赤木かん子さんの
「お母さんはどう描かれてきたか」というテーマの
オンライン講演会で、50冊のリストの中にあった絵本です。
かちんこちんのムニア
アスン・バルソラ作絵
宇野和美訳
徳間書店
確か、以前の別の講演会でも、
かん子さんがこの絵本をご紹介していたので、かん子さん的に
かなり推しの絵本なんだろうなと
読んでみました。
わたしは、この絵本はいわゆる読み聞かせ会などでは読まないかなあ。
お家でお子さんと読む絵本かなあ。
読み聞かせを続けてきた親子さん、
ある程度年齢が上がってきた、4歳とか5歳くらいのお子さんと読んでみたらいいのかなあと思いました。
この絵本に描かれているようなこと、そう言えばあったなあと思い出しながら読みました。
具体的なエピソードとして覚えているわけではないんですけれど。
機嫌を損ねたムニアが主人公です。
機嫌が悪いにもほどがあるでしょ、
とんでもないことをしでかすんですよ。
持って生まれた性格なのかもしれなけれど、
割と機嫌がいいタイプの子と
すぐに機嫌が悪くなるタイプの子といますよね。
機嫌が悪くなるタイプの子と暮らしていると
大変なんですよね。
機嫌が悪くなる理由がわからなかったりして。
スイッチが入ってしまうと、元々の原因を取り除いたところで、もう簡単には機嫌が直らない。
周りの人が、ヘトヘトになってしまう。
やーこれはたまんないな~と思いながら読みました。
ムニアは、やっちゃいけないとわかっているのに、家で飼っている牛の門を開け放っちゃうんです。
そしてふと、かちんこちんだったこころが
ストンと元に戻ったのがわかるんですね。
そして、家族が自分のことを
「きらいになっちゃってたら…どうしよう」
・・・
いやいや、だったらやるなよ、と
大人のわたしは思うけど。
でも、かちんこちんになっちゃうと
やっちゃうのね。
そして、ムニアはどうするか。
青い麦わら帽子をかぶり
お母さんの古い上着を着込み、お勝手口の呼び鈴を鳴らすんです。
そして
「ごめんください」
「こんにちは。わたくし、ピロンポともうします」
ってお母さんに言うんです。
もしも、あなたが、さっき、牛を放されて、大変だったお母さんだったとして、ですよ。
なんて答えますか?
ムニアのお母さんはこう答えます。
「ああ、ピロンポさん。どうぞどうぞ。
ちょうど、おやつにするところだったんですよ。
ココアをいっぱい、いかがです?」
と言うんですよ。
すごくないですか?
言えますか?
ピロンポさんごっこに乗るんです。
へー。
そして、ピロンポになったムニアはこう言います。
「おたくには、ムニアちゃんという子が、いませんでしたっけ」
「いまはもう、いないんですか?」
と
ピロンポさんになったムニアは
とても心配そうに聞くのね。
ムニアは素直にごめんなさいと言えないのね。
ピロンポさん経由で家族はムニアのことが大好きだということを伝えるのよね。
さっきは、かちんこちんだったけど、いまはもう
違うんだなってことを
家族はわかってるんだよね。
ピロンポさんになりきったら、
一番わかって欲しい人に
自分の気持ちを言えたんだよね。
絶対に許さない、ということではなく
家族として、折り合いをつけてやっていく。
ピロンポさんになりきる、というやり方を思いついたムニアは賢い子なんだろうな。
わたしは、これ
インプロみたいなだなと思って読みました。
外園佳代ちゃんに教えてもらった
インプロ 即興劇
YES AND で返す。
NO but じゃない
そういう思考の癖をつけてみるっていうのは
インプロ知ってよかったなと思ってます。
かん子さんは、こんなふうに紹介していたか
以下、わたしのメモです。
1980年代の絵本に
新しいタイプのお母さんが登場する。
この絵本は全然知られてないと思うけど
スペインの本。
イラストそのものが日本人に馴染みがない絵。
売れなかった絵本ですが、非常によくできた絵本。
家族は、悪さをしたことを怒らない。
ムニアのお茶番に付き合ってあげる
おやつを食べさせて、ムニアがムニアに戻ってくるのを待つ。
いいお母さん、近代的なパターンのお母さんが出てきたな、と。
親の方に努力することを要求するような本はウケない。
まあ、そりゃそうだよね。
(メモここまで)
なかなか、ムニアのお母さんみたいな
神対応は
咄嗟にはできないかもなあ。
いいなあ、とは思うけど。
「何やってんの!」って怒っちゃうかもな。
それにしても、ムニアみたいな悪さができるのは
「愛されてる」と知ってるからだよね。
かん子さんに紹介されなかったら
わたしは読まなかったと思うので
ここで紹介しました。
インスタでも喋りました
https://www.instagram.com/tv/CWSypbhpVdr/?utm_source=ig_web_copy_link

