京都・寺町通 テーラーハタノの仕事 -25ページ目

京都・寺町通 テーラーハタノの仕事

1906年(明治39年)創業のビスポークテーラーです。


















今日はご来店頂きましたN様のスーツの2回目の仮縫をしました。
当店では全てのお仕立てに於いて
一人一人の型紙をおこし、

体の細部までフィット性と着る人の個性を追及します、
この段階で3分の2は完成しており、これから微調整に入ります。


あえて袖を省いた状態で脇のラインや肩の収まり具合を
調整しやすくしていおり、
半数以上の方は1回目の仮縫いでフィットできますが
採寸した寸法から大きくズレている場合のみ2回仮縫いする場合が

ありますね、この仕事をしていると
人の体の癖は数字で割り切れないことを思い知らされます。

そこに着る人の感覚が人により違いますので
オーダーの服にはビスポーク(話し合い)が十分に必要で
それにより出来上がる服がオーダー服の醍醐味になると思います。













本日からユーロテックスの生地の取り扱いをはじめました。
初めて生地を見た時はイギリスのマーチャントのイメージを持ちましたが、実はイタリアの
マーチャントでした。
100年以上続くイタリアのテキスタイルマーチャントで85%以上の
生地が英国製で占めています。
しかし明るい目の柄やストライプが多く、純粋な英国生地とは
違うイタリアの雰囲気を持った生地が多く見られます。














ユーロテックス社はロンドンのオフィスに原毛をストックし英国の複数の
生地工場に生地を織らせて
原毛から生地の織り方まで徹底的にこだわった品質重視
の生地造りを目指しています。
また生地のデザインも英国の伝統的な高品質を追求しながら
イタリアの華やかなデザインを取り入れています。

価格的にはオーダ生地として中の上ぐらいですが、他社の老舗の生地メーカー
やマーチャントと比較しても独自性を保ち、
付加価値の高い生地と確信しています。
上の2つの写真は夏向き3シーズンのスーツ地です。













上写真では英国製の生地にしては明るい目のセレクトになっています。
主に麻混紡生地で、他にウールと若干マイクロファイバを混ぜて
張りと柔らかさを出しています。
麻生地で柔らかい風合いをお望みの方は一見の価値有りですね。















本日は生地を型紙に沿ってカットしています。
縫製に向けて大切な基礎となるこの段階の作業は
服のシルエットやデザインの大方はこのカッティングで決まってしまいます。

現在に於いて工場縫製等では合理化の為にこの作業をコンピューターにより自動裁断
をしてスピード化をしている所もありますが
これは技術の後継者不足やコスト削減など製作者側の都合による事なのです。

手作業により手間暇をかけることが全て機械を使用する事より優れているとは
思いませんが、微妙なラインの修正や着心地の補正をし易い利点が有ります。

着る方にとってシルエット重視や着心地重視の方等、ご要望は様々ですが
我々テーラーにとっては着る方の個性とご要望を満たす事が重要と考えています。
ですので当店ではお客様のご要望を確実に反映させる為にハンドメードは勿論の事
マシーンを多用したオーダーでも自分達でカッティングをしています。
また新しい型紙のパターンやカットも試行錯誤中です!
今回はお客様からご注文の際に良く質問される
手縫いと機械縫製の違いを検証してみたいと思います。
まず着る方からすると初めに目に付くのが値段の違いでしょう、
テーラーハタノの縫製工賃では手縫いが\126,000~、機械縫製が\63,000~
で違いが2倍にもなります。

まず採寸した寸法を元に型紙を作り、その型紙で生地のパーツを作り
仮縫いに仕上げます、ここまでは手縫いも機械縫製も同じ工程ですが
その後の完成に向けての本縫製が両者の違いになってきます。
完成後の形としてはどちらも完成度が高くて表面的には微妙な差しかありませんので
一見大まかには見分けが付き難く、見慣れた方でないと判別出来ないと思います。
工賃の違いはもちろん縫製による手間暇と芯地や中に使われている副素材
による違いがありますが、これが着る方にとってどう違い、どのような
メリットがあるのかを一部ご説明します。

※手縫いでする事と機械縫製でしない事
○いせ込み
アイロンを使っていせ込みと言う作業ですが、アイロンの熱と蒸気で
生地を伸ばしたり縮めたりして生地に膨らみや立体性を持たせて
複雑な人間の凹凸に合うように立体的な服を作る為の作業です、
これは微妙な手による操作が必要で熟練した職人しか出来ない作業なので
機械縫製では不可能になります。
この作業の結果、着る人の体に良く沿って動き易くなり、同時に着心地も良くなります。
また完成時には胸の張り等が出て美しいシルエットも出てきます。

○袖付け
筒状になった袖のパーツを胴体に付ける作業(肩の位地)
でも大きな違いがあります。
まず手縫いはこの部分も勿論手縫いですが、針を通す時には
微妙な手による加減が必要です。
この袖付けの部分は大きく動く可動部ですから少し糸に余裕を
持たせて柔らかく縫います、また機械縫製では袖付け専用のミシンを使います。
機械縫製ではミシンですから力加減は出来ませんので、通常直線を縫うように
かっちりと固められたように付いてしまいます。
外からの見た目では分かり難いのですが、手縫いのように柔らかく付かないので
着た時にこの部分が硬く感じられ、腕の動かし易さが
手縫いに及ばず結果としては着心地が手縫いよりも劣ってくることになります。

一人の職人の工程には280前後の作業があり、機械縫製にも
数え切れないほどの沢山の工程がありますが
代表的な違いを挙げました、ここでは僅か2つの工程だけで
これほど大きな違いが出ましたので完成時には更に違いが出てきます。
大きくとらえると手縫いには柔らかさが出て、それが着易さに繋がると思います、
機械縫製では各部縫製の専用ミシンを多用しますので手間暇を省き
スピード化によりコストを下げる事が出来ますが、手縫いのような柔らかい着心地と
より立体的なシルエットが出難くなります。
一言で言うと柔と硬でしょうか?

そして読んで頂いている方に少しでも両者の違いがお伝え出来、
ご注文の際の判断材料としてお考え頂ければ何よりです(既に経験済みの方はご容赦下さい)。

他にも表地に芯地を付ける手法の違いや上襟の付け方の違い等沢山違いがあり、
一度に説明出来ませんのでまた順次掲載したいと思います。





















麻、シルク、ウールで混紡した生地を使用し、お仕立ては肩パットを省き
芯地を極力薄くした一重仕立ての仮縫い時の夏ジャケットです。

目が粗い織とシルクを使用したことで非常に軽くシャツに近い感覚
を得られ、通気性も抜群です。
以前混紡の生地のお話をさせて頂きましたが、近年の混紡生地には
感心させられるようなことも多くなってきました。
このような最近のオーダー生地は各素材の特性を生かし
て混紡した生地が沢山出てきています。

例えば麻にモヘアを混紡した生地が出てきました、麻の風合いを残しながら
防皺性を高めて清涼性を更に追加しています、これは麻は好きだけど皺が嫌いな方
にはお勧めできると思います、
ウールの中でも湿気に強くて張りの有る夏素材のモヘアを混紡する事で
皺の問題を解消しているのです。

また今までに無かったような風合いや生地の表情を
作る事も出来るようになってきました。
非常に多数の生地選びは迷うことも多いと思いますが
きっと着る方にとって最適で魅力的な生地が見つかると思います。


代表的な夏素材のビンテージ生地ドーメルのスーパーブリオを3点
発見することが出来ました。
左の紺地のチェックが2点、右のブルーグレーのピンストライプが1点で
もう出てこないと思っていましたが奇跡に近いような気がします、
製造年月は80年代前半の物で、現在のモヘアより更に上質なモヘアを60%も配合し
腰と張りを持たせた生地になっています。

またモヘア生地 は独特の光沢が有りまして、中にはこの光沢を敬遠される方
がいらっしゃいますがスーパーブリオは光沢が控えめなので
現在の生地と光沢度はそれほど違いは無いと思います。
この時代のオーダー服地は本当に高級を求められた時代だったので
仕立て上げると抜群の仕立て栄えがしてきます、
より高級感をお探しの方にはピッタリだと思いますね。














































久しぶりに自分用のシャツをオーダーしました。
生地は上写真のイタリアのカンクリーニ社
のオルタネートストライプがシャープでこれからの
暑い季節に爽やかに映ると思いこれに決めました。

後は落ち着き感を出したかったので襟のワイドスプレッドとカフスを
クレリックに変更し、カフスにはカフスボタン用の穴を開けて
通常のボタンと両方使用出来るようにもしました。
上質なエジプト綿を高い密度で織り上げていますので
手触りが良くて張りがあります。
これからの季節、ダーク色系のスーツに清涼感を
演出するには役立ちそうです。


















































本日ブラックスーツにパーティー用として
ご購入頂いたステファノリッチ のフォーマルタイです。

極上のシルクをベースにスワロフスキー社 のクリスタルガラス
を使った装飾を施しています。
創業者はオーストリアのダニエル・スワロフスキー
でベルサイユ宮殿やオペラ劇場のシャンデリアパーツも
手掛け、独自の製法と加工技術を開発しました。
このクリスタルガラスは通常よりも酸化鉛を多く含んでいるので
光の反射加減により虹色に見え、非常に優雅で他には無い
ドレスタイとしての一品です。

また特殊なクリスタルのカット技術により
様々なカラーも製造しております。






ウール+モヘア、ウール+リネン、ウール+リネン+シルク等
夏物だけでも多数の混紡物と色柄を合わせると生地の数は数千種類になります。

オーダーの生地を決めるのはこれだけ沢山ありますから生地選びは
楽しいのですが、反面数が多すぎて迷うことがあります。
特にオーダーが初めての方や慣れていない方にとっては
どの生地が自分に合うだろうと悩まれる事が多いようです。

使用する季節、色柄、ご予算等が決まっていればご自分の
御好みと触った感じの風合い、あとは五感を働かせて選ぶと言うところでしょうか。
ただ風合い等を五感に働かせて選ぶのはある程度の慣れが必要ですから
時間をかけて生地を色々と見て触って頂き慣れていただく方法が良いでしょう。

ですので当店では生地を見て頂く時間を多く取っています、
例えば気に入った生地を肩にかけて鏡で見て頂いたり、
数多くのバンチ見本を見て触って確認して頂いたりして
じっくりと時間をかけて自分に合う生地をイメージして頂きます。

ご質問等があればアドバイスもさせて頂いていますが
オーダー服は生地を加工して完成になるので
着る方が生地を見た時、完成したイメージが出来るかどうかがポイントになります。
生地選びにベストな方法は有りませんが
テーラーハタノ ではこのように時間をかけて生地に慣れて頂く方法をとらせて頂いています。























ハリソンのリネンバンチを新入荷しました。
柄物の麻生地やモヘアとリネンを混紡して
防皺性を高めた新たな混紡地も多数あります、
是非手にとってご覧下さい。















昨日以前からリフォームを待っていましたお客様用の椅子が届きました。
デンマークのフレデリシア社製のローバック・イージーチェアを中古で
見つけ、フレーム部の補修と座面クッションを張替えてもらい
出来上がってきました所、とてもかっちりとした座り心地の良い椅子になりました。
製造年代は何時頃か分かりませんが基礎的な作りが良い物は
長年飽きが来なくて気持ち良く使えると思います、
また我々テーラーや物作りに携わる人に共通する点でも有るでしょう。
これから使い込んで行くのが楽しみになります。




上写真はエドウィン・ウッドハウスAir-Wayを新入荷しました。
バンチナンバー2に加え新たに3が加わったことで色柄が更に
多彩になりました、特にジャケット地が目立ちます。
縦糸にウールの強撚糸、横糸にサマーキッドモヘアの混紡糸を使用することにより
高い通気性と張りとコシを保ち、モヘアの素材感を出しています。
光沢感は無いので夏地としてモヘアの光沢感を敬遠される方には
特にピッタリの生地と思います。