魔女の如し おていと云う女 第十五回 | 美雪 伸

美雪 伸

「岩倉日誌」    
「江戸時代廓事情伝」 
「房洲の海に散る花」
「におい珍噺」
「死臭を嗅ぎ分ける変な奴」
「随筆」昭和、平成を生きる。
「遠州真吾のお色気旅」
「魔女の如し」おていと云う女

   魔女の如し
      おていと云う女

        第十五回
   柳橋との付き合いは真実だ

          旧住所 名古屋市瑞穂区船原町二丁目三番地
 部屋の明かりは40wの裸電球が灯る、襟足が真っ白でささやかな

 

白粉のほのかな香りが辺りを赤、赤色が妖艶だ。伸は次から次に出て
 

くる過って見た事も食べた事もないお菓子が出され食べさせられて
 

大満足の顔でキョロキョロしては見たものの何故此処でこんな食べ物
 

が食べられるのかワカラン。それより今眼の前の移り変わりするすべ
 

て綺麗に着飾ったたくさんのお姉さんが目の前に交錯している事情が
 

ワカランのである。「父ちゃん何処にいるんだろうな」とは観察して
 

いるが伸の頭では計り知れない目の前の夢みたいな状況にそわそわ
 

して落ち着かない。
 

 「雪さんは一体どういう身体持ってるの、普通飲むとあっちのほう
 

はさっぱりなのにね・・・」と相当酒量が入った雪の顔をしげしげ
 

眺め雪に云った。
 

 「おい柳・・姐さん俺はなそんじょそこらのひ弱い男とはちょっお
 

違うんだ、俺はどう云うわけか人と反対で飲めばお盛んになるのさ
 

ピコピコさハハハハハ」
 

 その場の香りと美意識が無駄ではなく多いに働いている、この場の
 

全ての男の場合精恨の尽きるまで多いに働くものだ。
 

 医学的とか科学的では証明出来ない事柄はいくらもある、普通大酒
 

飲むと「物は役立たず」が当たり前、雪はそこが人と異なる体質を
 

持っている異常精力家でもあった。その原因と思われる妻の美津との
 

「性」に関んしては体力も雪に劣らず浮世絵美人であり(八頭身美人)
 

性に関しては雪以上に深いものを持っている、妻にしては最高に値す
 

るが夫雪は微塵も外見には出さず独り占めするのも当然の身であった。
                                    

                                        つづく
 この作品はフイクションです。