闇は光を求めて③ | 藤香峰(ふじかね)智子の英語は世界へのパスポート

狂気と理性の狭間で

 

警察には事前にYやKの暴力行為について相談してあり、

110番通報すれば私の携帯電話の番号は登録番号として処理されることになっていた。

なので、詳しい説明は要らなかった。

 

この時ほど警察組織がありがたいと思ったことはない。

 

それから30分くらいだったか、よく覚えていないのだけど、パトカーが来て、5人の警察官が家に入って来て、見苦しくも言い訳をするYを取り押さえ、私から引き離して行った。

 

その時に1人の警察官が私にこういった。

「奥さん、別居か離婚しないとあなたダメになりますよ。」

 

私もそうだとずっと思っていたことで、そのように客観的に言われると、やっぱりそうなんだ、と納得するしかなかった。

 

 

近くに東武線が通っていて、毎日、夜11時頃まで運行している。その時間になると周りはとても静かで、電車の音が虚しく響く夜であった。

 

 

 秋の乾いた夜空は、そんな人間世界の修羅場を大きく見下ろして、いつもと変わらない星々の運行を行なっていた。

 

 近くを流れる秋山川の周りは濁流にのまれ、氾濫したが、だいぶ落ち着きを取り戻した頃だった。

 

 私は秋という季節が大好きで、夏の暑さが過ぎ、快適になった空気を満喫するのが心地よかったし、食べ物も豊富で、一年で一番楽しめる季節なのだけど、

 

この年は全く、生きた心地すらしない、と言えた。

毎年、ピンクのコスモスが庭に咲いたのだが、それすらもじっくり見る心の余裕はなかった。

 

 私は心の中でずっと思っていたことがあって、

・とにかく離婚して自分の人生を大切にしたい。

・暴言はもうたくさんで、もっと理性的な生活をしたい。自分の尊厳を取り戻したい。

・自分らしく働きたい。

 

・・・自分のこの思いを実現させるときが来たのだ。

今だ!

 

私の予定ではあと3年先に設定した未来なのだけど、もう、その時が来てしまったのだ。