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京都・寺町通 テーラーハタノの仕事

1906年(明治39年)創業のビスポークテーラーです。

英国サビル・ローの老舗テーラー、ヘンリープールの
生地見本が入ってきましたのでご紹介いたします。
1806年、軍服専門店として発祥し、2代目店主の
ヘンリープールがテーラーの聖地として世界的に有名な
サビル・ローに最初のカスタムテーラーとして店を1864年に
構えました。



















ヘンリープールの顧客名簿には、ナポレオン3世、ディケンズ、チャールズ首相等、
世界中の王族、貴族階級の名前が数多くストックされ、
創業以来の寸法台帳は歴史上の人物の
体型を今に伝える貴重な資料になっているそうです。

そのヘンリープールは現在本店に於いて使っているのが
上写真の生地見本で、秋冬用スーツ地とジャケット地の見本を
テーラーハタノに取り入れました。
スーツ地に於いては全体的に英国らしく厚手で無地系もしくは
ストライプ系が多く張りのあるスーツになります。
また生地の表示には織元メーカー名や商社名、ブランド名は
入っておりません、ヘンリープールだけではなく英国のテーラーが
扱っている生地にはMade In Englandと生産地が入っているだけの
物が昔から変わりなく取り扱われているようです。

おそらく特に見る目を持っている顧客はそういう表示には
左右されないのでしょう、勿論素材表示等は書いてありますが
いたってシンプルです。




今回レディーススーツでお受けした生地は
カチョッポリのホームスパン系ツイード地でお仕立て
させて頂く事になりました。
特徴的なのが写真のような紫であるようですが僅かにしピンクがかって
ムラも少しある味わい深い生地で面白みが有ります。
ご依頼主は他にも紫系の生地を何点か比べられましたが
第一印象が良かったこの生地に決められたようです、
このような明るめの生地でハッキリ何色と言えないような
絶妙な感覚の色は正にイタリア製の生地に多いのが特徴ですね。

私個人の感覚ではこのような感覚の色は大好きです、
服の色は感覚で選んで着る楽しみが有りますから。



先日、お引取りに来てくださったK様のスーツをUPさせて頂きます。
素材はイタリア、オルメザーノ社のウール100%フランネルで
目付けが高くて腰が強い為に高い耐久性があります、
それにフラノ本来の保温性があるので冬にはベストな素材ですね、
それに今年は寒くなりそうですし。
何時もビジネスに一日中ご着用されるK様は動きやすいお仕立てを
ご注文されます。
それでこのスーツのお仕立てには腕や上半身の動き易さと
首の付け根付近に上着の重みを乗せる事により長時間着ても
疲れにくい服に仕上げました、写真のように上襟が首の周りに
吸い付いているような仕上がりが大事になってきます。

当店はハウススタイルと言うデザインはお奨めしておりません
のでその方に合ったデザインを考えたり、ご要望をお聞きしたり
して決定する事で時にはイタリアと英国の中庸的なデザインになったり
しますが一番大事なのは着る方に似合って、愛着を持って頂ける
事と思います。
K様の場合は2つボタンと3つボタンを交互にご注文される位で
基本的なデザインはあまり変更されないですね、
写真のスーツも煮詰まっていてタイトすぎずゆっくり過ぎず
私好みのシルエットにもなりました。

この日はあまり時間が無くてお話しできませんでしたが
またごゆっくりとご来店下さい、そして写真のご協力有難うございました。



ご無沙汰しておりました、先日ハリソンズの秋冬バンチ生地が
まとめて入ってきましたのでご紹介をさせて頂きます。
ハリソンズは1863年からスコットランド・エジンバラの名門生地マーチャント
として世界中の注目を集めています。
トレードマークの赤いバンチで展開されるその高品質かつ豊富な服地コレクションは、
世界中の名門テーラー、オーダーサロンで取り扱われ、
欧州の王侯貴族をはじめとした世界中のVIPから愛されてきました。


















「最上級の原毛のみが、最高級の生地を作り上げる」という哲学を元に
最上の原毛のみを使用し仕上げまで全ての
工程に於いて妥協を排して生み出さ れる生地の数々は、
実際に縫製に携わるプロフェッショナル達から絶対的な信頼を寄せられているようです。

写真左は近年注目を集めるスーツ用フラノ地ながら
英国的フラノ地とは等とは一線を画した英国製伝統的フランネル
としてハリソンズにより作られてきました。
気軽にフランネルを愉しむことができるWORSTED(ウーステッド・梳毛)と、
洋服好き垂涎のWOOLLEN(ウールン・紡毛)の2つのマテリアルに
打ち込みのしっかりした340g~475gのウエイトの生地が揃って
おります。

写真右は近年では珍しい部類に入るヘビーウェイトの
コート地になります。
560g~700gのウ-ル、ウール&カシミヤ、カシミヤと最高級の素材と
製法を使い出来上がった生地は触れるだけでも極上の
クオリティーを感じ取れますが、実際コートに仕上がると
カシミヤは美しく、ウールはハリが出て重量感のあるしっかりした
抜群の存在感を出すでしょう。
2種類の上の生地は特に特徴がありましたので掲載させて頂きましたが
他にも目付けが高いスーツ用生地をメインに
ハイクオリティな英国伝統の生地を取り揃えております。


近頃冬服のご註文をされる方も増えて来ました、先日ご註文頂いた
O様はエメラルドグリーンのツイードにモスグリ-ンのパンツ地を
合わされました。
















非常に上質な源毛とフィニッシングを施されたヘリンボーンの
ツイード地で仕上がりに艶があります、 発色もブルーとグリーンの
中間のような感じで絶妙な色に仕上がっています。
そこにコットンで出来たモスグリーンのパンツ地を合わせたら
ボトムがぐっと引き締まる事でしょう。

O様はご年配の方ですが生地やデザインはご自分から何時も選ばれます、
おそらく色のバランス感覚を
長年の経験からの感覚でしょう。
それにご年配の方がこのような色合わせにすると躍動感が
出て個性のある服になると思えます。
いつまでも洋服を着る想像力を働かせて考えて
実現して行くO様に、継続していく大切さを改めて教えられたような日でした。


先日当店に保存してあった古いテーラーの歴史
の資料をひっぱり出して読んでみましたところ
いろいろと解説してありましたので少し簡略化して
ご紹介しようと思います。

世間では仕立屋、洋服屋、註文服やと並びテーラー、tailorと
呼び名があるのは広く知られています。
元々は14世紀ぐらいにラテン語の゛タリアーレ″taliare(切るの意味)
から発祥しているらしく「裁断屋」が転じて「仕立屋」
となったと言えるかもしれない、と記してありました。

そして゛テーラー″以外に「洋服屋」を意味する言葉を
捜してみると下のような言葉があります。

※クロージャー clothier
 クローズ、clothersから発展したもので、端的に訳せば
「服屋」になるでしょう。

※ビスポーク bespoke
 正しくは゛ビスポーク・テーラー″と呼ぶでしょうが、
略しています。本来の意味は注文主と店側が対話しながら
「註文した」とか「誂えた」という事でつまり「註文服屋」です。

最近テーラーの名称を入れている店も沢山出て来て
いますが詳細に分類すると、
クロージャーとは大量生産、大量販売をめざす店で
、たてまえは「註文服」であり、既製服ではない
ということになっています。
と記していましたがクロージャーという言葉自体
最近聞きませんね、おそらくテーラーと言う言葉
に一本化されたのかもしれません。

そして゛テーラーはまさしくテーラーであり、店主が
職人を兼ねており顧客を中心に
小規模の店舗で商売をするカテゴリーにあたります。
それに元々はハンドメードのみを扱っていました。

それと最近よく耳にする゛ビスポーク″は一口で言うなら
「高級洋服店」で比較的長い歴史を持ち、二代目、三代目が
経営者となっている場合もあります。

一つ言える事はしばらく前の時代の方が、店が扱っている商品と
呼び名が一致しやすいような感じがします、
最近のオーダー服業界は以前より競争も激しくなっている為に
このような言葉をイメージ化して巧みに使っている店舗もあるようですが
消費者の方にはある程度このような用語を正確に知って頂いたほうが、
ご希望のスタイルに合った店を探す早道かもしれません。
例えば純粋なテーラーを探している方には
テーラーと称しているパターンオーダーやイージーオーダー
の店では探している商品はご希望に合わないでしょう。
又その逆もあり得ます。

皆さんこんにちわ、テーラハタノでは生地の色柄からスタイルや
デザインをご提案させていただく事も一般的ですが、
今回は生地を見てスタイルやデザインを
決定されるHさんのシャープで個性的なオルタネートストライプ
のジャケットをご紹介しようと思います。





























このインパクトのある柄のオルタネートストライプ生地はシルエットの出し方や
着方によっては野暮ったくも素敵な服にもなりますが
今回はHさんのイメージ通り、肩から腰下にかけて体に沿った美しい
ラインとやや弓形の袖のカーブを付ける事により
服に軽快感を出す事が出来ました。

またお仕立て法やバランスの取り方によっては
イメージとは違った服になりかねませんので
この点についても気を付けてお仕立てさせて頂きました。
いつも服に対して深い知識と豊かな経験をお持ちの紳士なHさんですが、
今回は個性的な一着をご紹介させて頂きました。

皆様こんにちわ、今回は毎年アイビールックで御注文を頂いている
お客様のジャケットが出来上がりましたのでご紹介をさせて頂きます。



























最近主流のウエストを絞り、肩幅や胸巾の狭めのクラシコや
ブリティッシュスタイルとは全く異なったシルエットですが
今見るととても個性的ですね。

シルエットは上から下まで全体的にストレートで、通常は入っている胸ポケット
の下位置の両側にダーツが入っていませんので更にこれが
強調されます。
襟幅を広くしてボタン位地も低く、グリーンのツイード生地と
の相性が良くて大らかな印象を受けます。
更にツイードに相性が良い革編みボタンを選択、
上襟には風の強い日等にボタンで留めて閉められるスロートタブ
をアクセントとしてお付けしました。

今回新たに気付いたのですがグリーンのツイードと
アイビーも非常に良く合いますね、流行のシルエットや
スタイルを中心に考えていたら見過ごしたかもしれませんが
今回のお客様のようにご自分のスタイルを長年
お持ち続けられる事は、とても個性的で素敵な事に思えました。


















先日ちょっと珍しい生地でスーツのご注文を頂きました。

J&J-Minnis が日本に入ってきて60周年の記念に作られた
生地ですが、ご依頼主はこの生地が特別に作られたからではなく
品質と風合いを観て決定されました。
生地の目付け、肉厚、発色等どれをとっても結果的には
最上のレベルを持った生地ですが、
本質的な生地の良さを観て選んで頂いた事について大変
嬉しかったですね。

あらゆる物選びは共通していると思いますが
物の持っている本質の良さは時代が変っても乗り越えて行ける
力を持っていると思います。


みなさんこんにちわ、近頃オーダーする際に縫製の質の良さが広まったのか
テーラーハタノに於いてもハンドメードのご注文が多くなってきました。

そこで今回ハンドの良さの一部分として肩周りの縫製の
ご説明を少しさせて頂こうと思います、
















上写真はハンドメードの服の肩の部分を上から撮った物っで、斜め後ろにかけての縫い目の
肩線とそれに対しておよそ直角になる縫い目の袖付け線があり
、どちらも裏側の余った生地を片側に倒してハンドステッチにより
表地から押さえてあります。

手仕事の為、良く観ると肩線も袖付け線も綺麗な真っ直ぐな線ではなく
僅かに蛇行して縫われているのが確認できます。
その為見た目はミシンに比べて不揃いで少々綺麗さに劣りますが
服を立体的に着易くするのには手縫い以上の手段はありません。

また縫い目の箇所にはそれぞれ役割があります、
肩線は前身と後身の生地をつなぎ合わせている縫い目ですが
後身(縫い目より右側)のほうが1.5~2cm多く幅をとってあり
前身に合わせてその余った生地をいせて縫って行きます。

この部分を縫い上げると、そのままでは後身の接合部が凹凸になってしまいますので
アイロンワークによりいせ込みます、更にハンドステッチで固定して
出来上がりです。
そうすることにより肩の部分が立体的になり、肩線の前後
に膨らみを持たせることにより腕が前に出し易くすることが出来、
これを前肩と呼びます。

もう一方の袖付け部分はミシンで縫うよりも手で縫う方が
力の調節がし易くて柔らかく縫える為、肩周りの
着心地が非常に柔らかくて腕が動かし易くなります。
このようにどちらの縫製も機械では実現不可能で
わざわざ手間とコストの掛かる手縫いで縫う意味があると思われます。

また各部の縫製の役割も違いますので
箇所によってはミシンを使う事もありますが
その場合は手縫いでもミシンを使う場合でも
縫製の質にあまり差が出ない部分でしょう。
このように手縫いとは手間を掛けて付加価値を付けているのではなく
意味のある仕事として、今でも進化している仕事ですね。