前回に続きハンドメードの工房の作業風景です。
一般の方はあまり見慣れない風景とは思いますが
ここから2つと無い着る方だけに合った洋服が出来上がってきます。
したがって縫製中もミリ単位の正確さと熟練された
感性が必要で、当然ながら職人さんも非常に集中して作業されていました。
その為、邪魔にならないように撮った為に、
あまり良いアングルから撮れなかった写真もありました
のでどうかご容赦下さい、その分ご説明でカバーしようと思います。
またこの工房では将来的に変化して行くデザインの
服を製作されることはあるでしょうか?と工場側に質問したところ
いつまでもハンドの良さを追求し、着易くて質の高い縫製に
こだわる為に特に基本的な仕立て法は変更はしませんとの事でした。
つまり流行を追ったデザイン変更や表面的に見た目だけの
格好良さを取り入れるのではなく
本来ハンドメードオーダーの持っている良さをずっと残して行きたい
と工房の責任者は語っておられました。
このことは私の持っているテーラーとしての考えとも
同じでした、手間や時間の掛かる手縫いの仕事は
合理性を追求した時代と共に減っていっているけれども
僅かながらでも本質的にいい物は残していこうと共感できたことが
大変嬉しかったです。
そのように心血を注いでいる職人さんの仕事ぶりを見れたことは
私も刺激を受けました。上写真の仕事は付属と言われるポケットの
フラップや胸ポケットの口布を作っている所です。
この付属を前身に取り付けて形にしていきます。
上写真は上着の身頃に芯地を仮止めしている所ですが、この裏に隠れている芯地
が良い服になる秘密を抱えております。
この工房で作られているミラノスタイル
やフィレンツェスタイル
のお仕立ては胸から裾にかけて使用している特殊な芯地は縦にだけ伸縮性が
ある事により体のラインに良く馴染ませる事が出来ます。
更に肩の部分に入っている芯地も極限まで薄くて非常に張りが有ります。
これらは立体的で美しい張りのある肩から裾にかけてのラインを
出すことには必要な付属品となります。
この服に使われている特殊な芯地はイタリアから日本へ、
この工房だけに原材料を配給されている工場
で馬の尻毛を特殊な繊維に混ぜて作られているそうです。
お仕立て技術同様にここにも着易くて美しいシルエットを
着続けられる配慮がなされています。
上は若手の職人さんの作業写真です、ここでも熟練者の丁寧な指導
との真剣なやりとりがされていました。
こちらも仮止めの場面ですがいずれは更に難易度の高い仕事を
されるでしょう、ちなみに服を着易くする為には後身の肩の部分を
通常は1.5倍いせ込みと言われるアイロンワークを施しますが
このお仕立ては2倍いせ込みます、しかし反面いせ込み量が多いほど
生地に皺等が出やすくなります。
それを解決するにはここにも熟練された技術と
蓄積されたノウハウが必要になってきます、
一見すると分かりにくい所ではありますが
マシーンは勿論、普通の手作業でも出来ませんので
他には無い大切な技術として残して行きたいと願っています。
次回は襟芯作りやプレス等をご紹介したいと思います。