用していましたが
すべりの良さや耐久性等がデザインや風合いの拘りという以外には現在の裏地より
劣るため、特にご要望が無ければ通常は段々と使用し無くなりました。
特にキュプラは植物性繊維の為、吸湿性や放湿性に優れ、静電気も起きにくく、
熱に強くて裏地に求められる機能を全て持っています。

また一例として当店は最高級裏地としてドーメル社の裏地を本国から
取り寄せています、色も数種類あり上記の機能からさらに風合いの良さと
抜群の肌触りで裏地にこだわるお客様にもご好評です。
表地との色合わせの要領としてお任せ頂く場合は
同系色か同じ色のトーンで合わせるようにしています。
同じ色でも例えば表地が暗い色の場合は少し明るめにすると
すっきりとした印象を出せて軽快感が出ます。

























次に裏地の選択と同時に迷われることが多いのが内ポケットの仕様です、
下写真の仕様は上から順に斜めに付いているのが名刺入れ
、胸ポケット、ペン入れ、一番下がタバコや小物入れ
ですが不要な場合は付けられない事をお勧めしております。
内ポケットに手を入れる場合はシンプルなほうが
使い勝手が良い事と、ポケットが多いと塵等が溜りやすいからです。
それにポケットに物を入れ過ぎると表側のシルエット影響します。
良くある一例のお勧め仕様としては胸ポケットの深さを変える事(通常深くすることが多い)で
これを深くすると飛行機のチケットや長めのサイズの財布等が
収まりやすくなります、またとっておきの手法として
深さはそのままでポケットの上側にも空洞を作ると
深くしたのと同じ深さを得ることが出来てポケットに物を入れた時
腰あたりのシルエットを崩さなくて済みます、これもオーダーの醍醐味ですね。








こんにちは、近頃ブラックスーツのご注文が増えてきました。
理由としては通常のスーツとしてや礼服としての着回しが利くためでしょう、
正式な着方は別として以前のように礼服を誂える方が少なくなり
兼用服として合理的な考え方が広まった為だと思います。
品質の良いブラック生地は紺系よりも引き締まった感じでドレス性も高まります。
今日も英国名門ミル(生地の織元)、エドウィンウッドハウスの
目付けが高く艶のあるブラック生地でご注文をお受けしました。
製造工程に於いて艶としなやかさを与えるぺーパープレスなど時間と
手問がかかる伝統的手法を惜しげもなくむ導入して作られた為

薄い目で張りが有り、秋から春にかけて3シーズン着用が可能です。
当店のブラック無地は他にフラノ系、サキソニー、ツイード系がありますが
その中でもこの生地はシンプルな上品さでエレガントな仕立て栄えがすると思います。



2年ぐらい前から店に展示しています上着の中身が見える
カットモデルです。
よく家や車の模型等には使われていましたが洋服にもこれを取り入れ
て中に使われている素材や縫製を知ってもらおうと
いつも縫製をお願いしている職人さんに作ってもらいました。

襟に上の方から見ていただくと首の後ろにかけて上襟の
芯がハ刺しという綺麗な曲線が出る縫い方を施しています。
その襟芯の下のラペル部分には表地の下にくる毛芯が装着
されています、ここは上着で最も重要な部分で服の立体的な
構造を支える屋台骨です。
この芯は胸から腰にかけて職人が手縫いにより表地に据え付けて
います、更に美しいシルエットを出すため部分的に増し芯を
張り合わせてボリュームを出し、
良い職人は綺麗な張りと柔らかを出すことが出来ます。
一般的には完成後の服の中身を見ることは少ないと思いますが
中身の良い服なら、例えば多少の生地のグレードの差があっても型崩れしにくく
綺麗なシルエットと良い着心地を得られます。




近頃では珍しいベルベットのジャケット地が今年から少し復活してきました。
13世紀のイタリアから発祥して日本には500年前に渡来し
日本製の物は福井県が主要生産地となっています。
ジャケット地としての主な素材は綿で
別名ビロードとも呼ばれ、ソフトな感触と深い光沢感があり
フォーマルのドレスや高級カーテン素材としても使われています。

先日ご注文頂いたのは数点あるバンチ見本の中から
きめ細かい起毛の深いワイン色で
これにブラックのモ-ルスキンの生地を使ったパンツを組み合わされました。
ワイン色にしてはかなり濃い目ですが、これに光沢感と深い起毛で落ち着き感
が出ているためドレス性とカジュアルが同居しているようです。
特にこれからの秋冬にはウール系とは又違う上品な風合いが出る素材です。

※モールスキン
 綿を起毛させたスエード風の生地で柔らかく、ある程度以上の厚みが有るため
 ジャケットにも最適な生地。