京都・寺町通 テーラーハタノの仕事 -24ページ目

京都・寺町通 テーラーハタノの仕事

1906年(明治39年)創業のビスポークテーラーです。

テーラハタノの今年の夏は少し様子が変わっています。
梅雨がまだ明けなくて例年よりも少し涼しいせいか、現在
夏物のご注文と秋冬物のご注文が混在してきました。














夏物に関しては、本格的な夏が来なければ実感として夏物を作ろう
と言う感覚が沸かないのかもしれないし、秋冬物は夏物をとばして
時間のある間にゆっくりと秋冬物を作ろうと思われる方に
二極化されたのかも、と先日お客様とお話しておりました。
また時代が変れば人も変ると言いますが、人の行動も
様々になってきたような気がします。

それに現物の秋冬物の生地や、
新作以外のバンチ見本は年中当店に
保管していますので、比較的すいている
夏の間にじっくりと見て頂けます。
それとテーラーにとっての悩みのバンチ見本の品切れが季節外れの夏は少ないので
混んでくる秋冬シーズンに比べれば大きなメリットと思えますね。

 




















襟型が新しいタイプが追加されたのでそれを使って
麻のシャツを作りました。

襟の何処が今まで違うかと言うと、襟の剣先外側の
カーブが若干へこんでカーブしているのが見て頂けると
思います。
僅かなことですがこのカーブを付ける事により剣先が
シャープになり、ワイドスプレッドとの相乗効果も出て
ノータイでも格好良く着られますね。
それと今回はカジュアル志向を考えてボタンとボタンホールを
グレーにしてみましたが黄色の生地と相性が良くて
成功だと思います。

早速着てみましたが、やはり麻は一度洗って柔らかくしてからでないと
肌にちくちくしますね、それからこのシャツのパターンは
アームホールが浅く出来ているので非常に腕が動かしやすく、
同時に浅いアームホールの上着を着る時にも腕の収まりが
良くて着易すいシャツになりました。


テーラーハタノではオーダー用品のアイテムを色々と
増やしております。
今回はオーダーの世界では珍しいネクタイのオーダーを始めました。















写真のように生地のサンプルは約100種類でジャガード織り
、レジメや小紋柄、ペイズリー等多彩に揃っています。

全体的に生地がしっかりしているのと芯地の硬さや厚みを
選べるのでネクタイの硬さをお好みにより選ぶことが出来ます。

例えばシャツの襟のタイスペースが広いとネクタイの
結び目を大きくしたほうがバランスが良いので芯地を
厚めにする等、シャツに合わせて選ぶ方法もあります。

それから一番大きな特徴はネクタイの長さと大剣の幅(ネクタイの一番太い部分)
の寸法調整が出来ることですが
この部分の長さと幅で悩んでおられる方も多いようなので
重要な部分でもあります。
長さは143cm標準で±4cm、大剣の幅は8.5cm標準で±2cmまで
調整可能です、これは一般的には首の太さや
体格に合わせて選ばれる事が良いかと思いますね、
特に長さはすっきりと自分の体格に納まると思います。
更に共地でポケットチーフがついています。
















表から見えない裏地も共裏を使用して耐久性と高級感を出しています。
































今日は何時もビンテージ生地でご注文を下さいますHさん
がご来店下さいました。
この仮縫いもドーメルのスーパーブリオ(黒)を使用させて頂きました。

今まで同じ型紙を何回も生地を裁断し、その都度補正してきましたので
かなり熟成した形にすることに成功することが出来て、
その結果スタオルやフィット性はHさんのお好みに
ピッタリなので今回の生地による癖だけを調整させて頂くことに
なります。
Hさん素晴らしいブラックスーツに出来上がりますので
お楽しみにお待ち下さいね。























Hさんの仮縫いと同時に完成した服のお渡しもさせて頂きました
ので仮縫いと比較して見て頂けると思います。

生地は同じくドーメルでビンテージのモンシュアーと呼ばれる
銘柄で夏に向いた薄くて張りがあります。

比較的体にピッタリと沿いながら胸周りはボリューム
を持たせておりますので、全体にメリハリのあるお仕立てに
紺地をベースに赤や緑のラインが交差し明るいグリーンの
ネップのような柄が粋ですね。
また腰のある生地なので着るほどに体に
馴染んで頂ける生地と思います。


















J&J MINNISはロンドンでジェームズエグバートミニスによって
1874年に創立された高級生地商社です。
1902年に本拠地をサビル・ローに移し、1919年には
日本に初めてサビル・ローの服地を紹介しました。

上写真は先日ご注文を頂いたモヘア混紡の黒生地で
日本の暑い夏には輪郭がすっきりと出る為に逆に清涼感が
出ているように見えますね。

またヨーロッパでは最高級の色は黒と認知されています、
元々はフォーマルから発祥していると思われますが
日本に於いてもカメラや電気製品等、最高グレードの製品は
黒が多いのもうなずけます。

最近は礼服兼用としてお使いの方も増えていて合理性も追求されていますが
高級生地にこだわったJ&J MINNISのような黒生地は
様々な場面で最高の品格が出ると思います。











今日はテーラ-ハタノと取引をしている生地輸入元の
方とお客様から見たバンチと現物生地の特徴について
話をしていました。

この両者の扱い量は店により様々ですが、全体の傾向として
老舗のテーラーさんは現物を多い目に、セレクトショップや
新しいテーラーさんはバンチ見本を中心に置かれています。

ですが最近このバンチ見本から注文されていた方が
現物生地を見てから注文したいとのご要望が増えているそうです。

このご要望には最新の生地をバンチでは色々と数は見られるけれど
生地の大きさが小さくてイメージや質感が分かり難いことにあると
思います。
これは生地を見ることに慣れた私達でも手に取った重みが分かりやすく
生地全体の感じが伝わってきます、肩から掛けてイメージする事も出来ますしね。

デメリットを挙げるとしたら体の大きな方や3つ揃え、替えズボンを作る場合
に生地の用尺が足りなくて他に全く同じ生地がないと
お仕立てできない事があります。通常はスーツ地の場合上下分を考えて
とっている事が多いですから。

ですので分かりやすい現物生地でお好みの生地があればそれに越した事はないので
テーラハタノではまず現物生地を見て頂いて、
お望みの生地が無ければバンチ見本を見て頂くように
段階分けしてお見せしています。
それと勿論両方とも取扱量は増やすようにしていますし、
考えても答えが出ませんので保有比率は今のところ50:50に近くしております。

(上写真はイメージ写真です)

















先日ご年配の方からご注文頂いた爽やかなオレンジ色の
リネン生地を仮縫いしました。
裏地もリネン生地を使い、夏らしく見ていても着ていても清涼性があります。
同じような色の素材は他に見当たらないので
ご本人にとっては特別な一着になりそうです。
スーツ又はジャケとのご注文時に胸元のVゾーンの深さについて
度々ご相談をお受けします。
紳士服に於いてこの部分で相手に対する印象はだいぶ違ってきます、
例えば深いVゾーンの場合ゆったりと落ち着いた雰囲気が出ますので
正装用やご年配の方に好まれます。
反対に浅い場合は活動的で信用力のイメージがある為、企業家や銀行家
の方等に好まれる傾向がありますが、どちらの場合も
肩幅や襟巾との関係でバランスで
印象が変わりますのでデザインを決定する際には注意が必要です。


















上写真は襟付きのベストを見せる為にVゾーンをやや深くしています。
Vゾーン下部には襟の返りが立体的にロールしている為に段返り3ツボタンの最上部のボタンが隠れています、
このようにVゾーンを深くするには襟の返りの途中に第一ボタンとボタンホールを
付ける方法も選択肢の一つです。
これにより上半部はクラシカルな感じですが比較的襟巾が狭いのでシャープな
印象が出ています。















2番目の写真はピークラベルで少し極端ですが、たいぶ浅めの
Vゾーンになり、かなりタイトなイメージです。
仮に夏服にこれをやれば暑苦しいでしょうね、ボタンも
第一ボタンを留める仕様になっていますから、かっちりとした
着用感が出ます。
それと一般的なには身長の高い方にはあまりお勧め出来ないでしょう、
なぜなら全体の丈が長い為に胸元が短くなりすぎてしまい
バランスが崩れるからです。

さらにバランスで注意したいのがシングルボタンの場合
ゴージ線(上襟と下襟の継ぎ目の線)の高さで、
特にVゾーンが浅い場合ゴージ線を下げ過ぎると
バランスが崩れて見ていられなくなります。

これらのように紳士服はVゾーンに複数のディテールの要素が
絡み合ってバランスが取れており、
これらの僅かな差を利用して印象を変えられるのも面白いですね。



























少し時間が出来ましたので久しぶりに自分用のジャケットの
仮縫いをすることが出来ました。
上写真は生地はエンジをベース色にしたピンチェック柄のミラノスタイル
のお仕立てを使用した3着目ですが、変えたい部分がありましたので
更に煮詰める事にしました。

1,2着目はスーツとして愛用していて何処かが不満だった訳ではなく
年と共に自分の好みが変わって来ました。
袖がもう少し細くタイト気味に見えるようにとか
ウエストを絞ってドレープを利かすとか
いわゆるデザイン性の事ですが
気になったので今回の仮縫いで少しだけ補正しました。
紳士服は部分的に微妙に変えるだけでも全体の雰囲気は
ガラッと変わりますので
オーダー服(フルオーダー)は2着目3着目と少しずつ煮詰め
自分好みにしていく楽しみが有りますね。


















パンツのヒップから膝の後ろ側にかけて生地が溜まる現象が
仕立て具合によりおこる事があります。
後ろから見ればお尻の下に横皺が出来て
ラインが崩れ、あまり格好いいものでないと思います。

割と見落としがちなこの部分のカッティングを
テーラーハタノ は長年型紙の改良により履き心地と
スッキリとしたラインを出すことに成功しました。
写真上の上側がヒップラインで出しすぎず締めすぎず、足の動きにも
よく追従するようにしております。
また最近の細いシルエットのパンツは単純にに細くすると
動きが制限されますので安易に細くするのもバランスを崩し、着心地に影響が出ます。

服はスーツにしてもジャケットにしても
上下が上手く融合する事によりバランスが取れて格好良く見えます。
少しでもパンツに違和感をお持ちであれば
今一度着用されているパンツを見直されては如何ですか?
修正することが出来ればきっと格好良くなると思いますよ♪
もちろん当店もご相談にも乗らせて頂きます。