国宝 正福寺地蔵堂内部一般公開 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

さる、8/8(火)東京都東村山市にあります正福寺 


へ行ってきました(^_^)/

正福寺の地蔵堂は、東京都内唯一の国宝木造建築物で、6月第2日曜日(菖蒲まつり)と、8月8日(一般公開日)、11月3日(地蔵まつり)の、年3回内部を一般公開しています。
ただし、祭事である"菖蒲まつり"と"地蔵まつり"の際は、イベントの進行によって内部公開の時間が一定しないので、国宝ファンの方の訪問には、8月8日の一般公開日にすることをおすすめします。
一般公開日には、写真撮影の時間帯制限も無く、(フラッシュを焚かなければ)いつでも撮影できますので、記録にも最適ですよ(^o^)
ネット上には「撮影可能時間は14時以降……」などの記述がありますが、6・11月のお祭りの際のタイムテーブルや人流が影響していると思われます。今回、8/8は朝11時から訪問しましたが、撮影📷は可能でした。(参考 

)
まぁ、ガラガラだったので、混雑すれば制限がかかるのかもしれません(^_^;)

では、レポートします。




・国宝 正福寺地蔵堂

室町時代の作。

禅宗様の仏殿で、鎌倉の円覚寺の国宝 舎利殿 


とよく似た仏殿です。
↑桁行(けたゆき/正面)三間、梁間(はりま/奥行)三間で、入母屋造り、杮(こけら)葺の屋根を持ち、一重の銅板葺きの裳階(もこし)を廻らしています。
正面から見ると、屋根のカーブがキレイですね~
一見、二階建ての建物に見えますが、下の方の屋根は"裳階(もこし)"といって、建物の下部を雨雪から守ったり、内部空間を拡張する役割があります。

では、詳細を見ていきましょう。
↑まずは、「桁行(けたゆき)三間」ですが、建物を正面から見た時に柱と柱の間が3つだということを表していますちなみに、裳階(もこし)により左右に一間ずつ拡張されているので、五間に見えますね(^_^;)
↑横から見たところ。梁間(はりま/奥行)三間……は、もう解説しなくて大丈夫ですね。
屋根の妻の△部分で、入母屋造りであることがわかります。
ここでは、軒下の、垂木(たるき)部分を見てみましょう。
↑写真下側の裳階の垂木は、二重の並行垂木です。それに対して写真上部の本体の屋根の垂木は、二重の扇垂木。垂木が建物の中心から放射状に、扇を広げたように伸びているのがわかりますね。
典型的な禅宗様です。
組物も複雑で立派ですね~
↑並行垂木と扇垂木の違い、こっちの写真のほうがわかりやすいかな?
ちなみに、本体の屋根は"杮葺(こけら)葺き"。木材を長方形に薄く剥ぎ、少しずつずらしながら並べています。
裳階の方は、その上に銅板を被せた"銅板葺き"です。
耐久性が高まるのと、銅イオンが腐食を防ぐ効果があるそうです。
↑裏から見るとこんな感じ。消火設備がちゃんと整ってますね。
↑裳階によって拡張された一間分。これにより、内部は五間✕五間分の面積が確保されています。
↑では内部に入りましょう。
↑扁額は近年掲げられたものでしょうか?「國寶千體地蔵堂」とあります。
↑堂内中央には須弥壇があり、地蔵菩薩立像と、その左右に千体仏が祀られています。
↑天井は屋根の構造をそのまま見せる"化粧天井"。組物がギッシリ詰まってますね。
↑屋根の中心から、垂木が扇状に広がっているのが、内部からだと良くわかります。
↑外側一周分は、裳階の並行垂木が整然と並んでいるので、外からのつながりがわかりやすいです。
↑裳階の一間分。海老虹梁で支えています。
もう一度、天井に目を向けましょう。
↑お地蔵さんの仏後壁を挟んで、二本の太い虹梁が並行に通ってますね。

↑さらに二重虹梁になっていて、大瓶束(たいへいづか)で、それを支えています。
↑屋根裏は、垂木と組物をブロックのように組んで、複雑な屋根を構成しています。
↑出三斗の組物も、デザインのために付けているんじゃなくて、構造上の必要性があるんですね〜
昔の人ってスゴイな……
↑須弥壇の裏、仏後壁。堂内の柱はすべて円柱で、礎石の上の、さらに礎盤の上に、立ってます。
↑床は石畳や瓦敷きではなく、"土間"そのままなので、古い様式ですね。
↑軒下にぐるりと"波連子"が、取り回されているのも、禅宗様の特徴です。
↑唐桟戸の"組子"。細かい部分のデザインも秀逸です。



と似て非なるものですので、比較してみると面白いですよ(^o^)