≪四谷のお菓子大特集!!その2≫
森八(宝達)
加賀藩御用菓子司とある。石川県にある本店は創業寛永2年。なんと380年の歴史を持つ。数字の打ち間違いではない。四谷の店舗もガラス張りの表が大きな店舗である。詰め合わせしかないのではないかと入るのさえ躊躇してしまうほどだ。
「宝達」は加賀藩の御用金山である宝達山に由来する菓子である。その由来の通り菓子にワンポイントとして金箔があしらわれている。大きさも大きくなく、小さくなく、とても高貴な印象を与える菓子である。漆塗りの盆が合いそうだ。
見た目は半月型のカステラ地のどら焼のようである。しかし食感はそれとは異なり、とてもモチモチしており、しっとりしている。餅ではないがカステラでもないと言いたい。中の餡は甘味がとても少ない。カステラと餡の境を感じない。
この店に入り、お薦め、売れ筋を聞いてみたのだが、店員もどれを薦めるがを迷うほど商品数が多い。さすがに380年の歴史があるだけのことはある。どれも上品で贈り物向きお菓子だ。
宝達 126円
四谷2-9
03-3353-6741
米世商店(甘納豆 やわらかおたふく)
甘納豆はコクと香りの違いで商品の違いが出ると説明を受けた。旦那さんは少し早口ではあるが、言葉は丁寧で綺麗な日本語を使うという印象だ。その説明を受けながら子袋に入った甘納豆の種類が、7袋だったろうか、ずらりと並んだ。しかもどれも素材となる豆が異なるだけでなく、黒いもの白いもの緑色のもの、甘いもの、甘味の少ないもの、固めのもの、柔らかいものなどすべて違いがある。どれを選ぶかは人それぞれの好みだと言われた。
一番柔らかく、香りのある「やわらかおたふく」なる甘納豆を選んでみた。素材は空豆であるので並べられた中でも一番大きく、さらには黒い。
甘納豆というくらいで、全体を砂糖にまぶしてあり、ものすごく甘い。そして一番柔らかいと言うだけあって、豆ではあるが、餡のように柔らかい。餡になっていると言っても過言ではないと思う。
店の端に賞状が飾ってある。昭和40年に受けたものだ。創業80年強だと言う。この店はもともと錦糸町に本店で、四谷は支店だったそうだ。関東大震災により錦糸町は焼け、今の四谷だけが残ったとのこと。旦那は3代目。災害にあったためか、創業が曖昧だ。
150gで730円。なかなか高価なお菓子であるが、四谷でしか買えない希少な甘納豆である。
甘納豆 やわらかおたふく 730円
三栄町9
03-3351-0963
CAFE DOR(アップルパイ)
一番のおすすめはアップルパイ。
一日にあまり多くは作れないそうで時々売り切れてしまう。しかし作っては出しての繰り返しなので、たいていは出来立てを食べることが出来る。実は私も2度目でいただくことが出来た。
出来上がったアップルパイは、大きな皿にたくさん積んで、客の座ることもある大きなテーブルの中心に置かれている。注文するとそこからトングでひとつずつ取ってくれる。
よく焼き上げられたサクサク感はもちろんのこと、包んだ生地の空洞が、一枚一枚包んだように薄いパイを形成し、とても柔らかいものに仕上がっている。またりんごは青森直送で3日煮込んだジャムで、とても酸味がある。他にもケーキなどの種類はあるが、どれも美味しそうだ。
しかしカフェでありながら、テーブルは4人席1つに、2人席2つのみだった。このあたりに洋菓子の店は少なく、まして手作りとなるととても入りそうだが、ちょうど良く客が入っているようだ。
アップルパイ 400円
三栄町6 小椋ビル1F
03-3355-6874
ヤマザキサンロイヤル(ラスク)
個人的にこれは穴と思うのだが、手作りラスクを売っている。この店の奥で手作りパンを作っている。
ヤマザキの赤い看板を見ると、どこにでもあるコンビニのような店だと思われてしまい、損していると思わざる得ない。ちゃんと店内の半分は、ここで作った手作りパンが置かれている。
ラスクはこの店の一番売り商品で、店頭にもポスターと一緒に置かれているので気がつくことが出来る。
シュガー、シナモン、ガーリックの3種類の味を用意しており、なんといっても厚みはある点が嬉しい。
歯ごたえがあり、奥歯でがりがり砕きながら食べるラスクである。
紅茶が欲しくて仕方がなくなること間違いない。
上品でも、歴史の重さもなく、また値段も安いので、庶民的な親近感を覚える。肩を張らずにスナック菓子感覚で食べることが出来るのも場合によっては必要だろう。
四谷1-21
≪四谷のお菓子大特集!!その1≫
坂本屋(カステラ)
明治30年の創業!新宿通り沿いにいかにも古そうな木造の店舗があり、店内のショーケースに和菓子が並んでいる。ふと覗いてみると、脇のほうにラップに包んだカステラがある。とても気になる。必要なら別料金で箱に入れてくれるが、そうでなければラップに包んだまま渡される。
スポンジは固めで、歯応えと手作り感があり、黄身の濃さがしっとりとして優しさを感じる。ザラメは甘すぎない。一口食べただけで、けして膨張剤など使わない、本物のカステラというものを再認識させられてしまう。
せっかくだから、ちょっと高いお茶を用意して食べてみるととても合うだろう。
それにしてもカステラの歴史が古いゆえ、和菓子だと勘違いしてしまいそうだ。
そして和菓子の種類も多く、ひとつひとつとてもかわいい印象がある。とても上品だ。和菓子作りにはデザイン能力も必要だとつくづく思う。わらび餅がおすすめだそうだ。こちらは大事なお客さんがあるときに。
一斤 1050円
半斤 520円
四谷1-18
03-3351-0195
わかば(たいやき)
おそらく四谷で一番有名なお菓子屋であるだろう。いつ行っても並ばなければ買うことが出来ない。カステラの坂本屋を入った、少し奥まったところにあるのだが、風向きによってはこの曲がり角あたりでアンの甘い香りが漂ってくる。片雲の風にさそわれて漂泊の思いやまず、ならぬ・・・。
店構えは時代劇に出てくる茶屋を連想させる。そこに行列が出来ているのだから、着物に紙包みでももってそうで面白い。
店内にはテーブルが3つあり、中でいただくことも出来るのだがほとんどの客が持ち帰っていると思う。
この店が有名になったのは、尻尾の先まできっちり、たっぷり入った餡だ。頭からでも尻尾からでも餡だ。その餡はほのかに甘いので、きっちり入っていても、全くしつこくない。そして皮が部分的にパリッとした食感であるのがささやかな楽しみだ。
餡だけでも売っているけれど、自宅でも同じように作れるだろうか?
ついでに気になるのは、店のすぐ目の前の電柱に「わかば ここ」という看板が打ちつけられている。ここまでくれば誰でも判るだろうに。
若葉1-10
03-3351-4396
泰祥製菓(中秋月餅)
難しい店名だが、手に取れば思い出すかもしれない。昔どこかからお土産でいただいて食べたことがある!という中華菓子だ。中秋月餅は昭和35年に天皇の誕生記念で開催された全国銘菓大品評会で全国最高賞をとった由緒あるお菓子だそうだ。商品の名称がまた良いですなあ。
パイ皮の中に良く練ったきめの細かい白餡が、ぐっと詰め込んであり、どっしりした貫禄がある。しっとりとトロけそうな舌触りだ。一個食べ終わっても、もう一つという気になってしまうのは私だけだろうか。
四谷の店舗での製造して、すぐに店に並べているそうだ。ここにも美味しさの秘密があるのだろう。
実はこの店舗か、FAX、電話でしか購入することができないので、四谷名物といって過言ではないかもしれない。
創業は1951年なので、56年営業していることになるが「和菓子の店はもっと長いところはいくらでもある。」と言って、恥ずかしがっていた。そんな女将の居る店だ。
(写真下:ソーベイというお菓子)
中秋月餅(白餅、黒餅) 各160円
四谷1-7
03-3357-2825
大角玉屋(いちご大福)
元祖いちご豆大福の店である。といっても本店は住吉町にあり、四谷店舗の方はとってもちいさな、まるで入り口しかないかのような店であった。
見た目は白い、片栗粉にまぶした餅に黒豆がごろごろと混ぜ合わせたているよくある大福。
手を粉まみれにし、周りにふき散らしながら、はんなりとした餅を引き伸ばし、一口含むとイチゴの酸味が甘い餡に染みだしながら溶け込む。餡はきめ細かい漉し餡で、とても滑らかである。
イチゴはイチゴで、餡に内包されながらも、独自の個性を妥協せず立たせている。むしろ餡の方が酸味を浸透させている。
しかしよく言われることだが、よくイチゴを入れようと思ったものだと感心してしまう。昭和60年(1985年)の出来事だそうだ。この頃って日本の景気がよいばかりか、何かとそれまでとは違ったものが出てきた勢いがある時代だったように思う。インターネットの前の時代、私の脳裏に浮かんだのが尾崎豊とゴルバチョフだったからこう思うのかもしれない。
元に戻すが、きっと賛否両論あったろう。和菓子会の革命だったに違いない。今時ならいじめにあってもおかしくない。
もはやイチゴに変わる果物など通用しないのだろうし、この酸味はイチゴ大福にだけ許された醍醐味だ。
四谷3-6
03-3358-8612
≪隋園菜館(四谷2丁目)≫
四谷駅から四谷三丁目に向かう途中に北京料理 隋園菜館という店がある。
居酒屋が複数入っているビルにあり、大小看板が並ぶ中に黄色い隋園菜館の看板は立てられている。
ランチ時のメニューがその看板を覆うようにかけられており、店の名前はほとんど見えなくなってしまっていた。なんと大雑把なことか。
今日のランチメニューは木須肉、家常豆腐、そしてその2つの両方の盛り合わせである。木須肉とは、きくらげと肉を卵で炒めた料理であり、家常豆腐とは、豆腐と豚肉の炒め物であると説明書きがあった。
この看板の足元に、レギュラーのメニューの料理名が並んでいるが、レギュラーメニューは注文できる料理であるのかさえ迷ってしまう程疎外されてしまっている。
そもそも足元にある料理名は、北京語が解らない私にとっては漢字が並んでいるだけである。文字から料理を推測するしかない。良く理解出来ない作業はめんどくさいだけであるので、早々と考えからはずし、あっさりと盛り合わせの料理を選ぶことにした。
店は階段をあがった2階にある。
豪華な中華料理屋を思わせる装飾が施されている。店内全体が赤い色を基調としており、ボンボリのような照明が釣ってある。中国風シャンデリアのようであり、日本の赤提灯の原型であるようにも思える。そして店の中心を分け隔てるように鉢植えが並んでいる。
一方の側面はすべてガラスであり、外からの光が全体を差し込む。室内全体が明るい印象になり、中心の鉢植えが映える。
30人くらい収容できるだろうか。奥には回転するテーブルもある。
すでに3人ほど入店しており、その一人はひとつの回転テーブルを独占していた。端からみるとスペースをもてあましているように思えてならない。私の嫉妬ではない。と、思う。
従業員は真っ赤な衣装を着た女性だ。とても細く、神秘的な顔立ちをしている。しかしその表情に笑う印象がつかめず、無機質なロボットのようにも感じる。いったいどのような人生を歩んできたのだろう。と大きなお世話ながらも気にかかる。通勤の電車の中で時々みかける、制服を着た小さな子供の表情だ。
料理が来るまで、あまり待つことはなかった。とても早い。出来合いを暖めるだけだろうか。
2つの料理は小さめの器いっぱいに盛られ、バランスを誤ると今にもあふれそうだ。そしてスープとライス、茶色く染みた色をした煮卵が付く。
木須肉は野菜炒めのような料理である。炒めた卵が細かく多い。まさに想像通りの卵野菜炒めといった味だ。
家常豆腐は揚げ豆腐を豚肉とたけのこ、青菜などを炒め、とろみをたっぷりつけていた。口に入れてみるととろみの感触とともに、後味がピリリと辛い。ごはんに合う味である。しかしながらごはんは、ぱさつくとまで言わないが、水分が少なめであるのが難点だ。
スープはワカメの中華スープである。レンゲでワカメはすくいずらい。何度もその作業を試し、やっとありつくことが出来る。料理もスープも味付けはほどよい、平均的といってよいと思う。
店名にある「隋園」とは、中国清朝の詩人の号であり、彼の食べたり飲んだりした記録を一冊の書物にしたものが「隋園食単」という。この書物は中国はもとより、料理研究家たちにとって、とても関心の強いバイブル的な存在で、度々引用されるものであるという。
隋園は、「木須肉」「家常豆腐」を食べどんな料理と書いたのだろう。気になるところである。
もっとも店頭の看板にあるメニューすら読むことをめんどくさがる私が、彼の書物を見ることもないのだろうが。
四谷2-13 大和屋ビル2F
03-3357-2335












