京博 名品ギャラリーで国宝経箱を見る | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。


へ行ってきました(^_^)/
現在、京博では特別展は開かれていませんが、「名品ギャラリー」として常設展示を見ることができます✨
3階では、名品ギャラリー 『平安時代人の祈り―経塚と経筒―』 として現在は、

・国宝 崇福寺塔心礎納置品 崇福寺跡出土(〜3/17)
・国宝 金銀鍍宝相華文経箱 延暦寺横川出土(〜2/4)
・国宝 金峯山経塚出土品より
金銀鍍双鳥宝相華文経箱(〜2/4)

の、3件の国宝を見ることができます。
また、1階では、名品ギャラリー 『織物の美と技法』 として、

・国宝 阿須賀神社伝来古神宝類(京都国立博物館)のうち
牡丹唐草文様鏡袋(〜2/12)
・国宝 熊野速玉大社伝来古神宝類(熊野速玉大社)のうち
小花唐草文様衵(〜2/12)

の、2件の国宝を見ることができます。
その中から今回は、3階の名品ギャラリー 『平安時代人の祈り―経塚と経筒―』から3件の国宝をレポートします。

では、始めます(^_^)/



・国宝 崇福寺塔心礎納置品 崇福寺跡出土(〜3/17)

Wikipedia より
近江神宮所有の国宝。飛鳥時代(7世紀)の作。

京博に寄託されているようで、出展機会も多く、貸出しもよくされているので、目にする機会の多い国宝です。

現存していませんが、かつて崇福寺にあった"三重塔"跡から出土した"塔心礎納置品"です。
ようは、塔の基礎部分に納められた、その塔の根幹を成すもの……つまり「仏舎利(ぶっしゃり)」です。
"仏舎利"とは、お釈迦様の遺骨のことです。
↑舎利は1mmに満たない"水晶"だそうで、この金の蓋付きの緑色のガラス瓶に納められていたようです。このガラス瓶3cmほどの小さなものですが、状態が良くキレイ✨です。
それが、金の小箱>銀の小箱>金銅製の箱と入れ子状に、大事に納められていました。

通常、この形 での展示が多いのですが、今回はこの他に「無文銀銭✕11枚」「鈴✕1箇」「金銅背鉄鏡✕1枚」が展示されていました。
こちらの画像のコイン状のものが"無文銀銭"で、右端しの大きめの円盤が"金銅背鉄鏡"、"鈴"は無文銀銭の右下に見えますね。
これら荘厳具は一括して国宝指定は受けているものの、展示されることは少ないので、見れて良かったです(^o^)




・国宝 金銀鍍宝相華文経箱 延暦寺横川出土(〜2/4)

延暦寺所有の国宝。平安時代 長元5年(1031年)の作。

かの紫式部 


が仕えた、一条天皇の中宮
藤原彰子が比叡山如法堂に奉納したものです。
この頃、死後、極楽浄土に行けるようにと願を掛け、お経を土中に埋めることがブームになっていました。そのお経を納めるための"経箱"です。

そのブームを作ったのも、彰子のお父さん藤原道長 


です。その道長が金峰山に奉納した国宝 金銅藤原道長経筒 は、2/6〜から入れ替わりで展示されます。

25✕8✕8cmほどの銅製の縦長の箱で、全体に鍍金され、想像上の花"宝相華(ほうそうげ)"の細かな金細工が施されています。画像でわかるかな?
蓋の天面には「妙法蓮華経」と彫ってあり、足は付いていませんが、格狭間を象った彫物がされています。
状態は良いですよ(^o^)

展示は蓋が閉じられたままですが、実はこの蓋裏には、蝶々🦋の彫物が施されていて、実に女性らしいんですよ(^_^)さすが彰子って感じで……
今回見られないのはザンネン……

お父さんにあやかってか、彰子もまた熱心に写経したんですねぇ~
結果、藤原家の栄華が続くわけですから願いは叶えられた訳ですねぇ~




・国宝 金峯山経塚出土より
金銀鍍双鳥宝相華文経箱(〜2/4)

↑国立歴史民俗博物館のレプリカ
金峯山寺所有の国宝。平安時代(11世紀)の作。

金峯山経塚からの出土品で、三具あるうちの1つです。国宝 金銅藤原道長経筒 と同様に、藤原道長 が奉納したとの説もあります。こちらも内部に法華経が納められていたそうです。

幅25✕奥行15✕高さ15cmほどの、蓋付きの直方体の箱です。蝶番で片開きの蓋が付いていて、鍵のようなものも付いてます。本体と一体化した格狭間の付いた足もあります。

先程の、国宝 金銀鍍宝相華文経箱と比べ、サビつきが酷いんですが、光がよく当たる位置を探り出して、顔を近づけてよ〜く見てください!
細かい彫り物が良く見えます!

ベースは、全体に宝相華が彫られ所々に蝶々も見えます。そこに、大きめの丸文が配されているのですが、その丸文のデザインが"双鳥宝相華文"なんです。
丸文の中に、向かい合う2羽の鳳凰のような鳥と宝相華が彫られています。それが金・銀で鍍金されているのですが、残念ながら銀は変色してしまってます。ですが、金鍍金部分は健在です。肉眼と単眼鏡、両方使って見てみてください。"双鳥"が発見できます!
また、側面はこの"双鳥"のデザインが異なり、鳩🕊のような丸っこい鳥になっています。

独立展示ケースで展示されているので、良い位置を探しだしてくださいね😊
(2/6からは、同金峯山経塚出土より、金銅経箱 鷺脚台付に展示替えされます)


紫式部を始め、平安時代の人物が実際に生きていたことを、身を持って感じることができる展示でした。

「国宝を肉眼で見る」にこだわっていて、良かったなぁ〜(^o^)と、思える瞬間ですね~


次回も名品ギャラリーのレポートが続きます(^_^)/~~